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親の性格が変わった時に見る怒り・妄想・感情変化への家族の対応

家族と介護サポート

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この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営

穏やかだった父親が急に怒るようになった。母親から「財布を盗ったでしょう」と疑われた。夜になると「誰かがいる」と言い、何度も電話をかけてくる。そんな変化が続くと、心配する一方で、腹が立ったり、こちらの気持ちまで削られたりします。

私は元プロアスリート、元納棺師を経て、現在は介護福祉士として特別養護老人ホームで10年以上、高齢者の一日の生活を見てきました。その中で大切にしているのは、目立つ言葉や行動だけで判断せず、普段の表情、反応、食欲、歩き方、睡眠なども一緒に見ることです。

怒りや妄想のように見える言動にも、体調、薬、環境、不安などが重なっている場合があります。だからこそ、「性格が変わった」と決めつける前に、いつから何が変わったのかを確認することが第一歩です。

私が大切にしている「人生健康第一」は、本人も家族も無理を重ねることではありません。早めに変化へ気づき、必要な支援につなげながら、本人と家族の生活を守っていくという考え方です。

この記事では、親の怒りや妄想のように見える言動への接し方、急な変化で確認したいこと、受診や相談につなぐための記録方法、家族だけでは支えきれなくなった時の考え方まで順番に整理します。

この記事のポイント

  • 親の性格変化を急変と長期変化に分ける見方がわかる
  • 怒りや妄想を強めにくい家族の接し方が理解できる
  • 受診や相談へつなぐための記録方法がわかる
  • 在宅支援や住まいを見直す判断材料が理解できる

親の性格変化をどう見るか

「性格が変わった」という言葉は便利ですが、その中には怒り、疑い、不安、涙、無気力、依存など、違う変化が混ざっています。最初に見るのは病名ではなく、変化の速さと普段の生活との差です。

性格の問題と決めつけない

高齢の親が頑固になったり、すぐ怒るようになったりすると、「年を取ってわがままになった」と受け止めたくなるかもしれません。ただ、以前との違いがはっきりしているなら、性格だけで片づけないほうがよいでしょう。

怒りっぽさ、暴言、疑い深さ、事実と違う話、急な涙、不安の強まりは、認知症に伴って現れることがあります。一方で、感染症、脱水、便秘、痛み、睡眠不足、薬の影響、視力や聴力の低下、うつ状態などでも言動は変わります。一つの言動だけで認知症と決めることも、元の性格だと決めることもできません。

たとえば、耳が聞こえにくくなった親が家族の会話を聞き取れず、「自分の悪口を言っている」と感じることがあります。財布を置いた場所を思い出せず、最後に近くにいた家族を疑う場合もあるでしょう。表に出た言葉だけでなく、本人の中で何が起きているのかを考えると、対応の糸口が見えやすくなります。

介護の現場でも、怒ったという結果だけでなく、その前に痛み、空腹、排泄、眠気、聞き取りにくさがなかったかを見ます。行動の前後に手がかりがあることは少なくありません。

急な変化は体調も確認する

昨日までは普通だったのに、数時間から数日で急に話が通じなくなった、誰かがいると言い始めた、突然怒鳴るようになったという場合は、認知症の進行だけを考えないでください。急な混乱は、感染、脱水、低血糖などの代謝異常、便秘、痛み、薬の変更、転倒後の影響など、身体の不調でも起こり得ます。

特に、顔の片側がゆがむ、片方の手足に力が入らない、ろれつが回らない、急に立てない、激しい頭痛がある、意識がもうろうとしている、呼吸が苦しいといった変化があれば、外来の診療科を探すより119番を優先する場面です。緊急性の高い症状は、総務省消防庁の救急車利用リーフレットでも確認できます。

急いで確認したいこと

最後に普段どおりだった時刻、呼びかけへの反応、顔・手足・言葉の変化、発熱、食事と水分、転倒、薬の飲み間違いを確認します。明らかな緊急症状がある時は、記録を完成させるより119番を優先してください。

私自身、普段は会話ができ、食事もほぼ全量食べていた高齢者が、いつもより反応が鈍く、ぼんやりして食欲も落ちたあと、意識を失った場面に対応したことがあります。家族が感じる「何となくいつもと違う」は曖昧に見えても、その後の状態を確認する大事なきっかけになります。

徐々な変化は生活まで見る

数週間から数か月かけて少しずつ変わった場合は、怒る回数だけでなく、生活全体を比べます。たとえば、薬を飲み忘れる、同じ物を買う、約束を忘れる、料理や支払いが難しくなる、電話の操作に戸惑うといった変化が同時に起きていないでしょうか。

親の性格が変わったように見えても、実際には以前できていたことが難しくなり、その失敗を指摘される不安や悔しさが怒りとして出ている場合があります。反対に、物忘れは目立たなくても、対人関係だけが急に悪くなったり、同じ苦情を繰り返したりすることもあります。

見るべきなのは、「認知症らしいか」という印象より、いつから、どの場面で、以前できていた何が難しくなったかです。生活への影響まで見ておくと、受診や介護相談で状況を伝えやすくなります。

怒りや暴言が増えた時の対応

怒っている親を前にすると、家族も反射的に言い返したくなります。ただ、その場で正しさを競っても、問題の原因が解決するとは限りません。まず興奮を広げないことと、安全を守ることを分けて考えます。

正論より刺激を減らす

親が事実と違う内容で怒っている時に、「そんなことは言っていない」「間違っている」と繰り返すと、本人には責められた感覚だけが残る場合があります。だからといって、すべて同意して嘘を事実として扱う必要もありません。

「それは困ったね」「何が一番気になっているの?」と、まず困りごとや感情を確認します。そのあとで、声の大きさを落とす、人を入れ替える、少し距離を取る、別の部屋へ移るなど、刺激を減らしてください。話し合いを続けるほど興奮が強くなるなら、その場で結論を出さない判断も必要です。

「落ち着いて」と何度も言うだけでは、本人がなぜ怒っているのかは見えません。眼鏡や補聴器が使えているか、痛みや空腹はないか、トイレへ行きたいのではないか、説明が一度に多すぎなかったか。こうした小さな確認のほうが役立つことがあります。

夜に怒る時は流れを見る

親が夜になると怒る、電話で急に怒るという場合は、昼と夜を切り離さず、一日の流れを見ます。昼寝が長かった、日中ほとんど動いていない、夕方に疲れが強い、部屋が暗くて見えにくい、排尿や便秘で落ち着かない、薬を飲む時刻が変わったなど、複数の要因が重なることがあります。

ただし、急に夜間だけ混乱するようになった時は、単なる昼夜逆転と決めつけません。日中は比較的はっきりしているのに夜は話が通じない、見えない人がいると言う、眠気と興奮を繰り返すといった変動があれば、せん妄を含む急性の状態も考えて医療へ相談します。

家族ができるのは、毎晩完璧に落ち着かせることではありません。照明、室温、騒音、食事、水分、排泄、昼寝、服薬を確認し、それでも続くなら記録を持って相談へつなぎます。夜間対応であなたが眠れない状態も、相談すべき大切な情報です。

暴力の危険は距離を取る

暴言と身体的な暴力は分けて考えます。怒鳴られてつらい時も我慢を続ける必要はありませんが、物を投げる、殴ろうとする、刃物を持つ、外へ飛び出すなど切迫した危険がある場合は、説得より距離と退路の確保を優先してください。

親の前に立ちはだかったり、腕力で押さえ込んだりすると、本人も家族もけがをする恐れがあります。危険物から離れ、安全な場所へ移動し、必要であれば周囲や緊急機関へ助けを求めます。急な攻撃性に発熱、意識の変化、麻痺、転倒などが重なっているなら、医療的な急変として扱う視点も欠かせません。

家族が離れるのは見捨てることではありません。危険な場面で距離を取るのは、本人と家族の双方を守り、次の支援につなぐための対応です。

妄想や事実違いへの対応

物を盗られた、誰かがいる、家族が騙していると言う時、本人にとっては現実に感じられている可能性があります。内容を認めるか否定するかの二択ではなく、不安を減らしながら事実と安全を別に確認します。

物盗られの訴えを論破しない

「財布を盗られた」と言われた時、疑われた家族は傷つきます。毎回犯人扱いされれば、冷静でいられないのも当然です。それでも、その場で証拠を並べて論破すると、対立が長引くことがあります。

まず「財布がないと心配だね」と困っている状態を受け止め、一緒に探します。よく置く場所を決める、目立つ入れ物にする、本人が納得できる範囲で予備のお金を分けるといった環境調整も考えられます。見つかった時に「ほら、あなたの勘違い」と責めず、「ここにあってよかった」で終えるほうが次の衝突を減らしやすいでしょう。

一方、実際の紛失、訪問販売、家族以外による持ち出しの可能性まで最初から否定してはいけません。通帳や現金の動きを確認し、事実関係と本人の訴えを別々に記録します。妄想だと決めつけた結果、本当の被害を見落とさないためです。

誰かいるという時の確認

親が「部屋に誰かいる」「亡くなった人が来た」「監視されている」と言う時も、最初から作り話として叱らないでください。暗い部屋の影、鏡、テレビの映像、外の音を人だと感じている場合があります。視力や聴力の低下、睡眠不足、薬、認知機能の変化などが関係することもあるでしょう。

「私には見えないけれど、怖いんだね」と伝え、戸締まりや部屋の中を一緒に確認します。照明を明るくする、カーテンを閉める、鏡や上着の影を確認するなど、環境を整えるだけで落ち着く場合もあります。

ただし、幻覚のような訴えが突然始まった、意識が揺れる、発熱や食欲低下がある場合は、様子見を続けず医療へ相談してください。いつ見えたのか、何が見えたと言ったのか、何分ほど続いたのかも記録します。

家族や配偶者を疑う時

「家族が自分を騙している」「配偶者が浮気している」「食事に毒を入れられた」といった訴えは、家庭内の関係を大きく揺らします。家族全員で囲んで訂正すると、本人には「みんなが口裏を合わせている」と見える場合もあります。

対応する人を一人に絞り、短い言葉で話し、興奮している時に重要な契約やお金の話を進めないようにします。食事を拒むなら、誰が作った物なら食べられるか、未開封の食品なら安心できるかなど、安全を保てる方法を探してください。

近所への苦情やクレームが増え、人間関係に影響が出ている場合は、家族内だけの問題ではなくなっています。日時、相手、訴えの内容、実際に起きたこと、家族がどう対応したかを残し、かかりつけ医や地域包括支援センターへ早めに共有しましょう。

涙や不安が強くなった時

性格の変化は怒りや妄想だけではありません。急に泣く、何も楽しくないと言う、一人になることを怖がる、家族への電話が増えるといった変化も、本人の生活が不安定になっている合図になり得ます。

急な涙や無気力を見逃さない

母親が涙もろくなった、父親が何も楽しくないと言うようになった時、「高齢だから気弱になった」とだけ考えないでください。うつ状態、痛み、身体疾患、薬の影響、身近な人との別れ、外出や交流の減少など、さまざまな背景があります。

泣かないよう励ますより、眠れているか、食べられているか、体重が落ちていないか、以前の楽しみをやめていないかを確認します。「元気を出して」「考えすぎ」と片づけると、本人がつらさを話しにくくなるかもしれません。

「死にたい」「消えたい」「生きていても仕方がない」と言う場合は、軽い愚痴と決めつけず、いつからそう思うのか、具体的な方法を考えているか、危険な物を準備していないかを確認します。差し迫った危険があれば一人にせず、緊急医療につないでください。

何度も電話が来る理由を見る

高齢の親から何度も電話が来ると、仕事や家事が止まり、家族は疲れます。「さっきも話したでしょう」と怒りたくなる場面もあるでしょう。ただ、電話の多さだけを直そうとする前に、何を確認したくてかけているのかを見ます。

同じ予定を忘れて確認しているのか、一人でいるのが怖いのか、電話を切ったこと自体を覚えていないのか、痛みや体調不良をうまく説明できないのかで対応は変わります。電話が来た時刻、内容、回数、食事や服薬、夜間覚醒との関係を数日記録すると、パターンが見えることがあります。

連絡時刻を決める、予定を大きく書く、ほかの家族や支援者と連絡を分担する方法もあります。それでも一日に何度も確認しなければ安全が保てないなら、家族の電話だけを増やす段階ではありません。訪問や見守りを含め、外部支援へ分散させる時期です。

家族への依存が強い時

一人になるのを怖がり、特定の家族から離れなくなった場合、安心できる相手を求めているだけでなく、生活の中で分からないことが増えている可能性があります。家電の操作、薬、食事、戸締まり、予定など、どの場面で助けを求めるのかを分けてください。

何でも家族が先回りすると、本人がまだできることまで失われやすくなります。一方で、できないことを「自分でやって」と突き放せば、事故や不安が増えるかもしれません。本人ができる部分、声かけでできる部分、代わりに行う部分を分けるのが現実的です。

本人の依存だけを問題にせず、家族一人へ支援が集中していないかも見てください。支える側の睡眠や仕事が崩れているなら、すでに生活全体の課題です。

受診や相談に使える記録

診察室で「性格が変わりました」とだけ伝えても、医師は具体的な状況をつかみにくいものです。病名を予想するより、時間と出来事を短くそろえるほうが役立ちます。

いつから何が起きたか残す

最初に、最後に普段どおりだった日時と、変化に気づいた日時を書きます。「最近怒りっぽい」ではなく、「8月25日の夜から、財布を盗ったと私を3回責めた」のように具体化してください。

次に、どれくらい続いたか、毎日か時々か、朝と夜で違うか、落ち着く時間があるかを残します。家族によって見方が違う場合は、誰が正しいかを決めず、それぞれが見た事実を書けば十分です。

録音や撮影は、本人との信頼やプライバシーに配慮が必要です。まずはメモで構いません。言葉を一字一句再現するより、時刻、場所、前後の出来事、危険の有無が分かるようにします。

体調と薬も一緒に整理する

怒りや妄想だけでなく、食事、水分、睡眠、排尿、排便、発熱、痛み、転倒、歩き方を同じ時系列に入れます。高齢者では身体の不調が「元気がない」「ぼんやりする」「落ち着かない」といった形で表れる場合があるためです。

薬は、処方薬だけでなく市販薬やサプリメントも含めます。最近始まった薬、中止した薬、量や飲む時刻が変わった薬、飲み忘れや二重服用の可能性を確認してください。家族の判断で薬を中止したり、余っている薬を飲ませたりせず、お薬手帳や実際の薬を医師・薬剤師に見せます。

記録項目書き方の例
始まった時期8月25日夕方から急に
具体的な言動財布を盗ったと家族を3回責めた
続く時間夜に強く、朝は比較的落ち着く
身体の変化食事半量、便秘3日、微熱あり
薬の変化1週間前に薬が追加された
安全への影響物を投げたが、けがはなし

受診先を一人で決めない

急変ではなく、緊急症状もない場合は、持病や薬を把握しているかかりつけ医が相談の入口になります。もの忘れ外来、脳神経内科、精神科、老年内科などが選択肢になる場合もありますが、医療機関ごとに診療範囲が違うため、予約前に確認すると安心です。

どこへ相談すればよいか迷う時は、親の様子がおかしい時の受診先と医師への伝え方も参考にしてください。急な変化と徐々な変化を分けると、次の相談先を選びやすくなります。

家族だけで抱えない進め方

本人が受診を嫌がる、家族の言葉を信じない、夜間対応が続く。こうなると、正しい接し方を知るだけでは回らないことがあります。家族の頑張りを増やす前に、相談先と支援量を見直します。

本人が受診を嫌がる時

「認知症だから病院へ行こう」と正面から伝えると、本人が責められたと感じることがあります。本人が困っている頭痛、眠れない、食欲がない、薬を見直したいといった理由から、かかりつけ医へ相談する方法もあります。

受診前に医療機関へ連絡し、家族のメモをどう渡せるか確認しておくと、本人の前で言いにくい内容を共有しやすくなります。ただし、家族から医師へ情報を渡すことと、医師が家族へ診療内容を開示することは別です。本人の同意や医療機関の方針によって、家族が聞ける範囲は変わります。

一度の説得で進まなくても、家族だけで地域包括支援センターへ相談できます。厚生労働省は、地域包括支援センター、認知症疾患医療センター、かかりつけ医、もの忘れ外来などを認知症に関する主な相談先として案内しています。

支援は困りごとごとに選ぶ

介護サービスをまとめて受け入れてもらおうとすると、親が構える場合があります。まず、本人も認めている困りごとから小さく始めます。買い物、掃除、通院、食事、服薬、入浴、夜間見守りなど、必要な支援を作業単位で分けてください。

通院や外出の付き添いで家族の仕事が毎回止まるなら、訪問介護、自治体の外出支援、介護タクシー、一般タクシーなどを確認します。介護保険の対象範囲や自治体制度には条件があるため、ケアマネジャーや地域包括支援センターへの確認が必要です。

介護保険だけでは埋まらない時間や内容には、イチロウのような介護保険外の付き添い・見守りサービスを組み合わせる選択肢もあります。大切なのはサービス名から決めることではなく、「誰が、いつ、何時間支える必要があるか」を先に整理することです。

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住まいを見直す目安

怒りや妄想があるだけで、すぐ施設入居と決める必要はありません。ただ、暴言や夜間対応に加えて、火の不始末、服薬ミス、食事不足、外出後に帰れない、転倒などが重なり、常に誰かの見守りが必要になっているなら、在宅生活の仕組みを見直す段階です。

さらに、家族が夜も眠れない、仕事を続けられない、ほかの家族との関係が壊れかけているなら、それも判断材料に含めます。本人の状態だけを見て「まだ大丈夫」と考えると、支える家族が先に倒れてしまうかもしれません。

老人ホーム紹介サービスを使って地域の施設候補を比較することは、すぐ入居を決めることと同じではありません。費用、夜間の職員体制、認知症への対応、医療連携、退去条件などを、在宅介護が続いているうちに確認しておく意味があります。

シニアのあんしん相談室

在宅を続けるか、ショートステイを使うか、住まいを変えるか迷う時は、認知症介護で家族負担が大きくなった時の整理方法もあわせて確認してください。安全、急変、家族の持続性を分けて考えると、今必要な支援が見えやすくなります。

施設検討は介護の放棄ではありません。本人と家族の生活を守る選択肢を、事故や限界が来る前から調べておく準備です。施設の空き状況や受け入れ条件を早めに確認することで、比較する時間を持ちやすくなります。

よくある質問

健さん
健さん

怒りっぽさ、妄想、不安、涙などは認知症に伴う場合がありますが、それだけで決めることはできません。感染、脱水、痛み、薬、睡眠、うつ状態などでも変化します。数時間から数日で急に変わった時は、まず身体の急変も考えて医療へ相談してください。

親から泥棒扱いされたら否定しないほうがよいですか?

健さん
健さん

嘘を事実として認める必要はありませんが、何度も論破すると対立が強まることがあります。「なくなって心配なんだね」と困りごとを受け止め、一緒に探しながら、実際の紛失や被害がないかも別に確認しましょう。

誰かいると言う親に話を合わせてもよいですか?

健さん
健さん

見えている人の存在を断定せず、「私には見えないけれど、怖いんだね」と不安を受け止める方法があります。照明や鏡、テレビ、外の音も確認してください。突然始まった場合や意識の揺れがある場合は、早めに医療へつなぎます。

本人が病院を嫌がる時はどうしますか?

健さん
健さん

認知症という言葉で説得する方法だけではありません。本人が困っている不眠、食欲、痛み、薬の確認などから、かかりつけ医へ相談する方法があります。進まない時は、家族だけで地域包括支援センターへ先に相談できます。

怒りや夜間電話で疲れたら施設を考えてよいですか?

健さん
健さん

考えて構いません。施設を調べることは、直ちに入居を決めることではありません。夜間対応、安全上の問題、家族の睡眠や仕事への影響を整理し、在宅サービスの追加、短期入所、住まいの見直しを並べて検討してください。

親の性格が急に変わった時に覚えておきたいこと

親の性格が急に変わったと感じた時、まず覚えておきたいのは、怒りや疑い、涙、何度もの電話といった一つの言動だけで親を決めつけないことです。以前と比べて、いつから、どんな場面で、何が変わったのかを見ると、対応の方向が見えやすくなります。

昨日まで普通だったのに急に話が通じない、見えない人がいると言い始めた、反応が鈍いなどの変化が出た場合は、性格や認知症だけの問題とは限りません。意識、ろれつ、手足の動き、呼吸などに明らかな異常が重なるなら、普段の受診先を探すより緊急対応を優先する場面があります。一方、数週間から数か月かけて変わってきたなら、怒る回数だけでなく、食事、睡眠、排泄、服薬、買い物、支払い、外出など生活全体の変化を一緒に見ていくことが大切です。

親から泥棒扱いされたり、事実と違う話をされたりすると、家族も傷つきます。それでも、その場で正しさを証明することだけに力を使うと、対立が強くなることがあります。本人が何を怖がっているのか、何に困っているのかを確認しながら、環境を変える、少し距離を取る、その場では結論を出さないといった対応も選択肢になります。

そして、家族が感じた違和感は、受診や相談につなぐ材料になります。「最近おかしい」だけでなく、起きた日時、具体的な言動、続いた時間、体調や薬の変化、安全への影響を残しておくと伝えやすくなります。夜間対応や見守りが増え、家族の睡眠や仕事まで崩れてきた時は、家族の頑張りを増やすだけでなく、在宅支援や外部サービス、住まいも含めて支え方そのものを見直してかまいません。

本人が受診を嫌がる場合も、「認知症かどうかを確かめるため」と正面から迫ることだけが方法ではありません。眠れない、食欲がない、薬を確認したいなど、本人自身が困っていることから話を始めたほうが進みやすいこともあります。家族だけで説得し続けて関係が悪くなる前に、相談できるところへ状況を共有しておくことも一つの方法です。

親の変化に気づいた時に大事なのは、家族が全部を正しく判断することではありません。急ぐべき変化を見逃さず、普段との違いを残し、その時の状態に合わせて次の一手を選ぶことです。本人の生活だけでなく、支える家族の生活も続けられる形になっているかまで含めて考えてください。

健さんの視点コラム

親の性格が変わった時、家族が一番迷いやすいのは、「今までどおり接したほうがいいのか、それともこちらが合わせたほうがいいのか」という場面だと思います。たとえば、財布を盗られたと言われた時です。事実ではないと分かっていれば、すぐに否定したくなります。何度も疑われれば、「違うって言ってるでしょ」と言いたくなるのも自然です。

ただ、この場面で一度考えたいのは、家族の目的が「自分が犯人ではないと証明すること」なのか、それとも「その場を安全に終わらせ、次に同じことが起きた時の手がかりを残すこと」なのかです。前者だけを優先すると、正しいことを言っていても話が長引くことがあります。後者を考えるなら、まず財布がないという困りごとを一緒に確認し、見つかった場所や時間、誰がいたかを残しておくほうが次につながります。

ここで「全部話を合わせればいい」という意味ではありません。実際の紛失や金銭トラブルがないかは別に確認する必要があります。ただ、その確認と、本人をその場で言い負かすことは同じではありません。本人が強く不安になっている時はいったん会話を切り上げ、落ち着いてから確認したほうがよい場合もあります。

そして同じ訴えが何度も続くようになったら、「また始まった」で終わらせず、起きた時間や前後の出来事を見てください。夜だけ強いのか、食事の前後なのか、眠れていない日なのか、ほかの生活変化も増えているのか。条件が違えば、家族の対応も変わってきます。単発の出来事なのか、生活全体の変化の一部なのかを分けるだけでも、次に考えることはかなり整理できます。

人生健康第一とは、家族が毎回うまく受け流し、我慢し続けることではありません。本人との言い争いを減らすことも大事ですが、それと同じくらい、支える側の睡眠や仕事、気持ちが持ち続けられるかを見ることも大切です。電話が何度も来る、夜に怒る、疑われるたびに対応するという状態が続けば、家族の生活にも影響が出ます。

その時は「もう少し自分が頑張れば何とかなる」と考えるより、どの時間帯に、どんな支えが足りていないのかを具体的に分けてみてください。日中は大丈夫でも夜だけ難しいのか、買い物や通院の時だけ付き添いが必要なのか、一人で過ごす時間そのものが不安定なのか。それが見えてくると、家族が担う部分と外へ任せる部分を分けやすくなります。

大切なのは、限界まで我慢してから支援を探すのではなく、「このまま同じやり方を続けたら家族の生活が崩れそうだ」と感じた段階で、支え方を組み替えることです。本人ができることまで取り上げる必要はありませんが、家族しかできないと思い込んでいる役割まで抱え続ける必要もありません。今の生活で何が一番負担になっているのかを一つ決め、そこから外へ出せる方法を考えていけば十分です。

介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

親の介護で困ったときに『まずここを見れば分かる』と思ってもらえる記事を、これからも増やしていきます。

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