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この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営
高齢の親が入院して「暇そうだから何か持って行きたい」と考えても、スマホの操作が苦手だったり、目が見えにくかったり、耳が遠かったりすると選択肢に迷います。動画を見せようとしても一人で操作できない、本を渡しても文字が小さい、ラジオならよさそうでも聞き取りにくいなど、「普通の暇つぶし」がそのまま使えるとは限りません。
私は元プロアスリートとして体と向き合い、納棺師として人の命の終わりを見届け、現在は介護福祉士として日常の健康と生活を支える現場にいます。そんな経験から辿り着いた信念があります。それは人生健康第一です。入院中の過ごし方も、たくさんの物を用意することより、本人が疲れず、自分で扱えて、少しでも落ち着いて過ごせる方法を選ぶことが大切です。
この記事では、スマホを使わなくても楽しめる入院中の暇つぶしを、目が見えにくい場合、耳が遠い場合、両方に不自由がある場合に分けて考えます。さらに、ラジオ、大活字本、写真、手紙、塗り絵、パズルなどを選ぶ時の見方と、家族が準備する時に確認しておきたい病室のルールも順番に整理します。
最初に見る判断軸は、「何が人気か」ではありません。本人が普段から何をして過ごしていたか、目と耳のどちらを使いやすいか、一人で始めて終われるか、今の体調や姿勢で無理なく続けられるかです。入院してから新しい機械を覚えてもらうより、これまで慣れていた方法を少し使いやすくして持ち込むほうが負担を減らせる場合があります。
この記事のポイント
- スマホが苦手な高齢者でも使いやすい暇つぶしがわかる
- 目が悪い・耳が遠い場合に選び方を変える理由が理解できる
- ラジオ・大活字本・写真・パズルの確認ポイントがわかる
- 入院先へ確認してから持ち込むべき理由が理解できる
スマホなしの暇つぶしを選ぶ
- まず目と耳の使いやすさを見る
- 目が悪い時は音声を使う
- 耳が遠い時は視覚を使う
- 両方不自由なら慣れを優先する
まず目と耳の使いやすさを見る
「入院中の暇つぶし」と検索すると、本、動画、スマホ、タブレット、ラジオ、塗り絵、クロスワード、ナンプレなど多くの候補が出てきます。しかし、高齢者の場合は年齢だけで選ばず、現在の体調、姿勢、手指の動き、視力、聴力、集中できる時間、普段の趣味を一緒に見る必要があります。70代だからこれ、80代だからこれ、と決めるより、本人が今どの感覚を使いやすいかを見るほうが選びやすくなります。
たとえば目が見えにくくても、普段からラジオを聞いていてイヤホンで音を聞き取れる人なら、音声中心の過ごし方が候補になります。反対に耳が遠くても、大きな文字なら読める、写真を見られる、鉛筆を持てるという人なら、大活字本や大きな図柄の塗り絵などが候補です。両方に不自由がある場合は、新しい活動を増やすより、家族写真や昔から読んでいる雑誌など、内容を理解しやすい物が向くことがあります。
もう一つ確認したいのが「一人で始められるか」です。家族が面会中に操作してあげれば使えても、家族が帰った後に電源の入れ方が分からない、イヤホンを差せない、ページを押さえられないのであれば、実際には暇つぶしになりにくくなります。特にスマホが苦手な人へ入院後からアプリや動画操作を覚えてもらう方法は、体調不良や慣れない病室環境が重なり負担になることがあります。
「スマホが使えないと、できることが少なそうです」
そんなことはありません。スマホがなくても、ラジオ、本、写真、手紙、雑誌、塗り絵、クロスワードなど、昔からある方法だけでも候補は十分あります。
むしろ大切なのは、機能の多さより「本人が説明なしで扱えること」です。電源を入れる、音量を調整する、ページを開く、鉛筆を持つなど、動作が少ないほど病室でも続けやすくなります。家族が準備する時には、本人へ「何をしたい?」と聞くだけでなく、「家では何をしている時間が長かったか」を思い出すと候補を絞りやすくなります。
入院中の暇つぶしは、人気商品より「本人が今も使える感覚と慣れた方法」で選ぶことが基本です。
本人が普段ラジオを聞かないのに「高齢者にはラジオがいい」と渡しても使わないことがあります。逆に毎朝ラジオを聞く習慣がある人なら、病室でも生活のリズムをつくるきっかけになるかもしれません。趣味そのものを新しく作るのではなく、自宅での生活の一部を病室へ小さく持ってくるイメージで考えると無理がありません。
目が悪い時は音声を使う
目が見えにくい人では、文字の小さい文庫本、細かなナンプレ、複雑な間違い探しなどは疲れやすくなります。「眼鏡をかければ読める」としても、病室の照明、姿勢、体調、目の疲れによって自宅と同じように読めるとは限りません。読書を続ける場合は、大きな文字、はっきりしたコントラスト、行間、ページの重さまで見て選びます。
読むことが負担なら、ラジオや音声を使う方法があります。スマホの音声アプリを覚えてもらわなくても、乾電池式の携帯ラジオなら、電源、選局、音量調整が分かれば使用できます。現行の携帯ラジオの一例として、パナソニックのRF-P155はFM・AMに対応し、単3形乾電池2本で使用でき、3.5mmのモノラルイヤホン端子を備えています。メーカーの商品一覧でも現在掲載されています。
ただし「目が悪い=ラジオ」と決めるのも早すぎます。耳が遠ければ聞き取りづらく、補聴器を使っている人ではイヤホンとの組み合わせも確認が必要です。また、選局ダイヤルの表示そのものが見えないと、一人で放送局を合わせにくくなります。購入前に家族が実物や商品画像を見て、電源と音量の場所が本人に分かるかを確認してください。
「多機能なラジオのほうが長く使えるのでは?」
入院中だけを考えるなら、多機能であることが必ずしも使いやすさにつながるわけではありません。
時計、録音、Bluetooth、USB充電などが便利でも、ボタンが増えれば押し間違える可能性も増えます。スマホ操作が苦手な高齢者では、「電源を入れる→聞く→音量を変える→切る」という少ない手順で完結する機器のほうが扱いやすいことがあります。ラジオ選びでは、機能表だけでなく、本人が一人で戻せる操作かを見ることが重要です。
目を使いにくい人へ機械を選ぶ時は、多機能さより操作数の少なさを優先します。
現在販売されている携帯ラジオの仕様を確認したい場合は、パナソニックのラジオ・ラジオレコーダー公式商品一覧で現行機種を確認できます。Amazonや楽天で購入する場合も、商品名だけで選ばず、イヤホン端子、乾電池方式、本体の大きさ、操作部分を確認してから選ぶと失敗を減らせます。
耳が遠い時は視覚を使う
耳が遠い人には、音を大きくすれば解決すると考えがちですが、大部屋では周囲への配慮が必要です。ラジオやテレビのスピーカー音量を上げられない病棟もあり、イヤホンを求められることがあります。聞き取ることそのものに疲れる人なら、無理に音声を暇つぶしの中心へしないほうがよい場合があります。
視力と手指の動きに余裕があるなら、大活字本、写真、雑誌、大きめのクロスワード、塗り絵、間違い探しなどが候補になります。紙の暇つぶしは充電やWi-Fiが不要で、操作方法を覚える必要もありません。ただし、小さな文字、細かな線、薄い印刷は見えにくいため、「高齢者向け」と書かれていることだけで決めず、実際の文字や図柄を確認します。
大活字本は、文字を大きくするだけでなく、行間なども読みやすいよう調整された本があります。埼玉福祉会では、視力が弱い人や高齢で文字が読みづらくなった人向けに大活字本を刊行しており、一般的な文庫本より大きな活字を使用しています。ただし文字が大きい分、本自体が大きくなったり、作品が複数冊に分かれたりするため、ベッド上で持ち続ける人では重さも確認してください。
「耳が遠いなら、パズルを渡せば間違いないですよね?」
パズルが好きな人なら候補ですが、耳が遠いことだけを理由に選ぶのはおすすめできません。
クロスワードでは問題文を読む力、文字を書く動作、言葉を思い出す作業が必要です。ナンプレなら長文は少ないものの、盤面を見る力とルールの理解が必要です。入院前から楽しんでいた人ならよい一方、初めての人へ「頭の体操になるから」と難しい問題を渡すと、楽しみより負担が勝ってしまうことがあります。
耳が遠い人では、視力・手指機能・本人の趣味が保たれているかを確認して紙の暇つぶしを選びます。
大活字本については、埼玉福祉会の大活字本シリーズ公式ページで特徴や現在の目録を確認できます。購入する場合も「高齢者向け」という表示だけでなく、実際の文字サイズ、ページ数、重量、本人が読みたいジャンルかまで確認してください。

大活字本なら、視力が落ちていても必ず読めますか?

必ずとは言えません。文字の大きさだけでなく、視野、コントラスト、目の疲れ、姿勢、本の重さなどでも読みやすさは変わります。可能なら購入前に実際の紙面を確認しましょう。

補聴器を使っていればラジオも問題ありませんか?

補聴器の種類や本人の聴こえ方によって異なります。イヤホンを併用できるか、音量調整が本人にできるかも含めて確認してください。

病室へラジオを持って行けば、そのまま使えますか?

病院ごとに異なります。私物の電気製品やラジオの扱い、イヤホン使用の条件があるため、入院案内を見るか病棟へ確認してから持ち込むほうが確実です。

両方不自由なら慣れを優先する
目も見えにくく耳も聞こえにくい場合は、「見えないなら音」「聞こえないなら文字」という単純な分け方ができません。音声だけに頼っても聞き取れず、紙だけに頼っても文字が読めないことがあります。この場合に優先したいのは、新しい暇つぶしを探すことより、本人が内容を理解しやすく、操作を覚えなくてよい方法です。
候補になるのは、大きく印刷した家族写真、昔から好きな風景や趣味の写真、文字を大きく書いた短い手紙、本人が何度も読んだ本、見慣れた雑誌などです。写真なら細かな文字を読む必要がなく、内容を家族が説明することもできます。見える範囲が限られる人には写真を一枚ずつ見せ、文字が読める場合は太めのペンで短く名前や場所を書き添える方法もあります。
「せっかく入院したのだから、何か新しいことを始めてもらいたい」
本人が望んでいるならよいのですが、暇つぶしをリハビリや訓練のように考えすぎる必要はありません。
入院中は、病気そのものの疲れ、検査、治療、睡眠不足、慣れない環境などが重なっています。普段ならできることでも集中が続かない日があります。クロスワードを10分しただけで疲れるなら途中でやめてよく、写真を一枚見るだけの日があってもかまいません。「暇を全部埋める」のではなく、「何もしない時間以外の選択肢を一つ作る」くらいに考えると本人への負担を減らせます。
入院中の暇つぶしは、本人が疲れている日にまで続けさせるものではありません。
親の入院全体について、暇つぶし以外の準備や家族の判断も合わせて確認したい方は、健さんの親の入院生活を支える時に確認したいことも参考にしてください。
病室で使える暇つぶしを比較
- ラジオは操作と聴こえ方を見る
- 本やパズルは見やすさを見る
- 写真や手紙は簡単に準備できる
- 病院ルールを先に確認する
- 家族は少量から試していく
親の介護で迷ったときに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。
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ラジオは操作と聴こえ方を見る
入院中にスマホを使わない暇つぶしとして、ラジオは候補にしやすい道具です。画面を見続ける必要がなく、ベッド上でも利用しやすく、乾電池式なら充電操作も不要です。ただし「高齢者向け」と書かれた商品を選べばよいのではなく、電源、音量、選局の操作が本人に分かるかを見る必要があります。
特に確認したいのは、電源と音量が分かりやすいこと、選局操作が複雑でないこと、ダイヤルやボタンが小さすぎないこと、イヤホン端子があることです。さらに、病室では電波状況が自宅と異なるため、ワイドFM対応だから必ず聞こえるとも限りません。建物の構造や病室の位置によって受信状況は変わります。
現在販売されているパナソニックRF-P155は単3形乾電池2本で動作し、イヤホン端子を備えたシンプルなFM・AMラジオです。こうした機種はスマホのようなアプリ操作は不要ですが、それでも本人が選局ダイヤルを扱えるかは別問題です。家族が購入したら入院前または面会時に一度一緒に操作し、「このつまみで音量」「ここで局を合わせる」と確認しておくと使いやすくなります。
「乾電池式なら病院でも自由に使えますよね?」
乾電池式でも、持ち込み可能とは限りません。
病院によってはラジオや私物電気製品について独自のルールがあります。また大部屋ではイヤホンを求められる場合があります。購入してから使えないことに気づかないよう、入院案内を確認し、不明なら病棟へ「乾電池式のラジオと有線イヤホンを持ち込めますか」と具体的に聞く方法が確実です。
ラジオやイヤホンは、購入前に病院の持ち込み・使用ルールを確認してください。
また、イヤホンを長時間付け続けると耳が痛くなる人もいます。耳が遠いからと必要以上に音量を上げるのではなく、本人が無理なく聞き取れる範囲かを確認します。補聴器を使用している場合は、日頃どのようにテレビやラジオを聞いているかを家族が把握しておくと、病室で新しい方法を試さずに済みます。
| 暇つぶし | 向きやすい人 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| ラジオ | 音声を聞き取りやすい | 操作・イヤホン・受信状況 |
| 大活字本 | 大きな文字なら読める | 文字・重さ・ページ数 |
| 塗り絵 | 絵を見て手を動かせる | 線の太さ・図柄の大きさ |
| クロスワード | 言葉遊びが好き | 文字サイズ・難易度 |
| ナンプレ | ルールを知っている | マスの大きさ・数字の見え方 |
| 写真・手紙 | 機械操作を避けたい | 写真の大きさ・文字の読みやすさ |

イヤホンは有線と無線のどちらが高齢者向きですか?

一律ではありませんが、スマホや機器操作が苦手なら、充電やペアリングが不要な有線イヤホンのほうが手順を減らせる場合があります。

ラジオは高い物を選んだほうが安心ですか?

価格だけでは決められません。本人が使うなら、操作の分かりやすさ、重さ、イヤホン端子、電池方式を優先して比較してください。

一度に何種類くらい持って行けばよいですか?

最初から大量に持ち込まず、本人が使いそうな物を一つか二つ試し、使った物だけ追加する方法が管理しやすいです。
本やパズルは見やすさを見る
本やパズルは電源が不要で、大部屋でも音を出さずに使える点が便利です。しかし、視力が低下している高齢者にとっては、内容より先に「見えるかどうか」が問題になります。文字が小さい、線が薄い、マスが細かい、紙面に情報が詰まっていると、数分読んだだけでも疲れることがあります。
大活字本を選ぶなら、単純な文字の大きさだけでなく、行間や本の重さも確認します。長編小説が好きだった人でも、入院中は集中が続きにくいことがあります。その場合は短編集、エッセイ、旅行、鉄道、園芸、歴史など、本人が好きなテーマを短時間で読める本に変える方法があります。読書習慣がない人へ無理に本を渡す必要はありません。
クロスワードやナンプレも同じです。普段から遊んでいた人にはよい暇つぶしですが、初めて取り組む人にはルールを覚える負担があります。目が悪い人なら、文字や数字が大きいこと、マスが広いこと、線が濃いことを優先します。塗り絵なら、細かな花模様より太い線で大きく区切られた図柄から試すほうが取り組みやすい場合があります。
「難しい物のほうが脳の刺激になりそうだけど」
暇つぶしとして持ち込むなら、難しさより「少しやって終われること」を優先してください。
入院中の本人は、検査やリハビリで疲れている日もあります。問題が解けないことがストレスになれば、暇つぶしの目的から外れてしまいます。本人が「今日はここまで」と自分で中断でき、翌日に続きをしたくなる程度の難易度が現実的です。家族が正解を確認したり、完成を求めたりする必要もありません。
本やパズルは「高齢者向け」という表示より、本人が無理なく見えて続けられるかを優先します。
Amazonや楽天で探す時には、「大活字」「大きい文字」「シニア向け」といった検索語に加え、商品画像で実際の文字や盤面を確認してください。レビューだけでは購入者本人の視力や好みまでは分からないため、家族が使いやすそうと判断するだけでなく、可能なら本人に画面を見せて選んでもらう方法もあります。

写真や手紙は簡単に準備できる
スマホ操作が苦手で、目や耳の機能にも不安がある人ほど、写真や手紙のように操作を必要としない物が役立つことがあります。写真は充電が不要で、音も出ず、大きな荷物にもなりにくい方法です。家族写真、ペット、昔住んでいた家、旅行先、庭、好きだった景色など、本人にとって意味のある写真を数枚選びます。
大量の写真を持ち込むより、小さなアルバムに数枚入れる方法が管理しやすくなります。視力が落ちている場合は、小さな集合写真より人物が大きく写っている写真のほうが分かりやすいことがあります。写真の下へ名前を書く場合も、細いボールペンで長い説明を書くより、太めの文字で「孫の○○」「春の旅行」など短く書くほうが確認しやすくなります。
手紙も同じです。長文を読むことが目的ではなく、家族の声を文字として残すことに意味があります。「今日は学校だったよ」「家の花が咲きました」「また○日に来ます」のように短く書き、文字を大きめにします。耳が遠く会話を聞き取りにくい人でも、文字を読めれば家族の言葉を落ち着いて確認できます。
「写真だけでは暇つぶしとして弱くないですか?」
長時間遊ぶ物ではありませんが、長く続けることだけが暇つぶしではありません。
入院中には、短い時間でも安心できるもの、何度でも見返せるものが役立つ場合があります。特に目と耳の両方に不自由がある人では、新しい機械や複雑なパズルより、内容をすでに知っている写真のほうが受け入れやすいことがあります。家族が面会した時に写真を一緒に見て、帰った後もベッドサイドで見られるようにすれば、会話の続きとして使えます。
機械操作が難しい人では、写真や短い手紙も立派な入院中の過ごし方になります。
写真や手紙を使った差し入れについて詳しく知りたい方は、健さんの高齢者の入院中に喜ばれる差し入れ|写真・手紙の選び方も紹介も合わせてご覧ください。
病院ルールを先に確認する
暇つぶし用品は、本人に合っていても病院で使えなければ意味がありません。病院では治療、安全、感染対策、同室者への配慮などから、私物の持ち込みや使用方法が決められている場合があります。特にラジオ、テレビ、イヤホン、充電器などの電気製品は病院による違いが大きいため、全国一律で「持ち込み可能」とは言えません。
大部屋では音の問題もあります。本人が耳の遠さを補うためにスピーカー音量を上げれば、周囲の患者さんには大きな音になります。そのためイヤホン使用が前提になる病院もあります。一方で、耳が遠くイヤホンでも聞き取れない人にラジオを持たせても使えません。病室の種類と本人の聴こえ方の両方から判断する必要があります。
紙の暇つぶしでも何でも自由とは限りません。大きなジグソーパズルや手芸セットは収納場所を取り、細かな部品を落とすことがあります。ハサミや針などを使う物には安全面の確認が必要です。ベッド周辺にはナースコール、点滴ライン、ベッド柵などがあるため、暇つぶし用品で必要な動線をふさがないことも大切です。
「紙の物なら確認しなくても大丈夫そうだけど」
本や写真一冊程度なら問題になりにくい場合がありますが、物の種類と量によっては確認したほうが安全です。
病室は自宅の部屋ほど収納スペースがありません。本、雑誌、塗り絵、筆記具、写真、ラジオを全部持ち込めば床頭台がいっぱいになることもあります。清掃や看護の妨げにならないよう、まず一つか二つを試し、本人が使った物だけ残す方法が現実的です。
暇つぶし用品は「使えるか」だけでなく「病室に置いて管理できるか」まで確認します。
確認する時は「暇つぶし用品を持って行っていいですか」と漠然と聞くより、「乾電池式ラジオ」「有線イヤホン」「大活字本」「色鉛筆」のように具体的な品名を伝えると回答を得やすくなります。病院ホームページや入院案内に書かれていなければ、看護師や病棟スタッフへ確認してください。
| 確認項目 | 家族が見る点 | 合わない時の変更 |
|---|---|---|
| 視力 | 文字・写真・線が見える | 大活字・音声へ変更 |
| 聴力 | イヤホンで聞き取れる | 本・写真へ変更 |
| 手指 | ページやつまみを扱える | 操作の少ない物へ変更 |
| 姿勢 | 無理なく持てる | 軽い物・音声へ変更 |
| 集中時間 | 疲れる前にやめられる | 短時間向けへ変更 |
| 病院ルール | 持ち込み・音・電源 | 許可された物へ変更 |
家族は少量から試していく
家族としては、親が一人で病室にいる時間を想像すると「退屈しないように何かたくさん用意しなければ」と考えやすくなります。しかし、入院中は検査、診察、食事、リハビリ、処置、昼寝などが入り、自宅にいる時ほど自由時間が長いとは限りません。体調によっては、テレビを見る気力さえない日もあります。
そのため、最初は本人が最も慣れている物を一つ、次に違う感覚を使う物を一つ、という程度でも十分です。たとえば普段ラジオを聞く人ならラジオと写真、読書が好きなら大活字本と短い手紙という組み合わせです。使わなければ持ち帰り、別の物を試します。最初の選択が外れても失敗ではありません。
介護の現場でも、高齢者の状態は一日中同じとは限りません。朝は会話できても午後には疲れている、前日は読めた文字が今日は見づらいということもあります。「昨日できたのだから今日もできる」と固定せず、その日の表情や反応を見ることが重要です。本人が「今日はいい」と言うなら、その日は休む選択も尊重します。
「せっかく買ったのに使ってくれなかったら、もったいないな」
その心配があるからこそ、最初から高価な物や大量の用品を揃えない方法が向いています。
ラジオなら自宅にある物を一度試す、本なら図書館や手元の本から始める、写真なら家にある物を数枚選ぶなど、買わずに試せる方法もあります。本人が使うことを確認してから、より見やすい物や操作しやすい物を購入しても遅くありません。暇つぶしは「買うこと」が目的ではなく、本人の過ごし方を少し楽にすることが目的です。
一度に完璧なセットを作るより、本人の反応を見ながら少しずつ入れ替えるほうが現実的です。
家族が面会できるなら、「これ使った?」「どれが一番楽だった?」と聞き、答えだけでなく実際に減っているページや置かれている位置も確認します。本人が「使っている」と話していても、操作方法が分からず置いたままの場合もあります。反対に、短時間しか使っていなくても本人が楽しみにしているなら、その物は残す価値があります。

目も耳も悪い場合、結局何を最初に持って行けばよいですか?

まず本人が自宅で最も慣れていた物から考えてください。候補がなければ、大きめの写真や短い手紙など、操作が不要で内容を理解しやすい物から試す方法があります。

何もしたがらない時は認知症予防のために勧めたほうがよいですか?

無理に続けさせる必要はありません。疲れや治療の影響もあるため、本人が嫌がる時は休み、体調がよい時に好きな活動を短時間試すほうが負担を減らせます。

写真や本を病室へ置いたままにして大丈夫ですか?

収納場所と病院のルールを確認してください。紛失して困る原本や高価な物は避け、写真ならコピーを使うなど、管理しやすい形にする方法もあります。

入院中は本人が使いやすい方法を選ぶ
スマホが苦手な高齢者の入院中の暇つぶしは、スマホを使えるようにするところから始める必要はありません。ラジオ、大活字本、雑誌、写真、手紙、塗り絵、クロスワードなど、機械操作をほとんど必要としない方法があります。大切なのは候補の多さではなく、本人が今使いやすい感覚と、これまで慣れてきた過ごし方を確認することです。
目が見えにくい人なら音声を利用できるか、耳が遠い人なら大きな文字や写真を見られるかを確認します。ただし、目が悪いから必ずラジオ、耳が遠いから必ず本という決め方はできません。目と耳の状態だけでなく、手指の動き、姿勢、集中できる時間、本人の趣味、病室の環境まで合わせて考えることで、実際に使える選択肢へ絞れます。
また、病院には大部屋の音、イヤホン、私物電気製品、収納などのルールがあります。使いやすそうな商品を先に大量購入するのではなく、病院へ確認してから、一つか二つを試す方法が無駄を減らします。本人が使わなければ別の物へ替えればよく、最初から完璧な暇つぶしセットを作る必要はありません。
家族ができることは、暇な時間をすべて埋めることではありません。本人が「少しラジオを聞こう」「この写真を見よう」「今日は本を数ページ読もう」と選べる状態を作ることです。何もしないで休む日があっても問題ありません。入院中は治療と回復が中心であり、暇つぶしはその時間を少し過ごしやすくするための選択肢です。
健さんの視点コラム
高齢の親が入院すると、家族は「退屈していないだろうか」「何か持って行かなければ」と考えます。元気な時なら好きなテレビを見たり、本を読んだり、近所へ出かけたりできた人が、病室ではベッド中心の生活になります。時間を持て余しているように見えると、家族が何かしてあげたくなるのは自然なことです。
ただ、本人側には病気や治療による疲れがあります。家族から見ると何もしていない時間でも、本人には休息が必要な時間かもしれません。一方で、本人が「退屈だ」と話しているなら、その気持ちを軽くする方法を考える価値があります。ここで必要なのは、家族が良いと思う物を大量に持ち込むことではなく、本人が自分で選べる小さな選択肢を作ることです。
本人は「できること」「やりたいこと」を伝え、家族は使いやすい形へ準備し、病院スタッフは治療や安全上の制限を確認する。それぞれの役割を分けると、家族だけで正解を探し続ける必要がなくなります。ラジオ一つでも、本人には聴こえ方、家族には操作性、病院には使用ルールという別々の確認があります。
人生健康第一とは、何かを無理に頑張らせることではありません。暇だから脳トレをしなければならない、スマホを覚えたほうが便利だから練習しなければならない、と負担を増やす必要はありません。休む日には休み、少し余裕がある時に好きなことへ触れられる。そのくらいの余白を残すことも、療養生活を支える一つの方法です。
入院中の過ごし方に唯一の正解はありません。ラジオを聞く人もいれば、写真を眺めるだけで落ち着く人もいます。本を一冊読み切る必要も、パズルを完成させる必要もありません。本人の視力、聴力、体調、その日の気分を見ながら、「今日はこれならできそう」という方法を選べる環境を作ることが、現実的な支え方になります。
介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。
