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この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営
高齢の親がいつもの道で迷った、近所のスーパーから帰れなくなった、待ち合わせの時間になっても来ない。そんなことが一度でも起きると、「また同じことが起きたらどうしよう」「どこまで家族で探せばいいのか」と不安になります。この記事では、親が道に迷ったときの当日の対応と、その後に何を準備しておけばよいのかを順番に確認します。
私は元プロアスリートとして体と向き合い、納棺師として人の命の終わりを見届け、現在は介護福祉士として日常の健康と生活を支える現場にいます。そんな経験から辿り着いた信念があります。それは人生健康第一です。親の外出をすべて止めるのではなく、本人の生活をできるだけ守りながら、帰れなくなったときの危険を減らす準備が必要です。
まず、親が今まさに帰ってこない場合と、すでに無事に帰宅して再発防止を考える場合を分けます。そのうえで、近所での道迷い、電車やバスが使えなくなった変化、夜に外へ出る場合などを確認し、警察への連絡や最近の写真の準備、見守りGPS、自治体の見守り制度までつなげていきます。
今、親の居場所が分からないのであれば、見守りサービス選びより先に「最後に確認した場所と時間」「当日の服装」「行きそうな場所」を整理してください。すでに帰宅している場合は、何が起きたのかを具体的に振り返るところから始めましょう。
この記事のポイント
- 親が帰ってこない時に最初に確認することがわかる
- 近所や交通機関で迷う変化をどう見るかが理解できる
- 警察への連絡や事前準備で残しておく情報がわかる
- GPSと地域の見守りをどう組み合わせるかが理解できる
高齢の親が道に迷った時の対応
- 帰ってこない時は何から確認する?
- 近所のスーパーで迷うのも注意が必要?
- 電車やバスを使えなくなったら?
- 行方不明なら警察への連絡をためらわない
- 夜に外へ出る時は何を確認する?
- 「家に帰る」と言って出るのはなぜ?
帰ってこない時は何から確認する?
いつもなら午後4時ごろには帰ってくる親が、5時になっても帰ってこない。電話をしても出ない。こうなると、「もう少し待った方がいいのかな」「近所を探せば見つかるかな」と迷います。
最初に確認したいのは、最後に姿を確認した時間と場所です。そこから、何を着ていたか、靴や帽子、かばん、杖など何を持っていたか、携帯電話やGPSを持っているか、いつも行く店や公園、駅など、向かう可能性がある場所を整理します。
一緒に暮らしている家族だけでなく、近所の親族や普段付き合いのある人がいるなら、すでに立ち寄っていないか確認する方法もあります。ただし、家族や近所だけで探し続けなければならないわけではありません。
親の行方が分からない状態では、「認知症かどうか分からないから」と警察への連絡を遅らせる必要はありません。
特に、普段なら必ず連絡が取れる、約束の時間を大きく過ぎている、夜になっても戻らない、暑さや寒さが厳しい、持病があるなど安全上の心配が大きい場合は、「そのうち帰ってくるだろう」と決めつけないことが大切です。
近所のスーパーで迷うのも注意が必要?
「遠くへ行ったわけじゃない。いつものスーパーで少し迷っただけ」と聞くと、大きな問題ではないようにも思えます。けれど、これまで何年も一人で通っていた店から帰れなくなったのであれば、その変化自体が確認材料になります。
たとえば、店までは行けても帰り道で方向が分からなくなった、違う出口から出たら自宅の方向を判断できなくなった、いつもと同じ道なのに途中で立ち止まっていた、といったことがあります。
ここで大切なのは、「迷った=認知症」と家族だけで病名を決めることではありません。視力や歩行状態、体調、周囲の環境なども関係します。それでも、以前できていた外出が難しくなったという生活上の変化は残しておきたい情報です。
買い物そのものにも変化が出ている場合は、高齢者の買い物忘れとセルフレジ困難への支援も合わせて確認すると、買い物と移動のどちらで困っているのかを分けやすくなります。
電車やバスを使えなくなったら?
親と駅で待ち合わせをしたのに時間になっても来ない。電話をすると、「駅にはいるんだけど、どこに行けばいいか分からない」と言う。以前なら一人で電車に乗れていた親なら、家族は戸惑うと思います。
切符を買えない、乗る電車が分からない、反対方向へ乗る、降りる駅を過ぎる、バス停や路線が分からなくなるといった変化は、「たまたま間違えた」で終わらせず、いつからどのように変わってきたのかを見ます。
交通機関を以前のように使えなくなった場合は、単に移動方法を変えるだけでなく、「一人での外出を今まで通り続けられる状態か」まで確認します。
一度乗り間違えただけで直ちに単独外出を禁止するという意味ではありません。駅員へ聞ける、家族へ電話できる、スマートフォンで場所を確認できるなど、自分で困りごとを修正できる力が残っているかも見ます。
反対に、自分がどこにいるのか分からない、自宅住所を言えない、家族へ電話する操作も難しいといった状態なら、帰宅できなくなる危険は高くなります。「今まで電車で行けていたから大丈夫」ではなく、現在の状態で判断する必要があります。

一度道に迷っただけでも認知症を疑うべきですか?

一度の道迷いだけで認知症とは判断できません。ただし、以前は問題なくできていた外出で迷うようになったことは生活上の変化です。日時や場所、どのように迷ったのかを記録し、ほかの生活変化も合わせて確認してください。

駅で迷っている親から電話が来たらどうすればいいですか?

まず安全な場所に移動してもらい、駅名、改札名、近くに見える店や案内表示など、現在地を特定できる情報を確認します。本人だけで移動を続けることが難しそうなら、駅員など周囲の人へ助けを求める方法も考えます。

親が家の住所を言えなくなったら何を準備すればいいですか?

家族の連絡先が分かるものを持つ方法、自治体の事前登録制度、見守りGPSなどを検討します。どの方法を使う場合でも、家族が連絡を受けた後に誰が迎えに行けるかまで決めておくと実際の対応につながります。
行方不明なら警察への連絡をためらわない

家族が迷いやすいのが、「警察に連絡するほどなのか」というところです。親が成人で、自分の意思で外へ出た可能性もあると、大ごとにしたくない気持ちが出るかもしれません。
しかし、親がどこにいるのか分からず、安全を確認できないのであれば、家族だけで何時間も探し続けることを前提にしないでください。認知症と診断されているかどうかとは別に、行方が分からない状態として警察へ相談できます。
警察へ連絡する時は、直近の顔写真があると説明しやすくなります。氏名、年齢、身長や体格、髪型、当日の服装、靴、帽子、かばん、杖、最後に確認した場所と時間、よく行く場所、利用しそうな交通機関、携帯電話やGPSの有無なども整理します。
一度無事に見つかったら、その時に警察へ伝えた情報をそのまま保存し、写真や服装など変更する部分だけ更新できる形にしておくと、次の緊急時に一から思い出さずに済みます。
自治体によっては、認知症などで行方不明になる可能性がある人の写真や身体的特徴、緊急連絡先などをあらかじめ登録する制度があります。名称や対象条件、情報共有の方法は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村で確認してください。
全国の行方不明となった認知症高齢者等に関する情報については、厚生労働省の「行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ」でも自治体の関連情報を確認できます。
夜に外へ出る時は何を確認する?
昼間の散歩とは違い、夜中に玄関の音がして親が外へ出ようとしていたら、家族は強い不安を感じます。「危ないから寝ていて」と止めたくなりますが、まず確認したいのは、なぜ出ようとしているのかです。
「仕事に行かなきゃ」「家へ帰る」「誰かが待っている」と本人なりの理由を話す場合もあります。外から見ると目的なく歩いているように見えても、本人にとっては何らかの目的があることがあります。
一方で、突然その夜から混乱が強くなった、いつもと会話が違う、発熱や食欲低下がある、ふらつく、極端にぼんやりしているなど、普段とは明らかに違う変化が加わっている場合は、「認知症の徘徊が始まった」と決めつけません。体調変化も含めて確認が必要です。
夜間外出が繰り返されている場合は、何時ごろ出ようとするのか、その前に何をしていたか、どんな言葉を話していたか、昼間の睡眠や活動に変化がないかも残します。
家族が毎晩起きて見張らなければ安全を守れない状態になっているなら、親の問題だけではありません。家族側の睡眠や仕事まで影響を受け、現在の見守り体制そのものを見直す段階に入っています。
「家に帰る」と言って出るのはなぜ?
自宅にいるのに「そろそろ家に帰る」と言い、玄関へ向かう。家族からすると、「ここが家だよ」と訂正したくなる場面です。
ただ、「家」という言葉が本人と家族で同じ場所を指しているとは限りません。昔暮らしていた家や、安心できた場所を思い浮かべていることもあります。本人が何を考えているのかは、その場面だけで決められません。
「ここが家なのに、何を言っているの」と何度も言い合うより、「どこの家に帰ろうとしているのか」「誰か待っている人がいるのか」「何時ごろこの言葉が出るのか」を確認した方が、次の対応につながります。
出て行こうとする時間、直前の会話、本人が話した行き先や理由を記録しておくと、単に「徘徊がある」と伝えるより、地域包括支援センターや医療・介護職へ具体的な状況を共有しやすくなります。
道迷いや夜間外出について、家族だけでは何から相談すればよいか分からない場合は、徘徊や外出の不安を相談する時の整理方法も参考にしてください。
徘徊や道迷いの再発に備える方法
- 一度迷った後に家族で準備すること
- 見守りGPSで確認したいこと
- GPSだけでは解決できない理由
- 自治体の見守り制度も確認する
- 一人暮らしを見直すタイミング
- 外出をすべて禁止しない方法を考える
親の介護で迷ったときに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。
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一度迷った後に家族で準備すること
親が無事に見つかると、家族はほっとします。そのまま「今回は大丈夫だった」で終わらせたくなるかもしれません。でも、安全上大きな問題になった道迷いが一度起きたなら、次も家族が探せばよいという対応だけでは負担が大きくなります。
まず、その日の出来事を具体的に残します。「夕方に迷った」ではなく、「午後3時に自宅を出てスーパーへ行き、午後5時になっても戻らなかった」「自宅から約10分の場所で方向が分からなくなっていた」のように記録します。
次に、最近の顔写真、身長や体格、普段よく着る上着、靴、帽子、かばん、杖などの特徴、携帯電話の番号、よく行く場所、以前暮らしていた場所、利用する交通機関、家族の緊急連絡先をまとめます。
本人の行動にも注目します。午前中は問題ないのに夕方になると迷いやすい、買い物ではなく昔の職場の方向へ行こうとするなど、一定の傾向が見えてくる場合があります。
準備する目的は親の行動をすべて制限することではなく、行方が分からなくなった時に「誰が、何を確認し、どこへ連絡するか」をすぐ動ける状態にしておくことです。

見守りGPSで確認したいこと
道に迷った経験があると、「GPSを持たせれば解決するのでは」と考えると思います。位置を確認できることは、探す範囲を絞るうえで大きな助けになります。ただし、端末を選ぶ前に使う場面を決めておきましょう。
| 確認すること | 見るポイント | 家族側で考えること |
|---|---|---|
| 持ち歩けるか | かばん・ポケット・靴など本人が普段使う物に合うか | 外出時に置き忘れない方法があるか |
| 位置を確認する方法 | スマートフォンやパソコンなど何で確認するか | 実際に確認する家族が操作できるか |
| 充電や電池 | どの程度の管理が必要か | 誰が充電や電池確認を担当するか |
| 通知機能 | 外出や設定範囲からの移動を知らせる機能があるか | 通知が来た時に誰が確認するか |
| 屋内での確認 | 建物内など利用環境によって位置確認に限界がないか | GPSだけで発見できると思い込まない |
| 費用 | 端末代・月額費用・自治体助成など | 地域の制度も含めて比較する |

GPSはスマートフォンを持っている親なら不要ですか?

スマートフォンで位置を確認できる場合でも、外出時に必ず持って行くか、充電できているか、家族側で位置情報を確認できる設定になっているかによって使いやすさは変わります。実際の外出習慣に合うかを確認してください。

認知症と診断されていなくてもGPSを検討できますか?

診断名だけで必要性を決めるものではありません。すでに道に迷った、帰宅時間が大きくずれる、家族へ現在地を説明できないなど、外出時の安全に不安が出ているかを基準に考えます。

GPSには自治体の助成がありますか?

位置情報端末の利用料助成や見守り登録などを行っている自治体がありますが、全国共通の制度ではありません。対象者、自己負担、利用できる機器などは市区町村によって異なるため、地域包括支援センターや自治体窓口で確認してください。
見守りGPSを実際に比較する段階では、「一番高機能な物」を探すより、本人が持って出られるか、家族が位置を確認できるか、発見後に迎えに行けるかを一つの流れとして考えます。
見守りGPSや見守りサービスを検討する意味がある状態なら、家族の現在の負担と必要な機能を整理したうえで、実際に利用できるサービスを確認してください。
GPS選びそのものをもう少し詳しく確認したい場合は、親の介護 認知症 GPSで迷わない家族の見守り判断と注意点も合わせて確認してください。
GPSだけでは解決できない理由
位置が分かれば、それで見守りが完成するわけではありません。たとえば仕事中にGPSから通知が来て、親が自宅から離れていると分かったとします。そこから誰が電話をするのか、本人が電話に出なければ誰が向かうのか、家族が遠方なら誰へ助けを求めるのかという問題が残ります。
GPSは「現在地を知るための手段」です。親の体調を診断したり、危険な場所から自動的に連れ戻したりするものではありません。
GPSを導入しても、発見した後に動く人や連絡先が決まっていなければ、家族が画面上で場所を確認できるだけで対応が止まってしまいます。
同居家族がいるなら家族同士で担当を決められますが、遠距離介護ではそれだけでは難しいことがあります。近くの親族、地域包括支援センター、ケアマネジャー、利用中の介護サービス、自治体の見守り制度など、外部とのつながりも作っておく方が現実的です。
また、本人がGPSを嫌がることもあります。「監視されている」と感じれば、持つこと自体を拒否するかもしれません。「家族が心配だから持って」だけでなく、「道が分からなくなった時に帰りやすくするため」と本人側の利益を説明します。
それでも難しい場合は、GPSだけに固執しません。同行できる外出を増やす、訪問サービスを使う、地域の見守りへつなぐなど、別の方法も組み合わせます。

自治体の見守り制度も確認する
家族だけで対策を考えていると、GPSを買うか買わないかの二択になりがちです。しかし、地域によっては認知症などで道に迷う可能性がある高齢者を対象に、事前登録、見守りネットワーク、QRコードやステッカー、位置情報機器への助成などを行っています。
| 備え | できること | 確認する場所 |
|---|---|---|
| 警察へ伝える情報 | 行方不明時の捜索に必要な特徴をすぐ伝える | 家族で事前に整理 |
| 自治体の事前登録 | 写真や身体的特徴、連絡先などを事前登録する場合がある | 市区町村・地域包括支援センター |
| 地域見守りネットワーク | 協力機関と連携して早期発見につなげる制度がある | 市区町村 |
| GPS・位置情報機器 | 家族が現在地を確認する | 自治体制度・民間サービス |
| 連絡先を示す物 | 保護された時に家族へつながりやすくする | 自治体制度や家族で検討 |
| 介護・地域支援 | 外出以外の生活上の問題も含めて支援を組む | 地域包括支援センター・ケアマネジャー |
制度名が分からなくても、「親が一人で外出した時に道に迷ったことがある。行方不明に備える制度はありますか」と地域包括支援センターや市区町村へ伝えれば、地域で利用できる仕組みを確認しやすくなります。
事前登録制度は全国で名称や運用が同じではありません。写真を登録する制度、QRコードなどを使う制度、GPS費用を助成する制度などがあるため、親が暮らす自治体の最新情報を確認してください。
地域包括支援センターは、介護認定を受けた人だけが利用する場所ではありません。まだ要介護認定を受けていない段階でも、高齢者本人や家族が生活上の困りごとを相談する入口になります。
一人暮らしを見直すタイミング
一度道に迷うと、「もう一人暮らしは無理なのでは」と考える家族もいると思います。ただ、道迷いが一回あったという事実だけで、すぐ施設入居と決まるわけではありません。
見るのは、道迷いだけなのか、それとも生活のほかの部分にも安全上の問題が広がっているのかです。薬を何度も飲み間違える、食事を確保できない、火を消し忘れる、転倒しても助けを呼べない、夜間外出が繰り返される、連絡が取れないことが増えたといった問題が重なると、家族の電話だけでは補いにくくなります。
さらに、離れて暮らす家族が毎晩スマートフォンを気にしている、連絡が少し遅れるたび実家へ向かう、仕事中も外出通知へ対応しているという状態なら、本人は一人暮らしでも、実際には家族の継続的な対応によって生活が成り立っています。
在宅サービスや地域の見守りを増やすことで生活を続けられる場合もあります。一方で、夜間を含む継続的な人的見守りが必要になっているなら、住まいについて早めに情報を集める意味があります。
老人ホームを調べることと、今すぐ入居を決めることは別です。在宅生活を続けているうちから選択肢を知っておけば、事故が起きた後に急いで探す状況を減らせます。
道迷いだけでなく、服薬、食事、火、夜間対応など複数の問題が重なっている場合は、家族だけで「まだ大丈夫」「もう無理」と決めず、地域包括支援センターやケアマネジャーなど第三者にも現在の生活状況を見てもらいましょう。
在宅生活を続ける方法と将来の住まいを並行して比較したい段階なら、老人ホームの種類、費用、認知症への対応、夜間の職員体制などを確認しておくと、家族の選択肢が増えます。
外出をすべて禁止しない方法を考える
親が一度道に迷うと、「もう一人で外に出さない方がいい」と思うのは自然です。安全だけを考えれば、その方が安心に見えるかもしれません。
しかし、本人にとって散歩や買い物が長く続けてきた生活の一部なら、突然すべてを取り上げられることへの抵抗もあります。そこで、一人で外出できるか、外出そのものをやめるかの二択にしないことが大切です。
午前中なら比較的落ち着いているのでその時間に外出する、家族が同行できる日は一緒に買い物へ行く、一人で行く場所を近い範囲にする、位置情報を確認できる方法を使う、地域の見守りにつなぐなど、現在の状態に合わせて支援量を変えられます。
本人が行こうとしている場所にも目を向けます。「目的なく歩き回っている」と見えても、本人は昔の職場へ向かっている、以前住んでいた家へ帰ろうとしている、いつもの店へ行こうとしているなど、何らかの理由がある場合があります。
だからこそ、止めることだけを繰り返すのではなく、「いつ」「どこへ」「何をしようとして」外へ出るのかを確認します。行動の理由が分かれば、昼間にその場所へ一緒に行く、散歩の時間を作るなど、別の方法で本人の希望を満たせる場合もあります。
一方、交通量の多い道路へ出る、夜間に繰り返し行方が分からなくなる、自宅へ帰れない状態が続くなど、生命や身体への危険が大きい場合は、安全を優先して見守り方法や生活環境を変える必要があります。

一度迷ったら一人で外出させない方が安全ですか?

一度の出来事だけで一律に決めるのではなく、どこで迷ったのか、自分で助けを求められたか、時間帯、ほかの生活変化、再発の有無などを確認します。ただし、行方不明や交通事故につながる危険が高い場合は、安全を優先して支援量を増やす必要があります。

本人が「GPSなんかいらない」と怒ったらどうしますか?

監視のためと説明するのではなく、「道が分からなくなった時に帰れるようにするため」など本人側の利点を具体的に伝えます。それでも難しい場合は、GPSだけに固執せず、同行、訪問、地域の見守りなど別の方法も検討します。

道迷いが続いたら老人ホームを考える段階ですか?

道迷いだけで即入居と決まるものではありません。夜間外出、服薬、食事、火の管理、転倒、連絡不能など複数の安全問題が重なり、継続的な人的見守りが必要になっているかを確認します。施設を調べること自体は、入居を決めることではないので早めに選択肢を知っておく方法もあります。

親が道に迷う時は探し方と再発への備えを分けて考える
親が道に迷った時に最初に考えるのは、「認知症なのか」よりも、今どこにいて安全なのかです。約束の時間を過ぎても戻らない、普段なら連絡が取れるのに電話に出ない、夜になっても居場所が分からないのであれば、家族だけで探し続けず警察への連絡を検討してください。
その際には、最後に確認した場所と時刻、当日の服装、靴やかばん、直近の顔写真、よく行く場所、使いそうな交通機関、携帯電話やGPSの有無などが役立ちます。無事に見つかった後は、この情報を次回もすぐ使えるように残しておきます。
一方、再発防止では「GPSを持たせれば終わり」と考えないことが大切です。GPSで分かるのは主に位置です。通知が来た時に誰が確認するのか、電話に出なければ誰が向かうのか、遠距離の場合に現地で誰へ頼めるのかまで決めて、初めて実際の見守りにつながります。
近所で一度迷っただけなのか、電車やバスも使えなくなっているのか、夜に外へ出るのか、服薬や食事、火の管理などほかの生活行動も変わっているのかによって、必要な支援は変わります。一つだけを見て「まだ大丈夫」「もう一人暮らしは無理」と決める必要はありません。
本人が外出を続けたい気持ちも無視できません。時間帯を変える、同行する、行動範囲を見直す、GPSや自治体の事前登録を使う、地域の人とつながるなど、安全と生活の両方を守る方法を考えていきます。
そして、家族が夜間まで常に見守り続けなければならない状態になっているなら、本人だけでなく家族の生活も確認してください。在宅サービスを増やすのか、地域の見守りを使うのか、将来の住まいまで考えるのか。事故が起きるたび家族が何とかする仕組みから、複数の人と支援で支える仕組みへ変えていくことが、長く続けるための備えになります。
健さんの視点コラム
親が一度道に迷った後、家族が本当に迷うのは「次の外出をどうするか」です。
翌朝、本人は昨日の出来事をそれほど気にせず、「ちょっと道を間違えただけだよ。今日も買い物に行ってくる」と言うかもしれません。けれど家族は、連絡が取れない時間を過ごし、近所を探し、無事に帰ってくるまで落ち着かなかった。その差があるから、「もう一人では出ないで」と言いたくなります。
ただ、昨日まで自分で続けてきた買い物や散歩を、道に迷った一度の出来事だけですべて止められれば、本人が納得できないこともあります。反対に、何も変えずに同じ外出を続ければよいとも言えません。
ここで分けて確認したいのは、午前中なら帰れるのか、夕方になると迷いやすいのか、いつものスーパーまでは行けるのか、帰り道で方向が分からなくなるのか、困った時に店員へ聞けるのか、家族へ電話できるのかという具体的な部分です。
できることが残っているなら、その部分まで一度に取り上げる必要はありません。外出する時間を変える、家族が同行する日を作る、普段使うかばんに見守り機器を入れる、地域の見守り制度を確認するなど、危険が大きいところから支援を足していく方法があります。
一方で、道迷いだけでなく、夜間の外出、服薬、食事、火の管理、連絡の取りにくさまで重なってきたなら、外出だけを個別に対策しても家族の負担は下がりにくくなります。GPSの通知を誰が確認するのか、迎えに行ける人はいるのか、家族が対応できない時間をどう補うのかまで分けて考える必要があります。
人生健康第一とは、本人の安全だけを見ることでも、家族の負担だけを見ることでもありません。本人が今できることを確認しながら、危険が増えた部分には必要な支援を足し、家族の時間や体力まで含めて生活全体が続けられる形を作ることです。
今は近所への外出を続けられていても、数か月後に同じ方法が合うとは限りません。一度決めた方法をそのまま続けるのではなく、道迷いの回数、時間帯、本人が助けを求められるか、家族の確認頻度が増えていないかを見直します。
もし、少し帰りが遅れるたびに家族全員が探し回る、夜中の外出が心配で眠れない、仕事中も何度も位置情報を確認しなければならない状態なら、家族の対応だけで支える段階を超えていないかを確認する時期です。本人を責めるのでも、家族が我慢を続けるのでもなく、外部の支援も使いながら、今の生活を安全に続けられる形へ組み直していくことが大切です。
介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
親の介護で困ったときに『まずここを見れば分かる』と思ってもらえる記事を、これからも増やしていきます。
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