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親の様子がおかしい時は何科?受診先と医師へ伝えるポイント

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この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営

「最近、親の様子がおかしい。でも、病院に連れて行くなら何科なんだろう」。物忘れなのか、体調が悪いのか、それとも認知症なのか分からないままでは、病院を探そうとしても迷います。この記事では、最初から病名を決めるのではなく、まず急いで医療につなげる状態ではないかを確認したうえで、親の状態に合った受診先と医師への伝え方を見ていきます。

私は元プロアスリートとして体と向き合い、納棺師として人の命の終わりを見届け、現在は介護福祉士として日常の健康と生活を支える現場にいます。そんな経験から辿り着いた信念があります。それは人生健康第一です。親の変化に気づいたときも、家族だけで原因を決めようとせず、必要な医療や支援につなげることが本人と家族の生活を守ることにつながります。

「何科に行けばいいのか」だけを先に決めようとすると、急な病気を見落としたり、反対に専門外来を探し続けて受診が遅れたりすることがあります。まず変化が突然なのか徐々なのかを分け、そのうえで身体の症状、物忘れ、行動の変化などを見ていくと、次に相談する場所を考えやすくなります。

まず確認したいのは、親の変化がいつから始まったのかです。昨日まで普通だったのに急に変わったのか、それとも数週間、数か月かけて少しずつ変わってきたのか。ここから見ていきましょう。

この記事のポイント

・親の様子がおかしい時に最初に確認することがわかる
・かかりつけ医やもの忘れ外来など受診先の違いが理解できる
・医師へどのような情報を伝えればよいかがわかる
・受診拒否や付き添いで困った時の相談方法が理解できる

親の様子がおかしい時は何科?まず急変か確認

・突然の異変は認知症と決めつけない
・顔のゆがみや麻痺は119番を検討
・徐々な変化ならかかりつけ医へ相談
・もの忘れ外来は何を診るところ?
・脳神経内科・精神科・老年科の違い

突然の異変は認知症と決めつけない

親が急にぼんやりしたり、話がかみ合わなくなったりすると、「いよいよ認知症が始まったのか」と考えるかもしれません。ただ、数時間から数日で急に様子が変わった場合は、最初から認知症だけに結びつけないほうがよい状態です。脳卒中のほか、感染症、脱水、低血糖、薬の影響などでも、高齢者の様子が急に変わることがあります。せん妄のように、注意力や意識の状態が短期間で変化し、一日の中でも状態が変わることもあります。

「熱もないし、痛いとも言っていない。それなら大丈夫なのでは」と思うかもしれません。高齢者の場合、自分の症状をうまく説明できないことがあります。食欲が落ちた、急に眠る時間が増えた、歩けていたのに足元がおぼつかない、急に落ち着かなくなったという変化が、身体の不調と関係している場合もあります。

では、家族は何の病気か見分けなければいけないのでしょうか。そこまで家族が病名を当てる必要はありません。確認したいのは、次のような「普段との違い」です。

・いつから変わったのか
・数時間から数日で急に変わったのか
・意識や反応がおかしくないか
・食事や水分が取れているか
・転倒や頭部打撲がなかったか
・薬の開始、変更、飲み間違いがなかったか

病名が分からなくても、「昨日までは一人で食事をしていたのに今日はほとんど食べない」「朝から何度呼んでも反応が鈍い」という変化なら伝えられます。家族が知っている普段の状態と比べて話すことが、受診時の情報になります。「いつもの親と明らかに違う」という家族の感覚も大切です。何となくおかしいと感じたら、その違和感を無理に認知症という言葉へ置き換える必要はありません。

急な変化については、が急におかしい時の危険サインと救急車を呼ぶ具体的な判断の目安でも確認できます。

顔のゆがみや麻痺は119番を検討

「急におかしい」と感じたら、全部自分で病院へ連れて行けばいいのでしょうか。ここでは、自分で診療科を探すより119番通報を優先して考えたい症状があります。

たとえば、

・顔の片側がゆがんでいる
・片腕や片脚に力が入らない
・急にろれつが回らなくなった
・急に言葉が出なくなった
・突然激しい頭痛が出た
・急に立てないほどふらつく
・意識がない
・呼びかけへの反応がおかしい
・急に息苦しくなった

といった変化です。

「少し休ませてから病院へ連れて行こう」と考えたくなるところですが、こうした症状では外来の診療科を選んでいる場合ではないことがあります。特に、「もともと認知症があるから会話がおかしい」「高齢だから足元がふらつく」と普段の状態に結びつけると、今回新しく起きた変化を見分けにくくなります。

大切なのは、普段と比べて急に変わったかどうかです。普段から物忘れがあったとしても、今日になって突然ろれつが回らなくなったのであれば、「前から認知症だから」と一緒に考えないことが大切です。普段からある症状と、今回新しく出た症状を分けて見ます。

反対に、「救急車を呼ぶほどなのか判断できない」という場面もあります。その場合、実施地域であれば救急安心センター事業「#7119」へ相談する方法があります。ただし、意識がない、急な麻痺があるなど明らかに緊急性が高い状態で、相談電話やアプリを使うことを優先するものではありません。

徐々な変化ならかかりつけ医へ相談

急な異変ではなく、「最近、同じ話が増えた」「薬を飲んだか分からなくなることがある」「以前より少しずつ生活が変わってきた」という場合はどうでしょうか。ここで今度は、「認知症なら最初から専門病院へ行かなければいけないのでは」と迷うかもしれません。

かかりつけ医がいるなら、最初の相談先にできます。かかりつけ医は、これまでの持病や処方薬、以前の体調を把握しているため、身体の病気や薬の影響を確認しながら、必要に応じて専門科へつなげてもらえる可能性があります。物忘れが出てきたとしても、その背景に睡眠の変化や感染症、脱水、薬の変更などが関わっていることもあります。

「でも、かかりつけ医は認知症専門ではないから意味がないのでは」と感じるかもしれません。最初の受診先には、そこで診断をすべて完結させる役割だけを求める必要はありません。身体の状態や薬を確認し、さらに専門的な評価が必要なら次の医療機関へつないでもらうという進み方もあります。

また、「認知症かどうかを診てもらいたい」と病名を決めて伝えなくても構いません。「数か月前から同じ電話が増えた」「薬を重ねて飲むことがあった」「以前できていた買い物が難しくなった」というように、実際に起きている変化を伝えるほうが診察の情報になります。

一方、かかりつけ医がいない場合は、一般内科や総合診療科、もの忘れ外来、認知症疾患医療センターなどを検討できます。どこへ行けばよいか分からなければ、親の住所地を担当する地域包括支援センターへ相談する方法もあります。

頭を打ったあと、しばらくして物忘れが増えた場合も受診したほうがよいですか?

健さん
健さん

転倒や頭部打撲のあとから物忘れ、眠気、歩行障害、頭痛などが出た場合は、早めの医療評価が必要になることがあります。いつ転倒したか、頭を打ったか、その後何が変わったかを伝えてください。

薬を変えてから親の様子がおかしくなった気がします。関係することはありますか?

健さん
健さん

薬の開始、増量、変更、中止、飲み間違いなどが変化と関係する場合があります。処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも含め、現在使っているものを医師へ伝えられるようにしておきます。

物忘れが一度あっただけでも認知症を疑ったほうがよいですか?

健さん
健さん

単発の物忘れだけで認知症とは判断できません。服薬や金銭管理、料理、道順など日常生活への影響が続いているかも含めて確認します。

もの忘れ外来は何を診るところ?

「では、もの忘れが中心なら、もの忘れ外来へ行けば間違いないのか」と思うかもしれません。もの忘れ外来や認知症外来は、認知機能と生活への影響を専門的に確認する窓口です。ただし、「もの忘れ外来」という全国共通の一つの診療科があるわけではありません。

医療機関によって、

・内科
・脳神経内科
・精神科
・老年内科
・脳神経外科

などが担当していることがあります。

ここが少し分かりにくいところです。同じ「もの忘れ外来」という名前でも、紹介状が必要なのか、家族同伴が必要なのか、どのような検査を行うのか、対象となる年齢などは医療機関によって異なります。そのため、「もの忘れ外来を見つけたから、そのまま行けばいい」とは限りません。

「では、病院のホームページを見れば全部分かるのか」というと、知りたい条件が掲載されていないこともあります。その場合は、予約前に電話などで確認しておくほうが確実です。

予約時には、

「高齢の親に記憶や行動の変化があります」
「初診を受けたいのですが、紹介状は必要ですか?」
「普段の生活を知る家族も一緒に行ったほうがよいですか?」

などを確認しておくと受診を進めやすくなります。

診察では認知症だけを見るとは限りません。認知症に似た変化を起こす身体の病気や薬の影響について調べる必要がある場合もあります。

脳神経内科・精神科・老年科の違い

もの忘れ外来が近くにないと、「脳神経内科なのか、精神科なのか。結局どこへ行けばいいのか」とまた迷います。診療科名だけで一つに決めるより、親にどのような変化が目立っているかを見て候補を考えます。

脳神経内科では、物忘れに加えて、手の震え、歩きにくさ、動作の遅さ、言葉が出にくい、転倒を繰り返す、手足のしびれなどがある場合に候補になります。ただし、言葉が出ない、片側の手足が動かないといった症状が突然出た場合は、通常の外来予約より救急対応を先に考えます。

精神科や老年精神科は、幻視、妄想、強い不安、抑うつ、興奮、昼夜逆転、暴言や暴力など、精神面や行動面の変化が目立つときに候補になります。「精神科へ連れて行くのは抵抗がある」と感じる家族もいるでしょう。その場合も、緊急症状がなければ、かかりつけ医や一般内科、もの忘れ外来から相談を始める方法があります。

老年内科や老年科は、複数の持病、多くの薬、歩行の問題、フレイル、認知機能低下など、高齢者に重なりやすい問題を総合的に診る選択肢です。ただし、設置されている医療機関は限られます。脳神経外科は、頭部打撲後の変化や慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など、脳の構造的な病気が疑われる場面に関係します。

「だったら症状を見て家族が診療科を決めないといけないのか」と負担に感じるかもしれません。そこまで家族が背負う必要はありません。迷う場合は、まずかかりつけ医や一般内科へ相談し、必要な専門科への紹介を受ける方法があります。

親の様子がおかしい時は何科?受診前の準備と相談先

・医師にはいつから何が変わったか伝える
・物忘れは生活への影響まで記録する
・受診時の持ち物と家族の付き添い
・親が病院を嫌がる時の受診の進め方
・家族だけなら地域包括支援センターへ相談
・通院付き添いと仕事の調整方法

親の介護で迷ったときに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。

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医師にはいつから何が変わったか伝える

受診先が決まると、次は「先生に何を話せばいいんだろう」となります。ここで「最近、認知症っぽいんです」「性格がおかしくなりました」とだけ伝えると、家族の心配は伝わっても、いつ何が起きたのかまでは分かりません。

では、どんなふうに伝えればいいのでしょうか。

たとえば、

「同じ電話を30分間に4回した」
「朝の薬を2回飲んだ」
「予約日を3回忘れた」

このように、日時や回数まで分かると以前との違いを伝えやすくなります。

さらに、

・いつ気づいたか
・突然か徐々にか
・毎日なのか時々なのか
・時間帯によって違うか
・最近さらに増えているか
・一度元に戻ることがあるか

も分かる範囲で残しておきます。

「全部記録しなければいけないのか」と考えると大変ですが、完璧な日記を作る必要はありません。たとえば一週間すべての出来事を書くのではなく、「いつもと違った日」「生活上の失敗があった日」「状態が元に戻った時間」が分かるだけでも、経過を伝えやすくなります。

医師が確認したいのは、「以前はどうだったのか」「いつから変わったのか」という比較です。本人が話した言葉についても、家族が「妄想がひどい」とまとめてしまうより、「財布を盗られたと何度も話した」など、実際に起きたことをそのまま伝えるほうが状況を共有しやすくなります。

物忘れは生活への影響まで記録する

「忘れっぽくなった」というだけなら、年齢による変化なのか病気なのか家族には分かりません。そこで、物忘れそのものだけでなく、生活のどこまで変わっているかを見ます。

たとえば、

・薬を自分で管理できているか
・お金の支払いや金銭管理ができているか
・買い物ができているか
・料理や火の始末に変化がないか
・運転で危ないことが増えていないか
・いつもの道で迷っていないか
・電話をかけたり受けたりできているか
・着替えや入浴ができているか
・食事や水分を取れているか
・ゴミ出しや郵便物の管理ができているか

といったところです。

「これを全部チェックして、何個当てはまったら受診」という話ではありません。以前は一人でできていたことができなくなってきたのか、生活や安全に影響が出ているのかを見るためです。

「買い物はまだできているから大丈夫」と思っていても、同じ商品を何度も買っている、支払いが難しくなっているなど、作業の一部だけが変わっていることもあります。できるか、できないかだけでなく、以前とやり方が変わっていないかも確認します。

特に、薬の重複、火の消し忘れ、道に迷う、食事や水分が取れないといった問題は、「物忘れがある」という言葉だけでは伝わりにくい部分です。親を責めるための記録ではありません。家族同士でも「最近ひどい」「そんなに変わっていない」と印象だけで話すと食い違うため、日時、場所、実際の言動、生活への影響を共通の記録として残しておくと相談先にも伝えやすくなります。

受診時の持ち物と家族の付き添い

「病院へ行くことになった。では何を持っていけばいいのか」。普段の受診と同じものに加え、親の以前の状態と現在の状態を伝えられる資料を用意します。

持参を考えたいものは、

・健康保険証またはマイナ保険証
・診察券
・紹介状
・お薬手帳
・現在飲んでいる薬の一覧
・過去の検査結果
・画像データ
・健康診断結果
・家族がまとめた変化のメモ

などです。

薬については、お薬手帳だけで現在の服用状況が分からない場合もあります。そのときは薬の現物や一覧を確認しておきます。処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントについても伝えられるようにしておくとよいでしょう。補聴器や眼鏡を普段使っている場合は、それも忘れないようにします。聞こえにくさや見えにくさがあると、診察時の会話や認知機能検査にも影響するためです。

「家族は絶対に付き添わなければいけないのか」と気になるところですが、医療機関によって条件は異なります。ただ、本人だけでは説明しにくい生活の変化がある場合、普段の様子を知っている家族が一緒に行けると情報を補いやすくなります。

逆に、家族が一緒に行けば何も準備しなくてよいわけでもありません。診察室に入ると、いつ起きた出来事だったか、薬の名前は何だったかをその場で思い出せないことがあります。短いメモでも持っていれば、限られた診察時間で伝えやすくなります。

初診では、問診だけでなく認知機能検査、血液検査、画像検査などで時間がかかったり、別の日に検査が必要になったりすることもあります。予約するときに、所要時間、検査予定、家族同伴が必要かを確認しておくと、当日の負担を減らしやすくなります。

確認すること家族が準備する内容受診前に確かめたいこと
本人確認保険証・マイナ保険証、診察券初診受付の方法
お薬手帳、薬の一覧、薬の現物薬の変更や飲み間違い
これまでの医療紹介状、検査結果、健診結果過去の病気や入院歴
最近の変化家族のメモいつから、何が、何回起きたか
診察の補助眼鏡、補聴器家族同伴が必要か
当日の予定移動方法、付き添う人所要時間や検査予定

本人の前では言いにくいことがあります。医師へ先に伝えられますか?

健さん
健さん

事前メモ、問診票、家族からの電話、別室での聞き取りなどに対応できる医療機関があります。方法は病院ごとに異なるため、予約時に確認してください。

家族だけ先に病院へ行けば認知症の診断をしてもらえますか?

健さん
健さん

家族だけで受診方法について相談できる医療機関はありますが、本人を診察せずに認知症の診断や処方を確定することはできません。

初診は一度行けば全部の検査が終わりますか?

健さん
健さん

問診や認知機能検査、血液検査、画像検査などで時間がかかったり、複数回の受診が必要になったりする場合があります。予約時に検査日程や所要時間を確認しておくと安心です。

親が病院を嫌がる時の受診の進め方

受診したほうがよさそうだと分かっても、「本人が病院へ行くと言わない」というところで止まることがあります。家族からすれば、「これだけ変わっているのに、なぜ行ってくれないんだ」と思うでしょう。ただ、受診を嫌がる理由は一つではありません。

本人が変化を自覚していないこともあれば、「認知症と言われたくない」「入院させられるのではないか」「施設へ入れられるのではないか」と警戒している場合もあります。移動や長い待ち時間がつらい、費用が心配ということもあります。

ここで複数の家族で囲んで、「最近おかしい」「みんな心配している」「認知症だから検査を受けよう」と説得を続けると、かえって拒否が強くなることがあります。「では認知症のことを隠して連れて行けばいいのか」という話でもありません。受診目的について虚偽の説明をすると、その後の家族との信頼関係に影響する可能性があります。

そこで、本人が実際に困っていることから話を始める方法があります。「最近眠れていないみたいだから先生に相談してみよう」「薬が増えてきたから一度確認してもらおう」「歩きにくくなったことを相談してみよう」というように、本人も感じている問題から受診につなげます。

「一度話して断られたから、もう無理だ」と感じるかもしれません。しかし、すぐに受診へつなげる確実な方法があるわけではなく、本人の反応を見ながら何度か働きかける必要がある場合もあります。かかりつけ医を信頼しているなら、先に家族から相談して、医師から受診を勧めてもらう方法もあります。

それでも難しい場合は、家族だけで説得を続けるのではなく、地域包括支援センターなど第三者へ相談します。

家族だけなら地域包括支援センターへ相談

「本人が動いてくれないなら、家族には何もできないのか」と思うかもしれません。親がまだ認知症と診断されていなくても、地域包括支援センターへ家族だけで相談できます。

ここで大事なのは、相談する地域です。原則として、子どもが住んでいる地域ではなく、親が住んでいる地域を担当する地域包括支援センターへ相談します。

地域包括支援センターでは、高齢者の保健、医療、介護、権利擁護などについて相談でき、必要に応じて認知症疾患医療センター、認知症初期集中支援チーム、医療機関、介護サービスなどにつなぐ相談ができます。

「相談したら、そのまま介護サービスや施設の話になるのでは」と不安になるかもしれませんが、相談しただけで何かが決まるわけではありません。まずは今起きていることを具体的に伝えます。

・いつから変わったか
・本人が何を嫌がっているか
・食事や服薬はできているか
・転倒や徘徊など安全上の問題がないか
・家族がどこまで対応できるか

「まだ要介護認定も受けていないのに相談していいのか」と迷う必要もありません。介護認定やケアマネジャーがまだない場合も、親の住所地の地域包括支援センターや市区町村の介護保険窓口が相談の入口になります。

認知症が疑われても医療や介護につながっていない場合には、自治体の条件により認知症初期集中支援チームによる支援を検討できることもあります。すでに介護保険サービスを利用しているなら、担当ケアマネジャーにも状態の変化を共有します。ただし、ケアマネジャーは医療診断や救急判定をする職種ではありません。急変している場合は、医療や救急への相談を優先します。

受診後に自宅での生活をどう続けるか、介護サービスをどう組み合わせるかまで迷っている場合は、認知症の自宅介護で相談先に迷うときの整理のしかたも確認してください。

困っていること主な相談先相談するときに伝えたいこと
受診先が分からないかかりつけ医・地域包括支援センターいつから何が変わったか
認知症が疑われるもの忘れ外来・認知症疾患医療センターなど物忘れと生活への影響
本人が受診を拒否する地域包括支援センター・かかりつけ医拒否している理由や現在の生活
介護サービス利用中に状態が変わったケアマネジャー食事、服薬、転倒、徘徊などの変化
介護認定を受けていない地域包括支援センター・市区町村現在困っている生活場面
家族だけでは対応しにくい地域包括支援センターなど家族が対応できる時間や困りごと

通院付き添いと仕事の調整方法

「受診先は決まった。でも平日に付き添う人がいない」。ここまで来ると、今度は家族の仕事との調整が問題になります。

受診に付き添うといっても、

・病院まで送迎する
・受付や会計を手伝う
・院内を移動するときに付き添う
・診察室で医師の説明を聞く
・検査が終わるまで待つ

など、必要な内容は家庭によって違います。

全部を一人の家族が担当する前に、何を家族が行う必要があるのか分けて考えてみます。たとえば、送迎だけなら他の方法を使えても、医師から説明を聞く人は家族が担当したいという場合があります。反対に、家族は診察に同席できても、仕事の都合で送迎まではできないこともあります。

仕事を休む必要がある場合、条件を満たせば介護休暇を利用できることがあります。介護休暇は家族の通院付き添いや介護サービスの手続き、ケアマネジャーとの短時間の打ち合わせなどにも利用できます。対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日で、1日または時間単位で取得できます。

「介護休暇なら給料も出るのか」と思うところですが、有給か無給かは会社の就業規則によって異なります。年次有給休暇とは別の制度なので、勤務先の担当部署へ確認してください。長い期間、仕事と介護を両立する体制を作る必要がある場合には、介護休業という制度もあり、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できます。

ただ、家族が全部付き添えないからといって、すぐに仕事を長期間休むことだけが答えではありません。介護保険による通院介助が利用できる場合もあれば、介護保険では対応できない送迎や長時間の院内付き添いに自費サービスを組み合わせられる場合もあります。

「自費なら何でも頼めるのか」というと、そこもサービスごとに違います。自費の付き添いを検討するときには、料金だけではなく、

・対応地域
・最低利用時間
・時間料金
・交通費
・キャンセル料
・診察室への同席が可能か
・医師の説明を家族へどこまで報告できるか
・本人の同意
・緊急時の連絡方法

まで確認しておきます。

「家族が付き添えない=受診できない」と決めてしまう前に、必要な付き添いを分け、家族、介護サービス、自費サービスでどこまで補えるかを確認してみてください。

また、親の様子が急に変わり、救急車を呼ぶか迷ったときに利用できる地域では、消防庁の救急安心センター事業「#7119」で医師、看護師、救急救命士などに相談できます。実施地域や利用時間も確認できます。

総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」

親が予約日を何度も忘れる場合はどうすればよいですか?

健さん
健さん

家族で予定を共有する、カレンダーなどで予定を確認できるようにする、送迎や付き添いを検討する方法があります。医療機関にも予約確認の方法を相談してみてください。

介護休暇は要介護認定を受けていなければ使えませんか?

健さん
健さん

介護休暇や介護休業の対象となる「常時介護を必要とする状態」は、要介護認定の有無だけで決まるものではありません。勤務先の担当部署や厚生労働省の基準を確認してください。

病院への付き添いを自費サービスへ全部任せられますか?

健さん
健さん

サービスごとに対応範囲が異なります。送迎、院内付き添い、診察室への同席、医師から聞いた内容の家族への報告など、必要な支援が対応範囲に含まれるかを契約前に確認してください。

親の様子がおかしい時は何科?受診先を迷ったときのまとめ

親の様子がおかしいと感じたとき、最初から「認知症かもしれない」「もの忘れ外来へ行こう」と決める必要はありません。まず確認したいのは、いつもの親と比べて、いつから、どのように変わったのかです。昨日まで普通だったのに急に会話ができなくなった、片側の手足に力が入らない、呼びかけへの反応がおかしいといった突然の変化があれば、何科を受診するか探すより、119番を含めて早く医療につなげることを優先します。

一方で、同じ話を繰り返すようになった、薬の管理が難しくなった、買い物や予定の管理で失敗が増えたなど、少しずつ変化している場合は、かかりつけ医がいれば最初の相談先にできます。かかりつけ医がいなければ、一般内科や総合診療科、もの忘れ外来などを検討し、どこへ相談すればよいか分からないときは、親の住所地を担当する地域包括支援センターへ家族だけで相談する方法もあります。

受診するときも、家族が病名を予想して説明する必要はありません。「最近おかしい」だけで終わらせず、「同じ電話を30分間に4回した」「朝の薬を2回飲んだ」のように、実際に起きたことを伝えます。物忘れだけでなく、服薬、食事、買い物、お金の管理、火の始末、道に迷うことなど、生活への影響まで確認しておくと、以前との違いを医師へ伝えやすくなります。

本人が受診を嫌がる場合も、家族だけで説得し続ける必要はありません。本人が困っている睡眠、薬、歩きにくさなどから受診につなげたり、かかりつけ医や地域包括支援センターへ先に相談したりする方法があります。付き添いについても、家族がすべてを担当すると決めず、送迎、院内付き添い、診察への同席など、何が必要なのかを分けて考えてください。親の様子がおかしいときは、診療科の名前だけで決めるのではなく、急な変化なのか、徐々な変化なのか、生活にどのような影響が出ているのかを確認し、その状態に合った医療や相談先へつなげることが大切です。

健さんの視点コラム

たとえば、夜になって親と話していると、「今日は何だかいつもと違う」と感じたとします。受け答えが少しかみ合わない。でも倒れているわけではないし、本人は「大丈夫」と言っている。こういうときに家族が迷うのは、「明日の朝まで様子を見ていいのか、それとも今すぐ何かしたほうがいいのか」というところではないでしょうか。

ここで、「高齢だからこんな日もある」「前から物忘れがあるから」と考えて終わらせる前に、一つ確認してほしいことがあります。それは、今日の状態が普段からあるものなのか、それとも今日になって急に変わったものなのかです。いつもより少し物忘れが多いという話と、数時間前まで普通に話していた人が急に言葉を出しにくくなったという話では、同じ「様子がおかしい」でも対応が変わります。

では、何を見ればよいのでしょうか。顔の片側がゆがんでいないか、片腕や片脚に力が入りにくくなっていないか、ろれつが回らない、言葉が出ない、呼びかけへの反応がおかしいといった変化がないかを確認します。こうした突然の異変があれば、「明日どこの病院へ行くか」を考えるより、119番を含めて早く医療につなげることを考えます。

一方で、緊急性の高い変化は見当たらないものの、「やはり今日は少し変だ」と感じることもあります。その場合も、家族の感覚だけで「大丈夫だった」と終わらせず、何時ごろから、どんな様子だったのか、食事や水分は取れていたか、薬の変更や飲み間違いはなかったかなどを残しておくと、翌日以降に医療機関へ相談するときの材料になります。

「本人が大丈夫と言っているなら、家族がそこまで気にしなくてもいいのでは」と迷うこともあるでしょう。ただ、高齢になると、自分の不調をうまく説明できない場合があります。だからこそ、本人の言葉だけでなく、普段を知っている家族が感じた違いも確認材料になります。反対に、家族が心配だからという理由だけで病名を決める必要もありません。「認知症だ」「脳の病気だ」と決めるのではなく、今までと何が違うのかをそのまま医療者へ渡せばよいのです。

人生健康第一とは、何でも大げさに心配することではありません。いつもと違う変化を見過ごさず、必要なときに必要な行動へつなげることです。親の異変に気づいた家族が、病名まで背負う必要はありません。まずは「いつもと違う」と気づいたところから動けば十分です。

介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

親の介護で困ったときに『まずここを見れば分かる』と思ってもらえる記事を、これからも増やしていきます。

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