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この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営
高齢の親が入院すると、「一日中テレビだけでは退屈しないだろうか」「70代の父には何がいいのか」「80代の母でも無理なくできる暇つぶしはあるのか」と迷います。本やクロスワード、ナンプレ、塗り絵、ラジオ、スマートフォンなど候補は多いものの、入院前と同じ体力や視力があるとは限りません。大部屋では音への配慮も必要なので、家で楽しめる物をそのまま持ち込めばよいとも限りません。
私は元プロアスリートとして体と向き合い、納棺師として人の命の終わりを見届け、現在は介護福祉士として日常の健康と生活を支える現場にいます。そんな経験から辿り着いた信念があります。それは人生健康第一です。入院中の暇つぶしも、時間を埋めることだけを目的にせず、本人が疲れず、安全に、自分のペースで続けられることを優先して考えます。
この記事では、70代・80代の男性・女性という検索条件を入口にしながら、実際には何を見て選べばよいのかを整理します。手の動き、姿勢、視力、聴力、集中できる時間、スマホ操作、大部屋と個室の違いを確認したうえで、本・パズル・塗り絵・ラジオ・動画などを比較します。認知機能が気になる時に、無理に「脳トレ」を押しつけない考え方も確認していきます。
最初の判断軸は年齢や性別ではありません。「本人が好きか」「今の体調でできるか」「病室で使えるか」「疲れたらすぐやめられるか」の4点です。70代男性でも塗り絵を楽しむ人はいますし、80代女性でもナンプレが習慣になっている人はいます。反対に、普段読書が好きでも、入院中は本を支えるだけで疲れることがあります。
この記事のポイント
- 70代・80代の高齢者に合う暇つぶしの判断軸がわかる
- 視力・聴力・手の動きから選ぶ方法が理解できる
- 本・パズル・ラジオ・動画などの違いがわかる
- 大部屋や認知機能が気になる時の注意点が理解できる
高齢者の暇つぶしは年齢だけで決めない
- 70代・80代より今の状態を見る
- 男性・女性より本人の習慣を優先する
- 姿勢と手の動きから選択肢を絞る
- 視力と聴力に合わせて負担を減らす
70代・80代より今の状態を見る
「70代向け」「80代向け」と年齢で検索すると、年代別のおすすめ商品がたくさん出てきます。しかし、同じ75歳でも自分で歩いて新聞を読む人と、手術後でベッド上安静になっている人では、できる暇つぶしがまったく違います。年齢は一つの目安にはなりますが、実際の選択では現在の体調、安静度、姿勢、手の動き、視力、聴力を先に見た方が失敗を減らせます。
入院中は、病気や手術そのものだけでなく、点滴、睡眠不足、食欲低下、長い安静時間などによって疲れやすくなることがあります。自宅では1時間読書できた人でも、病室では10分読んだだけで疲れるかもしれません。反対に体調が安定していて、ベッド脇の椅子へ座れる人なら、読書、パズル、日記、塗り絵など選択肢を広げやすくなります。
「80代だから、簡単な塗り絵くらいにしておいた方がいい?」
年齢だけで簡単な物へ下げる必要はありません。本人が昔から数字パズルを解いているならナンプレを続けてもよいですし、読書家なら好きな作家の本の方が楽しめる場合があります。逆に、初めての活動を「高齢者向けだから」と渡しても、興味がなければ続きません。
暇つぶしは70代・80代という数字より、「今できること」と「以前から好きなこと」の重なりで選びます。
また、入院中は日によって状態が変わることもあります。昨日は本を読めても、今日は検査後で休みたいということがあります。毎日同じ暇つぶしを続ける前提にせず、体調が良い日に使える物、疲れている日は何もしなくてもよいという余白を残しておくと、暇つぶしが新しい負担になりにくくなります。
男性・女性より本人の習慣を優先する
入院中の暇つぶしでは、「70代男性なら将棋や新聞」「70代女性なら塗り絵や手芸」と分けたくなります。しかし、趣味は性別で決まるものではありません。園芸が好きな男性もいれば、スポーツ紙を毎日読む女性もいます。高齢者向けの商品を探す時ほど、男性・女性という分類より、入院前の生活で何を楽しんでいたかを思い出した方が候補を絞りやすくなります。
たとえば、毎朝新聞を読む習慣があった人なら新聞や雑誌、ラジオを聴いていた人なら操作の簡単なラジオ、写真を見るのが好きな人なら小さなアルバムも候補です。クロスワードやナンプレを以前からしていた人なら、同じ程度か少し簡単な難易度から始める方法があります。入院をきっかけに趣味を全部変える必要はありません。
「でも、せっかく時間があるなら新しい趣味を始めてもらうのも良さそう。」
本人が興味を示しているなら選択肢になります。ただし、「暇なんだからこれをやってみて」と家族側だけで決めるより、「本とラジオならどっちがいい?」「パズルはやってみたい?」と本人へ聞く方が続きやすくなります。入院中は治療を受けるだけでも普段と違う環境なので、慣れた楽しみが安心につながる場合があります。
男性向け・女性向けではなく、本人が入院前に自然に続けていた行動を起点に考えます。
特に家族が差し入れる場合は、「高齢者にはこれが良い」というランキングより、本人へ短く確認するのが確実です。「何が欲しい?」では答えにくい人でも、「雑誌とラジオならどちら?」のように二択にすると意思を伝えやすいことがあります。何もいらないと言う場合には、無理に物を増やさない選択もあります。
姿勢と手の動きから選択肢を絞る
暇つぶしを実際に続けられるかは、姿勢と手の動きに大きく左右されます。椅子へ座れて両手を自由に使える人なら、本、塗り絵、クロスワード、ナンプレなど幅広く選べます。一方、ベッド上で過ごす時間が長い人は、大きな机や広い作業面を必要とする物が使いにくくなります。点滴や医療機器がある場合は、それらの邪魔にならないことも重要です。
片手が使いにくい場合には、ページを押さえながら書き込む本より、一枚ずつ取り組めるプリントや、片手でも持てる軽い本の方が扱いやすいことがあります。ラジオなら、大きな電源ボタンと音量ダイヤルだけで操作できる物の方が、細かなボタンが並ぶ多機能機より迷いにくいでしょう。操作回数を減らせることも大切な条件です。
「ベッドで寝たままなら、動画を見るくらいしかないのかな?」
動画だけではありません。軽い本、写真、音声、ラジオ、大きな文字のプリントなど、姿勢に合わせた選択肢があります。ただし、寝たまま長時間スマホを持つことも腕や首の負担になるので、「寝てできる=疲れない」とは限りません。
ベッド上では、ナースコール・ベッド柵・点滴ラインなどをふさがない範囲で使える物を選びます。
本人が自分で物を取りにくい場合は、床頭台のどこへ置くかも確認します。暇つぶし用品を手の届かない場所へ置けば、使わなくなったり、無理に手を伸ばしたりする原因になります。物の種類だけでなく、「一人で取り出せる」「使い終わったら戻せる」まで含めて考えると、病室での実用性が見えてきます。

片手しか使いにくい場合でもパズルはできますか?

できますが、ページを押さえる必要が少ない物や、一枚で完結する問題の方が扱いやすい場合があります。実際の手の動きに合わせて選んでください。

寝たきりならスマホスタンドを持って行けば楽ですか?

姿勢の負担を減らせる場合はありますが、ベッド周辺への器具の固定や持ち込みを病院が認めているか確認が必要です。医療機器や看護の妨げにならないことも優先します。

動けるなら病室の中で運動を暇つぶしにしてもいいですか?

入院中は安静度やリハビリの指示が人によって違います。自己判断で運動を増やさず、歩行や体操をしたい場合は医師・看護師・リハビリ職へ確認してください。

視力と聴力に合わせて負担を減らす
読書、クロスワード、ナンプレ、間違い探し、塗り絵などは、どれも目を使います。高齢者向けと表示された商品でも、文字やマスが小さければ本人には使いにくいことがあります。選ぶ時は、文字サイズ、線の太さ、図柄の細かさ、コントラスト、ページの重さまで確認します。共用品推進機構でも、高齢者や弱視の人が読みやすくするポイントとして大きな文字や明確なコントラストを示しています。
読みやすさについて詳しく確認したい場合は、共用品推進機構の見やすい文字やコントラストの解説が参考になります。本を選ぶ場合は、大活字本も候補になりますが、文字が大きい分、本自体が大きく重くなることがあります。「文字が大きければ高齢者向け」と一つの条件だけで決めず、持った時の重さも見ます。
耳が遠い場合は、ラジオを大音量で流せば解決するとは限りません。大部屋では周囲への音の配慮が必要で、テレビやラジオにイヤホンを求める病院があります。補聴器を使っている人ならイヤホンとの併用がしやすいか、音量を自分で調整できるかも確認します。目が見えにくく耳も遠い場合には、家族との会話や写真など、本人が慣れている方法も選択肢に残します。
「目が悪ければラジオ、耳が遠ければ本、と分ければ簡単だね。」
大きな方向性としては使えますが、それだけでは決められません。ラジオには選局や音量調整が必要ですし、本には重量や姿勢の問題があります。本人が一人で開始・終了できるかまで見て初めて、入院中に使いやすい暇つぶしかどうかが分かります。
視力や聴力が落ちている人ほど、難しい活動を増やすより、使う機能を減らす考え方が役立ちます。大きな文字、少ないボタン、軽い本、単純な操作など、本人が迷う場面を少なくすると「やりたい時に自分で始められる」状態を作りやすくなります。
病室に合う暇つぶしを種類別に比べる
- 本・塗り絵・パズルを難易度で選ぶ
- ラジオと動画は音と操作性を見る
- 大部屋と個室で選び方を変える
- 認知機能が気になっても押しつけない
親の介護で迷ったときに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。
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本・塗り絵・パズルを難易度で選ぶ
テレビ以外の暇つぶしとして選びやすいのが、本、雑誌、塗り絵、クロスワード、ナンプレ、間違い探しです。音が出ないため大部屋でも使いやすく、電源や通信も必要ありません。ただし、同じ紙の暇つぶしでも必要な能力は違います。本は文字を読み続ける力、クロスワードは問題を読んで言葉を思い出す力、ナンプレはルールを理解して数字の配置を追う力、塗り絵は図柄を見ながら手を動かす力を使います。
ナンプレは文章を長く読まなくてもできますが、初めての人にはルールそのものが難しい場合があります。本人が以前から解いているなら有力な候補ですが、入院してから初めて挑戦するなら、マスが大きく数字が見やすい初心者向けから試す方法があります。クロスワードも、難しい漢字や知識問題より、本人が知っている言葉を使う物の方が取り組みやすい場合があります。
塗り絵は細かい図柄ほど大人向けに見えますが、手が動かしにくい人には負担になります。最初は線が太く、区画が大きい図柄にして、本人が物足りないようなら細かな物へ変える方が調整しやすいでしょう。子ども向けの絵柄を嫌がる人もいるため、花、風景、昔の町並みなど本人の好みも見ます。
「脳トレになるなら、少しくらい難しい問題の方がいいよね?」
難しくすればよいわけではありません。解けない状態が続けば楽しみではなく課題になります。暇つぶしとして続けるなら、本人が「もう少しやりたい」と感じる程度の難易度から始める方が負担を抑えられます。
紙の暇つぶしは「脳を使う量」ではなく、本人が疲れず自分で続けられる難易度を選びます。
本やパズル、塗り絵を購入する場合は、Amazonや楽天で文字の大きさ、判型、ページ数、重量などを比較できます。レビューの「高齢者に好評」という言葉だけで決めず、本人の視力や手の動きに合う仕様かを確認してください。
| 暇つぶし | 向きやすい人 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 本・雑誌 | 読書習慣がある人 | 文字・重さ・姿勢 |
| 塗り絵 | 絵や色が好きな人 | 線の太さ・手の動き |
| クロスワード | 言葉遊びが好きな人 | 文字・問題の難易度 |
| ナンプレ | 数字パズルに慣れた人 | マスの大きさ・ルール |
| 間違い探し | 絵を見るのが苦にならない人 | 図柄の細かさ |
| 日記・手紙 | 書く習慣がある人 | 姿勢・筆記具 |

ナンプレをやったことがない80代でも始められますか?

年齢だけで無理とは言えません。ただし、初めてなら大きなマスでヒントの多い問題から試し、本人が興味を示さなければ別の暇つぶしへ切り替えて構いません。

色鉛筆や鉛筆削りも病室へ持ち込めますか?

筆記具は使える場合が多いですが、刃物類の扱いなど病院ごとのルールがあります。鉛筆削りやハサミを含む道具は、必要に応じて病棟へ確認してください。

大活字本なら普通の本より楽に読めますか?

文字は読みやすくなりますが、本が大きく重くなることがあります。ベッド上で読む場合は、文字サイズと重さの両方を確認してください。
ラジオと動画は音と操作性を見る
目を使う活動が疲れる人には、ラジオや音声コンテンツが候補になります。ラジオを選ぶ場合は、受信性能や機能の多さだけでなく、電源ボタンが分かりやすい、音量調整が独立している、選局が複雑でない、表示が見やすいといった操作性を確認します。高齢者本人が自分で使う物なので、家族が使いやすい機器ではなく、本人が迷わない機器を選ぶことが重要です。
スマートフォンやタブレットで動画を見る場合も、機器を持っているだけでは十分ではありません。画面ロックを解除できるか、動画アプリを開けるか、音量を変えられるか、イヤホンを接続できるかまで確認します。Wi-Fiがある病院でも、利用場所や通信条件が異なるため、「無料Wi-Fiがあるから動画を何時間でも見られる」とは限りません。
「Bluetoothイヤホンの方がコードがなくて安全そうだけど?」
コードがない利点はありますが、充電とペアリングが必要です。機器操作が苦手な人なら、有線イヤホンの方が差し込むだけで使えて分かりやすい場合があります。本人の操作力によって便利さは逆転します。
ラジオ・スマホ・タブレット・充電器などは、病院ごとに持ち込みや使用場所の条件が違うため事前確認が必要です。
一例として国立病院機構埼玉病院では、ラジオやテレビでイヤホンを使用するよう案内し、パソコンなどの電化製品の持ち込みにも制限を設けています。全国の病院が同じ運用ではありませんが、施設ごとにルールが異なる例として、国立病院機構埼玉病院の入院中の注意事項のように入院先の公式案内を確認することが大切です。
スマートフォンや充電器など、入院生活で使う小物についても合わせて確認したい方は、健さんのこちらの記事も参考にしてください。入院生活で持って行ってよかった便利グッズ|100均用品も紹介

大部屋と個室で選び方を変える
同じ暇つぶしでも、大部屋と個室では使い方が変わります。大部屋では音や光、物を広げる範囲へ特に配慮します。本やクロスワードなど音が出ない物は比較的使いやすい一方、ラジオや動画はイヤホンが必要になることがあります。手芸や立体パズルも静かですが、材料や小さな部品が広がると床へ落ちやすく、収納場所を取ります。
個室は周囲への音の条件が緩い場合がありますが、「個室なら何をしてもよい」という意味ではありません。携帯電話、Wi-Fi、電気製品、充電機器などは病院全体のルールが適用されることがあります。消灯後の過ごし方も病院ごとに違います。個室へ入ったからと、普段の自宅と同じ感覚で機器を増やさない方が安全です。
「一人部屋ならテレビを見ながらラジオも使えるし、暇つぶしは何でも大丈夫そう。」
個室でも治療の場であることは変わりません。検査や処置、睡眠、リハビリなどが優先されます。持ち込める物と使用時間を確認したうえで、本人が管理できる範囲に絞ります。
大部屋では「音が出ない・広げない・落としにくい」、個室でも「病院ルール内で管理できる」が基本です。
また、病室の収納は限られます。数週間の入院では、家族が面会のたびに雑誌やパズルを持ち込むうちに物が増えていくことがあります。読み終えた本や使わない物は持ち帰り、「新しく足す前に一つ減らす」と考えると整理しやすくなります。床頭台やロッカーを日用品と暇つぶし用品で埋めないようにします。
| 病室・状態 | 候補 | 注意点 |
|---|---|---|
| 大部屋 | 本・パズル・塗り絵 | 音・広げる範囲 |
| 個室 | 本・ラジオ・動画 | 病院の使用ルール |
| ベッド上中心 | 軽い本・音声・写真 | 姿勢・医療機器 |
| 片手が使いにくい | 一枚プリント・音声 | ページ操作 |
| 視力が低下 | 大活字・ラジオ | 本の重さ・聴力 |
| スマホが苦手 | 本・写真・簡単ラジオ | 操作回数を減らす |
暇つぶし用品を新しく購入する場合も、病室の広さと収納を考えて大きさを確認します。パズル本、軽い読書用品、シンプルなラジオなどはAmazonや楽天でも比較できますが、機能数や価格より「本人が一人で使えるか」を優先してください。
認知機能が気になっても押しつけない
親の物忘れが増えていたり、認知症ぎみではないかと心配していたりすると、「入院中に何もしないと認知機能が落ちるのでは」と不安になることがあります。そのため、ナンプレ、クロスワード、塗り絵、間違い探しなどを「脳トレ」として用意したくなるかもしれません。ただし、暇つぶしと認知機能の訓練は同じではありません。
本人がもともとパズル好きなら続ける意味がありますが、嫌いな人へ毎日問題集を渡す必要はありません。難しい問題を解けなかったことで自信をなくしたり、家族から採点されるように感じたりすれば、楽しみではなくなります。病気や環境変化で集中力が落ちている時に、入院前と同じ成績を求めることも避けたいところです。
認知症がある人への活動でも、本人の興味や好みに合わせる視点が重視されています。高齢者だから一律に脳トレを与えるのではなく、昔から好きだった音楽を聴く、家族写真を見る、短い会話をする、新聞の好きな欄だけ読むなど、その人にとって意味のある活動を選ぶ考え方があります。
「何もしないで寝てばかりだと心配で、つい何かやらせたくなる。」
心配でも、療養中は休むこと自体が必要な時間があります。暇つぶしを毎日の宿題にせず、本人が起きていて何かしたい時に選べるよう、負担の少ない候補を置いておく程度でも十分です。
認知機能が気になる時ほど、本人の好みと体調を優先し、活動を強制しないことが大切です。
入院中に急に反応が鈍くなった、会話がいつもと違う、眠ってばかりいるなど明らかな変化がある場合は、「暇だから刺激が足りない」と決めつけず、病棟スタッフへ伝えてください。高齢者の状態を見る時は、一つの行動だけではなく、食事、睡眠、会話、表情、動作など普段との違いを合わせて確認することが重要です。
親の入院をきっかけに、退院後の介護や今後の生活まで考える必要が出てきた場合は、健さんのこちらの記事も参考にしてください。親の入院中に家族が確認しておきたいこと

物忘れがある親には毎日同じ暇つぶしの方がいいですか?

慣れた活動が安心につながる場合はありますが、毎日必ず行う必要はありません。本人の体調と希望を見ながら、使いたい時に使える形にします。

急にパズルができなくなったら認知症が進んだと考えますか?

パズルだけでは判断できません。体調、睡眠、薬、治療、環境変化なども影響します。普段と明らかに違う場合は、他の生活変化と合わせて病棟スタッフへ伝えてください。

暇つぶしをまったくしない日があっても大丈夫ですか?

療養中は休息が必要な日もあります。本人が苦痛なく過ごせているなら、毎日何か活動しなければならないと考える必要はありません。

高齢者の入院中は続けやすさを優先する
高齢者の入院中の暇つぶしを選ぶ時は、70代・80代、男性・女性という分類だけで決めないことが大切です。同じ年代でも、座って両手を使える人、ベッド上で過ごす人、目が見えにくい人、耳が遠い人、スマートフォンを使い慣れている人では、続けやすい活動が変わります。まず現在の体調と姿勢を見て、本人が入院前から好きだったことと重なる物を探します。
本、塗り絵、クロスワード、ナンプレ、間違い探しは、電源が不要で音も出にくいため候補にしやすい一方、文字や図柄の見やすさ、難易度、ページの重さを確認します。ラジオや動画は目を休められることがありますが、音量、イヤホン、充電、操作方法、病院の持ち込み条件を確認する必要があります。一つの方法がすべての高齢者に合うわけではありません。
大部屋では音や物の広がりに配慮し、個室でも病院の使用ルールを優先します。病室に持ち込む物は、本人が一人で取り出して使えること、使い終わったら片づけられることも重要です。新しい暇つぶしを次々に追加するより、最初は一つか二つを試し、使っているかを見てから増やした方が病室も整理しやすくなります。
認知機能が気になる場合も、暇つぶしを訓練のように扱わないことが大切です。パズルが好きなら続ける、音楽が好きなら聴く、写真を見るのが好きなら家族写真を置くなど、本人にとって自然な活動を選びます。何もしない日があっても、治療や検査で疲れているなら休息が優先されます。家族ができることは、活動量を増やすことだけではありません。
健さんの視点コラム
高齢の親が入院して病室で過ごす時間が長くなると、家族は「退屈させたくない」「何かしていた方が元気でいられるのでは」と考えます。仕事や家事があって毎日面会できないほど、何か暇つぶしになる物を置いて帰りたい気持ちも出てきます。しかし、本人にとっての一日は、家族から見える以上に検査、治療、食事、睡眠、体調の波に影響されています。
施設介護の現場でも、高齢者は毎日まったく同じ状態ではありません。普段なら会話を楽しむ方が静かに休みたい日もあれば、いつもより反応が遅い日もあります。その時に「昨日できたから今日もできる」と活動を求めるより、まず本人の表情や反応、食事、動作などを見ます。暇つぶしも同じで、できるかどうかだけでなく、今日やりたいかを見る必要があります。
家族は本人が好きだった物を準備し、本人は使いたい時に選ぶ。病院側は治療上の安全や病室ルールを確認する。それぞれの役割を分ければ、家族が「何かさせなければ」と一人で背負う必要はありません。本人が本を開かなかったからといって、家族の選び方が失敗だったと決める必要もありません。
人生健康第一とは、時間を余らせないよう一日を予定で埋めることではありません。入院中なら、治療を受け、休む時には休み、気分が良い時に好きなことを少し楽しめることも健康を守る過ごし方です。ナンプレを一問解く日もあれば、ラジオを聞くだけの日、窓の外を眺めるだけの日があっても構いません。
家族が選ぶ時は「高齢者に人気の暇つぶしは何か」だけでなく、「今の親なら何なら自分で始められて、疲れたら自分でやめられるか」を考えてみてください。その視点があれば、70代でも80代でも、男性でも女性でも、本人に合う過ごし方を見つけやすくなります。
介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。

