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この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営
親の退院日が決まり、「しばらく家族が付いていてください」と言われても、平日の仕事を何日も休めるとは限りません。朝食や薬はどうするのか、昼間のトイレは一人で大丈夫なのか、夕方まで一人にしてよいのか。入院前より親のできることが減っていると、退院が喜ばしい一方で、生活をどう回せばよいのかという不安が急に現実になります。
私は元プロアスリートとして体と向き合い、納棺師として人の命の終わりを見届け、現在は介護福祉士として日常の健康と生活を支える現場にいます。そんな経験から辿り着いた信念があります。それは人生健康第一です。親の退院後も、家族の誰かが仕事を止めて全時間帯を埋めることだけが支え方ではありません。本人ができることと、どうしても他者の支援が必要な時間を切り分けることが出発点になります。
この記事では、退院後の一日を朝・日中・夕方・夜間に分け、食事、排泄、服薬、移動、家事、見守りのどこに支援の穴があるのかを整理します。そのうえで、病院の相談員、地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護保険サービス、自費サービス、家族分担をどう組み合わせれば仕事を休み続けずに生活を支えやすくなるのかを順番に見ていきます。
最初に見るべきなのは「何日仕事を休めるか」ではなく、「親が一人ではできない行為が、何時ごろ発生するのか」です。家族が不在の8時間すべてに介護者が必要とは限りません。逆に、短い時間でも排泄介助や服薬確認など本人だけでは安全を保てない場面があれば、その時間は確実に埋める必要があります。
この記事のポイント
- 退院後の一日から支援が必要な時間を探す方法がわかる
- 家族が仕事を休み続けないための支援の組み合わせ方が理解できる
- 介護保険と自費サービスを使い分ける基準がわかる
- 退院直後から支援体制を見直すタイミングが理解できる
退院後の支援の穴を先に見つける
- 退院前から生活の相談を始める
- 一日を時間帯で分けて確認する
- 退院初日から必要な支援を選ぶ
- 仕事を休む場面を絞り込む
- できることまで奪わない
退院前から生活の相談を始める
退院後の支援は、親が自宅へ戻ってから考え始めると間に合わないことがあります。退院の見通しが出た段階で、病棟看護師、医療ソーシャルワーカー、退院支援担当者などへ「平日は仕事で家族が不在になる」「昼食や排泄が心配」「入院前より歩けなくなっている」と具体的に伝えておくことが重要です。すでに担当ケアマネジャーがいるなら、退院予定と現在の状態を早めに共有します。
この時、「家族で何とかします」と曖昧に答えてしまうと、家族が対応できる前提で話が進む場合があります。伝えるべきなのは気持ちではなく時間です。たとえば「朝7時までは対応可能、7時30分から19時までは不在」「平日の通院同行は難しい」「夜は同居家族がいる」と具体化すると、病院側やケアマネジャーも支援が必要な場所を把握しやすくなります。
「退院日がまだ正式に決まっていないのに、相談するのは早くない?」
早すぎることはありません。退院後に支援が必要になりそうだと分かった時点から、相談材料を集めておく方が動きやすくなります。退院日そのものが未確定でも、現在の歩行状態、排泄、食事、服薬、家族の不在時間が分かれば準備は始められます。
退院支援では「家族が介護できるか」ではなく、「何曜日の何時から何時まで対応できないか」を伝えることが重要です。
病院ではできていた動作でも、自宅では条件が変わります。病室からトイレまで数メートルでも、自宅では廊下に段差があるかもしれません。ベッドでは起き上がれても、自宅が布団なら動作が難しくなることがあります。退院前には「入院前にできたこと」「今できること」「見守りがあればできること」「介助が必要なこと」を分けて確認しておくと、支援量を考えやすくなります。
一日を時間帯で分けて確認する
親の退院後に仕事を休めない時は、「昼間ずっと誰か必要か」という大きな問いから始めるより、一日を細かく分けます。朝なら起床、トイレ、着替え、朝食、朝薬。日中なら昼食、水分、昼薬、排泄、移動。夕方なら食事準備、デイサービスからの帰宅、夜の薬。夜間なら就寝準備や夜間排泄です。必要な行為が起きる時間を並べると、家族がいない時間と重なる場所が見えてきます。
食事も「一人で食べられるか」だけでは判断できません。冷蔵庫から出せるのか、電子レンジを安全に使えるのか、配膳された食事なら食べられるのか、食後の薬まで自分で管理できるのかで必要な支援は変わります。排泄も、トイレまで歩けることと、衣服を下ろす、便座へ座る、立ち上がる、後始末をすることは別の動作です。
「朝から夕方まで一人なら、8時間ずっと誰かにいてもらわないと駄目なのかな……」
常時見守りが必要な状態でなければ、不在時間すべてを支援者で埋める必要はない場合があります。昼食準備、昼薬、排泄、デイサービスの送り出しなど、他者が介入しなければ成立しない時間だけを切り出します。その間を本人が安全に過ごせるなら、支援費用と家族負担の両方を抑えやすくなります。
家族の勤務時間ではなく、親が「一人ではできない行為が起きる時間」を基準に支援を組みます。
逆に、認知機能の低下があり火の管理が難しい、転倒しても助けを呼べない、頻繁な排泄介助が必要といった場合は、一人で過ごせる時間そのものが短くなります。「訪問を1回入れれば大丈夫」と決めず、その人が一人で安全に過ごせる範囲を退院前の状態から確認してください。
退院初日から必要な支援を選ぶ
退院後に必要なことを全部同じ優先度で考えると、準備が多すぎて動けなくなります。最初は「できないとその日の生活が止まること」と「数日後でも調整できること」を分けます。食事が用意できない、トイレへ一人で移動できない、薬を正しく飲めない、一人で夜を過ごすのが危険といった問題は、退院初日から対策が必要です。
一方、庭の手入れ、窓掃除、衣替え、日用品の細かな整理などは、生活の緊急性が比較的低いものです。退院直後は本人も家族も新しい生活に慣れていません。優先順位をつけずに全部整えようとすると、家族の休暇も費用も短期間で消耗してしまいます。
「掃除や洗濯もできなくなったなら、全部こちらでやるしかないよね?」
全部を引き受ける必要はありません。洗濯なら洗濯機を回すことはできても、濡れた衣類を運ぶことが難しいかもしれません。掃除も軽い片付けはできても、掃除機を持って移動するのは危険かもしれません。できない工程だけを支援へ移す考え方が現実的です。
退院直後は「以前できていたから大丈夫」と決めず、現在の動作を基準に安全性を確認してください。
特別養護老人ホームなどの介護現場でも、同じ人であっても体調、睡眠、食事量、歩行状態によって必要な支援は変わります。退院時に低下している動作が、そのまま永久にできなくなるとは限りません。最初は必要な支援を確保し、回復に合わせて減らしていく視点も持っておきましょう。

退院当日は家族が一日付き添った方がよいですか?

可能なら、移動、自宅内の動線、食事、排泄、服薬などを実際の環境で確認できる時間を確保すると安心です。ただし翌日以降も家族だけで付き添い続ける前提にはせず、必要な支援を切り分けます。

介護認定がまだ出ていなくても相談できますか?

相談できます。病院の相談窓口、親の住所地の地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口などへ、退院予定と現在困っている生活動作を伝えてください。

本人が「一人で大丈夫」と言えば任せてもよいですか?

言葉だけで決めず、歩行、排泄、食事、服薬、電話連絡などを実際に安全に行えるか確認します。本人の希望を尊重しながら、必要な部分だけ支援を足す方法を考えましょう。

仕事を休む場面を絞り込む
仕事を休める日数が限られているなら、家族にしか対応しにくい場面へ使う考え方があります。たとえば退院前の説明、退院当日の移動、自宅環境の最終確認、サービス契約、重要な受診、ケアマネジャーとの初回調整などです。毎日の掃除、食事準備、定時の見守りまで家族が担うと、休暇を短期間で使い切ってしまいます。
介護休暇や介護休業など勤務先で利用できる制度を確認することも必要ですが、本記事の目的は「どれだけ休むか」より「休まなくても回る生活をどう作るか」です。仕事と介護の制度そのものは、厚生労働省の仕事と介護の両立支援に関する公式情報で最新内容を確認できます。
「退院直後くらい、自分が全部やらないと無責任じゃないかな」
家族が関わることと、家族がすべての介護を担当することは同じではありません。家族だからこそ必要な意思決定や調整へ時間を使い、繰り返し発生する生活支援は外部へ渡す方が、仕事との両立を長く続けやすくなります。
限られた休みは、毎日の作業より「家族が判断・契約・調整する必要がある場面」へ優先して使います。
介護休暇や勤務調整、外部支援の考え方をさらに整理したい方は、健さんの親の介護と仕事を両立する時の休み方と外部支援も参考にしてください。
できることまで奪わない
退院直後は家族も心配になり、「危ないから何もしなくていい」と全部を代行したくなることがあります。しかし、本人が安全にできる動作まで他者へ移す必要はありません。食事なら調理は難しくても自分で食べられる、洗濯なら干すことは難しくても畳める、服薬なら薬の準備は必要でも声掛けがあれば飲める、といった違いがあります。
支援の目的は、家族の代わりになる人を一人用意することではありません。本人に残っている能力、家族が対応できる時間、介護サービスが担えることをつなぎ合わせることです。退院後に動作が改善すれば支援を減らし、反対に疲労や体調悪化で難しいことが増えれば再調整します。
親の入院後に、自宅で支える条件そのものから整理したい方は、健さんの親の入院後に介護をどうするか迷った時の判断材料もご覧ください。
仕事と介護を両立する支援体制
- 介護保険で埋められる時間を確認する
- 介護保険で足りない部分を分ける
- 自費サービスを必要時間だけ使う
- 家族は続柄ではなく役割で分担する
- 退院後の変化に合わせて組み直す
親の介護で迷ったときに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。
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介護保険で埋められる時間を確認する
退院後に介護保険サービスを利用できる場合、まずケアマネジャーへ一日の流れと家族不在時間を伝えます。訪問介護では、食事・排泄・入浴などの身体介護や、本人の生活維持に必要な調理・洗濯・掃除などの生活援助が検討できます。デイサービスなら日中の一定時間を外部支援へ移せることがあります。
ただし、「ヘルパーを頼めば朝から夕方まで全部見てもらえる」と考えると計画が合わなくなります。訪問介護は、ケアプランに位置付けられた必要な行為を訪問時間内に支援するのが基本です。デイサービスも送迎時間があるため、家族が出勤する時刻から迎えまで、帰宅してから家族が帰るまでという空白が残ることがあります。
「デイサービスへ行けば、平日はもう大丈夫じゃない?」
朝と夕方まで確認して初めて判断できます。本人だけで出発準備ができるのか、送迎車が来た時に玄関まで出られるのか、帰宅後に夕食まで一人で過ごせるのかによって、別の支援が必要になります。
サービス名から考えるのではなく、朝・昼・夕方・夜間に残る「支援の穴」を一つずつ埋めていきます。
医療処置や状態観察が必要な親では、介護だけで考えないことも重要です。訪問看護が必要なケースもあります。掃除をする人、排泄を支える人、医療的な状態を確認する人が同じとは限らないため、「ヘルパーを一人頼めば全部解決」とまとめず、それぞれの役割を分けて相談してください。
| 支援方法 | 向いている場面 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 食事・排泄・生活援助 | ケアプラン上の必要性と時間 |
| デイサービス | 日中の介護・見守り | 送迎前後の空白時間 |
| 訪問看護 | 状態観察・医療的支援 | 主治医や看護職との調整 |
| 家族 | 判断・契約・重要な受診 | 対応可能な曜日と時間 |
| 自費サービス | 保険で足りない時間や家事 | 料金・最低時間・地域 |

訪問介護だけで長時間の見守りも頼めますか?

介護保険の訪問介護は、単なる長時間の留守番を目的とするサービスではありません。必要な身体介護や生活援助をケアプランへ位置付けて利用するため、長時間の付き添いが必要なら別の方法も含めて相談します。

同居している家族が働いていると生活援助は使えませんか?

「同居しているだけで全国一律に不可」と決めつけない方が安全です。本人の生活状況、家族が実際に家事を担える状態か、地域の運用などをケアマネジャーへ伝えて確認してください。

介護認定の結果が退院日に間に合わない場合はどうしますか?

認定前の暫定的なサービス利用を検討できる場合があります。ただし正式な認定結果によって自己負担が変わる可能性があるため、ケアマネジャーや市区町村へ費用面まで確認してください。
介護保険で足りない部分を分ける
介護保険で支援できる範囲が決まったら、次に残った穴を確認します。よく残りやすいのが、長時間の見守り、家族分を含む家事、ペットの世話、庭仕事、急な付き添い、病院内での長時間対応などです。これらをすべて家族の仕事休みで埋めると、退院直後は乗り切れても数週間後に続かなくなる可能性があります。
また、「掃除を頼みたい」という言葉だけでは範囲が曖昧です。親本人が使う居室の通常清掃なのか、家族共有部分を含むのか、大掃除なのかによって扱いが変わります。洗濯も本人の衣類だけなのか、同居家族の衣類を含むのかで違います。介護保険と一般の家事代行を同じものとして考えないことが大切です。
「介護保険でできないなら、結局は家族がやるしかないの?」
そうとは限りません。介護保険外の自費サービスや家事支援などを組み合わせられる場合があります。大切なのは、公的サービスか自費かを先に決めるのではなく、残っている作業を具体化してから適した方法を探すことです。
介護保険で埋まらない部分だけを自費へ回すと、家族の時間と費用の両方を調整しやすくなります。
たとえば昼食準備と見守りに2時間必要でも、午前から夕方まで8時間の支援が必要とは限りません。反対に、認知機能の低下や転倒リスクが高く、長時間一人にできない状態であれば、短時間訪問を点在させるだけでは足りない場合があります。「何時間必要か」を本人の状態から決めることが費用管理にもつながります。
自費サービスを必要時間だけ使う
介護保険では埋めにくい時間が残った場合、保険外の訪問支援を利用する方法があります。イチロウでは、在宅での身体介護、食事、排泄、服薬管理、調理、掃除、洗濯、買い物、外出付き添い、夜間見守りなど幅広い支援が案内されています。介護保険とは別枠の自費サービスなので、介護認定や支給限度額だけで利用時間が決まる仕組みではありません。
2026年9月15日時点の公式料金では、ライトプランの日中9時〜18時は1時間3,740円(税込)、夜間18時〜翌9時は1時間4,488円(税込)で、1回2時間からの利用です。コンシェルジュプランなど料金が異なるプランもあります。料金や条件は変更される可能性があるため、利用時はイチロウ公式の最新料金ページで確認してください。
介護サービスの公開対象地域は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府です。ただし、同じ都府県内でも実際の住所が対応範囲かは確認が必要です。全国どこでも利用できるサービスとして考えず、住所地の提供状況を先に確認します。
「料金を見ると高いな。毎日使ったらかなり負担になるよね」
その通りです。だからこそ、家族不在時間を丸ごと購入するのではなく、本当に他者が必要な時間だけ使います。たとえば昼食準備と排泄確認の2時間、家族が帰宅する前の夕方2時間などに絞れば、長時間利用より費用を抑えやすくなります。
自費サービスは便利でも、長時間を毎日利用すれば負担は大きくなります。必要時間と月額の概算を必ず確認してください。
一方で、家族が毎回仕事を休み、収入や有給休暇を失いながら対応することにも負担があります。単純にサービス料金だけを見るのではなく、仕事を継続できること、家族の移動時間、精神的・身体的負担まで含めて比較すると判断しやすくなります。

| 時間帯 | 確認する生活行為 | 支援例 |
|---|---|---|
| 朝 | 起床・排泄・朝食・服薬 | 家族・訪問介護 |
| 午前 | 移動・水分・見守り | 本人・訪問支援 |
| 昼 | 昼食・昼薬・排泄 | 訪問介護・自費支援 |
| 午後 | 見守り・家事・通所 | デイサービス等 |
| 夕方 | 帰宅受入れ・夕食準備 | 家族・自費支援 |
| 夜間 | 就寝・排泄・安否確認 | 家族・地域の夜間支援 |
家族は続柄ではなく役割で分担する
外部サービスを整えても、家族の役割が完全になくなるわけではありません。ただし、「長男だから全部」「近くに住む娘だから毎日」と続柄や距離だけで決める必要もありません。通院同行、休日の買い物、行政手続き、サービス事業者との連絡、金銭管理、ケアマネジャーとの窓口など、役割ごとに分ける方が負担を調整しやすくなります。
たとえば平日に動けない家族でも、休日のまとめ買いなら担当できるかもしれません。遠方にいる兄弟でも、電話連絡、サービス料金の管理、書類確認ならできます。同居者だけに日常介護を集中させず、それぞれが実際に継続できる役割を持つことが重要です。
「兄弟に頼んでも『仕事があるから無理』で終わりそうなんだよな……」
毎日の身体介護だけを「介護」と考えると、できる人が限られます。月1回の受診同行、ネット注文、ケアマネジャーへの連絡、費用の振り込み、休日の掃除などまで分ければ、担当できる役割が増えることがあります。
家族分担は「誰が介護するか」ではなく、「誰がどの作業を、どの頻度なら続けられるか」で決めます。
家族会議では、できることだけでなく「できないこと」も言葉にしてください。「平日は17時まで動けない」「夜間対応は月2回まで」「通院は土曜なら可能」のように上限を共有すると、一人だけが無制限に引き受ける状態を防ぎやすくなります。家族の限界を伝えることは、親を見放すことではありません。
退院後の変化に合わせて組み直す
退院日に作った支援体制を、そのままずっと続ける必要はありません。入院中に低下した体力が戻れば、見守りや介助を減らせる場合があります。反対に、実際に自宅で生活して初めて、夜間のトイレが難しい、昼食をほとんど食べない、薬を飲み忘れるといった新しい課題が見つかることもあります。
退院初日、数日後、1〜2週間後というように、生活が実際に回っているかを確認します。見るのはサービスを使えているかだけではありません。本人が疲れすぎていないか、家族が仕事中も頻繁に電話対応していないか、予定以上に家族の訪問が増えていないか、費用が想定内かまで含めて見直します。
「一度サービスを決めたら、変更をお願いしにくそうだな」
状態が変われば相談し直して構いません。退院後の支援は、最初から完璧な形を完成させるものではなく、実際の生活に合わせて調整していくものです。介護保険サービスならケアマネジャーへ、自費サービスなら利用時間や依頼内容の変更を事業者へ相談します。
退院直後は支援をやや厚めに準備し、本人の回復や実際の生活状況を見ながら減らす方が安全に調整しやすくなります。
逆に、家族が想定以上に仕事を休んでいる、毎日のように緊急対応している、本人が一人の時間に何度も転倒しているといった状態なら、現在の支援量が足りていない可能性があります。「家族が頑張れば回っている」を成功と考えず、家族が通常の仕事や生活を維持できているかも支援体制の評価項目にしてください。

退院後は何日くらいで支援を見直せばよいですか?

一律の日数はありませんが、退院直後から気になる変化を記録し、数日〜1、2週間程度の実際の生活を見ながら必要に応じて相談します。危険がある場合は日数を待たず、その時点で見直してください。

支援を増やす目安はありますか?

転倒や服薬ミスが増えた、食事や水分を十分に取れない、家族からの電話確認が急増した、予定以上に仕事を休んでいるなどは、現在の支援体制を再確認するきっかけになります。

本人が回復してきたらサービスを減らしてもよいですか?

安全にできることが増えたなら見直す余地があります。本人の能力を残すことも大切なので、必要以上に支援を固定せず、ケアマネジャー等と相談しながら調整してください。

親の退院後は支援の穴から埋める
親の退院直後に仕事を休めない時、最初から「仕事か介護か」の二択にする必要はありません。まず朝・日中・夕方・夜間の一日の流れを書き出し、食事、排泄、服薬、移動、家事、見守りの中で、本人だけでは難しい行為を確認します。その行為が家族の不在時間と重なる場所が、最初に埋めるべき支援の穴です。
その穴を、介護保険サービス、訪問看護、デイサービス、家族分担、自費サービスなどで組み合わせます。一つのサービスだけですべてを解決しようとすると、時間帯や依頼範囲が合わないことがあります。公的支援で対応できる部分は公的支援を使い、長時間見守りや対象外の家事など残った部分だけ自費サービスを検討すると、費用も整理しやすくなります。
家族の休みは、退院前説明、退院当日、重要な受診、契約やサービス調整など、家族が直接関わる価値が高い場面へ優先して使います。掃除や毎日の食事準備など、他者へ任せられる作業まで一人の家族が抱え込むと、数日間は続いても長期的な仕事との両立が難しくなります。兄弟や親族がいる場合も、続柄ではなく、できる作業と時間で分けてください。
そして、退院日に作った支援体制を固定しないことも重要です。退院後に体力が戻れば支援を減らせることがありますし、自宅へ戻って初めて見つかる問題もあります。本人の生活だけでなく、家族が予定以上に仕事を休んでいないか、毎日何度も呼び出されていないか、費用が想定を超えていないかまで確認し、必要なら早めにケアマネジャーや地域の相談窓口へ伝えましょう。
健さんの視点コラム
親が入院している間は、病院に任せられていた食事、排泄、服薬、移動、安全確認が、退院した瞬間に家庭の問題へ戻ってきます。しかも家族には仕事があり、子育てや自分自身の生活もあります。「親が家に帰れるなら何とかしなければ」と考えても、朝から夜まで同じ人が付き添い続ける生活を何週間、何か月も続けるのは簡単ではありません。
介護の仕事をしていても、身内のことになると判断の難しさは変わります。専門的な知識だけでなく、親の希望、兄弟との関係、仕事、家計、これまでの家族関係まで一緒に入ってくるからです。だから「家族ならこれくらいできるはず」と考えるより、現実に何時なら対応でき、何時はどうしても無理なのかを言葉にする方が、支援は組みやすくなります。
本人にも役割があります。できる動作まで全部取り上げず、安全にできることは続けてもらう。家族は本人の希望を聞き、必要な判断や連絡を担う。ケアマネジャーや医療・介護職は状態に合った支援を考える。民間サービスは公的支援だけでは届かない時間を補う。このように一人の家族を中心に置くのではなく、複数の人とサービスで生活を支える形を作ることが大切です。
人生健康第一とは、家族が無理をしてでも親の介護を全部背負うことではありません。親の安全を守ることと同じように、支える家族が仕事を失わず、体調を崩さず、家庭生活を続けられることも大切です。退院直後に一時的に手を厚くすることはあっても、それを家族一人の恒久的な役割にしないために、早い段階から外部支援を組み込む視点が必要です。
退院後の生活は、最初から完璧な計画を作らなくても構いません。朝食は回っている、昼薬だけ支援が必要、夕方は一人だと不安というように、実際に困っている場所を一つずつ確認していけば支援の形は見えてきます。本人も家族も生活を続けられることを基準に、必要な時は専門職へつなぎ、状況が変われば組み直していくことが現実的な支え方です。
介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。

