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この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営
親の様子がおかしいと感じることが増え、一人暮らしをこのまま続けてもらって大丈夫なのか。それとも、そろそろ老人ホームなど別の住まいを考えた方がいいのか。ここは家族にとって、とても判断しにくいところです。本人が「まだ一人で大丈夫」と話していても、離れて暮らす家族には見えていない生活上の困りごとが増えていることもあります。
私は元プロアスリートとして体と向き合い、納棺師として人の命の終わりを見届け、現在は介護福祉士として日常の健康と生活を支える現場にいます。そんな経験から辿り着いた信念があります。それは人生健康第一です。親の住まいを考える時も、本人がどこまで一人でできるのかだけではなく、本人の安全と家族が無理なく支え続けられる状態の両方を見る必要があります。
一人暮らしの限界は、年齢や認知症という言葉だけでは決められません。火の管理、服薬、食事、外出、転倒、夜間の様子などを一つずつ見て、在宅サービスを増やせば補えるのか、それとも見守る人がいない時間そのものが危なくなっているのかを分けて考えます。そのうえで、ショートステイや近居、同居、サービス付き高齢者向け住宅、グループホーム、老人ホームなどを比べていきます。
今すぐ入居を決めようとしなくても大丈夫です。まずは「親の一人暮らしで何が危なくなってきたのか」から確認してください。施設を探し始めることと、施設への入居を決めることは別です。少し早めに情報を持っておけば、急に生活が続けられなくなった時にも選択肢を残せます。
この記事のポイント
- 親の一人暮らしを見直したい具体的な変化がわかる
- 在宅支援で補える段階と住まいを変える段階の違いが理解できる
- 老人ホームやショートステイを探し始める時期がわかる
- 施設費用や住まいの種類を比べるポイントが理解できる
親の様子がおかしい時に一人暮らしを見直す
- 一人暮らしに年齢だけの限界はない
- 火・服薬・食事の失敗が重なる
- 留守番中や夜間の危険を確認する
- 家族の見守りが増え続けている
- 在宅サービスで補えるか考える
- 本人の急な変化は施設より受診を優先する
一人暮らしに年齢だけの限界はない
親が80歳になったから一人暮らしは無理、認知症と診断されたからすぐ施設、要介護になったから独居はできない。そのように、年齢や診断名、要介護度だけで一人暮らしの限界を決めることはできません。
見る必要があるのは、今の生活が実際にどこまで成り立っているかです。スーパーへ行ける、食事を自分で用意できる、薬を決めた通りに飲める、電話で普通に会話できる、近所との交流も続いている。このような状態と、同じ年齢でも冷蔵庫に腐った食品が増え、薬が何日分も残り、外出すると帰り道が分からなくなる状態では、必要な支援は大きく違います。
一人暮らしを続けられるか考える時は、年齢や病名だけではなく、生活上の安全と必要な支援量を一緒に確認します。特に見ておきたいのは、「以前できていたことが、今どう変わっているか」です。
例えば、以前は自分で薬を分け、決まった時間に飲めていた。ところが最近は飲み忘れが続き、「今日はもう飲んだかな」と本人自身も分からなくなっている。
スーパーには行けている。でも、冷蔵庫を開けると同じ食品ばかり入っている。
「そういえば、この前は帰り道が分からないって電話が来たな」
こうして一つずつ確認すると、「まだ買い物には行けているから大丈夫」と思っていた生活の中にも、以前とは違う変化がいくつか重なっていることがあります。
反対に、一度薬を飲み忘れた、たまたま道を間違えたという出来事だけで、すぐに「もう一人暮らしは無理」と決める必要もありません。その後も同じことが繰り返されているのか、食事や服薬、外出、火の管理など別の生活場面にも変化が広がっているのかを確認します。
本人が「まだ一人で大丈夫」と話している場合も、その気持ちは大切にしながら実際の生活を見ていきます。「大丈夫と言っているから問題ない」と決めるのでも、「一度失敗したからもう無理」と決めるのでもありません。
今までできていたことのうち、何が難しくなってきたのか。その部分を家族や介護サービスで補えば生活を続けられるのか。それとも、複数の場面で継続した見守りが必要になっているのか。そこまで確認して、一人暮らしを続ける方法と住まいを見直す方法を比べていきます。
火・服薬・食事の失敗が重なる
一人暮らしを続けられるか考える時は、事故につながりやすい生活行動がどのくらい崩れてきているかを確認します。一つの失敗だけを見るのではなく、火の管理、服薬、食事、戸締まりなど、複数の生活場面に変化が広がっていないかを見ることが大切です。
鍋を一度焦がしただけなら、たまたま別のことに気を取られた可能性もあります。しかし、コンロの消し忘れが増え、水道を出しっぱなしにし、玄関の鍵までかけ忘れるようになっているなら、単なる一度の失敗とは分けて考えます。
薬も同じです。たまの飲み忘れと、何度も飲み忘れる状態では意味が違います。さらに二重に飲む、自己判断で中断する、何を飲んでいるのか本人自身が分からなくなっているなら、家族が電話で「薬飲んだ?」と確認するだけでは支えきれないことがあります。
食事も、一食を簡単に済ませたことだけで判断しません。食べ物をきちんと確保できているか、同じ物ばかり買っていないか、冷蔵庫に腐った食品が増えていないか、食事量や体重が落ちていないかまで確認します。
「あれ、薬だけじゃないな」
「そういえば、この前も鍋を焦がしていた」
「最近、同じパンばかり買っている気もする」
こうして一つずつ並べてみると、別々に見えていた小さな変化が、実は複数の生活行動に広がっていることがあります。
火、服薬、食事、戸締まりなどで失敗が繰り返されているなら、「本人にもっと気をつけてもらえばいい」だけで済ませない方が安全です。本人へ注意を続けるだけでは防ぎきれない状態になっていないかを確認します。
例えば、火を使わなくても食事を用意できる方法に変える、服薬を管理しやすい仕組みにする、配食や訪問支援を取り入れるなど、本人の努力だけに頼らず生活環境や支援側から補えることがあります。
それでも複数の場面で危険が残り、家族が何度も確認しなければ生活が成り立たないのであれば、在宅支援を増やすだけで足りるのか、住まいそのものを見直す段階なのかまで考えていきます。
留守番中や夜間の危険を確認する
昼間に会った親は普通に見えていても、夜の様子まで含めると状況が変わることがあります。高齢者の生活は、家族が訪問している数時間だけで判断できるものではありません。
夜になると何度も外へ出ようとする。トイレへ行く途中で転倒する。深夜に家族へ何度も電話する。朝になっても起きず、薬や食事の時間がずれている。
こうしたことが続いているなら、昼間の様子だけを見て「一人で暮らせている」と判断するのは難しくなります。
認知症がある親をいつまで一人で留守番させられるかも、診断名だけでは決まりません。火を使うのか、外へ出た時に自宅へ戻れるのか、転倒した時に助けを呼べるのか、薬を自分で管理できるのかなど、留守番中に実際に起こり得ることを確認します。
「昼間はデイサービスに行っているから大丈夫かな」
ここでも、帰宅後の時間まで考える必要があります。夕方にデイサービスから戻り、翌朝まで一人になるのであれば、その時間帯を安全に過ごせるかが重要です。
反対に、本人が一人で食事を取ることができ、服薬も必要な支援を受ければ管理でき、夜間も落ち着いて過ごせているのであれば、在宅サービスを組み合わせながら一人暮らしを続けられる可能性があります。
大切なのは、「何時間一人にしているか」だけで決めないことです。その時間に本人が何をするのか、どんな危険が考えられるのか、困った時に自分で助けを求められるのか、家族や支援者がどのくらいで対応できるのかまで確認してください。
夜間や留守番中に起きる問題が増え、家族が常に電話を気にしたり、すぐ駆けつけられる状態を保たなければならなくなっているなら、本人の一人暮らしだけではなく、今の見守り体制そのものを見直す時期です。

親が認知症なら、もう一人暮らしはできませんか?

認知症という診断だけで一律には決まりません。食事、服薬、火の管理、外出、排泄、清潔保持など実際の生活を確認し、必要な部分をサービスや家族の支援で補えるかを見ます。夜間を含め継続して人の見守りが必要になっている場合は、住まいの見直しを早める理由になります。

本人が「留守番できる」と言えば任せて大丈夫ですか?

本人の意思は大切ですが、本人の言葉だけではなく実際の行動も確認します。最近道に迷っていないか、薬の重複がないか、鍋の焦げや転倒がないかなど、具体的な事実と合わせて判断してください。

昼間は問題なくても夜だけ様子がおかしい時はどうしますか?

夜間だけの混乱や外出、転倒、頻回な電話などが続いているなら、その時間帯を含めて生活を評価します。特に急に夜間の混乱が始まった場合は、認知症の進行と決めつけず身体状態の変化も考えて医療機関へ相談する必要があります。
家族の見守りが増え続けている
もう一つ見逃しやすいのが、家族がどれだけ支えているかです。親は一人暮らしを続けていても、その生活が実際には家族の継続的な見守りによって成り立っていることがあります。
朝は娘が電話で薬を確認する。昼は息子が弁当の注文を確認する。夕方には近所の親族が様子を見に行き、夜中に電話が来れば誰かが対応する。連絡がつかなければ、仕事を抜けて家まで見に行く。
「この状態を、本当に一人暮らしできていると言えるのかな」
ここは一度考えたいところです。
家族が支えていること自体が悪いわけではありません。問題は、その支え方をこれからも続けられるかです。毎日何度も安否確認をし、夜間の連絡にも対応し、連絡が途切れるたび誰かが現地へ向かう状態になると、親だけではなく家族側の生活も大きく変わってきます。
仕事中も電話が気になる。夜も十分に眠れない。休日はほとんど実家対応になる。
こうした状態が続いているなら、親の一人暮らしだけではなく、今の介護体制そのものが続けられるかを見直す時期です。家族が24時間対応に近づいているなら、「もう少し自分たちで頑張る」だけでは解決しにくくなります。
在宅サービスを増やすのか、近くへ引っ越してもらうのか、ショートステイを組み合わせるのか、施設情報を集め始めるのか。家族だけが見守りを増やし続けるのではなく、使える方法を少しずつ増やしていきます。
在宅サービスで補えるか考える
ここまで読むと、「やっぱり老人ホームしかないのかな」と考えるかもしれません。
でも、一度そこで止めます。
一人暮らしで困りごとが出ていても、その部分を外部の支援で補えば、自宅での生活を続けられる場合があります。食事を作ることが難しくなったなら配食、掃除や生活援助が必要なら本人の認定状況やケアプランなどに応じて訪問介護を検討できます。入浴や日中の居場所が必要なら通所サービス、一時的に自宅での生活が難しい時にはショートステイという方法もあります。
ただし、サービスを入れれば必ず一人暮らしを続けられるわけではありません。朝、昼、夕方に支援が入っても、それ以外の時間に転倒や外出、火の事故などが繰り返されるなら、訪問回数を増やすだけでは埋められない時間が残ります。
「サービスを使っているから大丈夫」ではなく、「サービスを使った結果、一日を安全につなげられているか」を確認します。
例えば、昼間はデイサービスへ行き、夕食は配食を利用できても、夜間に一人で外へ出てしまうなら、夜の見守りは別に必要です。反対に、食事や掃除など限られた部分だけを支援すれば生活が成り立つのであれば、すぐ住まいを変えずに済むこともあります。
何を利用できるのか分からない段階でも、親が住んでいる地域の地域包括支援センターへ相談できます。地域包括支援センターは、高齢者本人や家族から生活や介護についての相談を受け、必要に応じて介護サービスや地域の支援などへつなぐ窓口です。
「まだ要介護認定を受けていないから相談できないのかな」
そう思う必要はありません。介護認定前でも相談でき、本人が支援を嫌がっている場合でも、まず家族だけで状況を相談することができます。
一人暮らしを続けられるか迷った時は、「施設か自宅か」をすぐ決めるのではなく、今困っている部分をどこまで外部の支援で補えるのかを確認してください。それでも家族の見守りや夜間対応が大きく残るなら、次の住まいを考える理由になります。
本人の急な変化は施設より受診を優先する
ここは、住まいの問題とは分けて考えてください。昨日まで普通に話していた親が、今日になって急にぼんやりしている、会話が成立しない、食事をほとんど取らない、突然歩けなくなった。このような変化が起きた時に、すぐ「一人暮らしが限界になった」「老人ホームを探さなければ」と考えるのは早い場合があります。
私は介護福祉士として高齢者と関わる中で、普段はきちんと意思疎通ができ、食事もほぼ全量食べていた方が、その日はいつもより反応が鈍く、ぼんやりして食欲も落ち、その後意識を失った場面に対応したことがあります。
「あれ、いつもと違う」
その小さな違いが、その後の大きな状態変化につながることがあります。普段の様子を知っている家族だからこそ気づける変化もあります。
急に会話がおかしくなった、意識がもうろうとしている、突然立てなくなった、ろれつが回らない、顔や手足の動きがおかしい。このような急な変化がある時は、「認知症が進んだ」「いよいよ施設の時期だ」と決めつけず、まず身体の急変が起きていないかを確認してください。
特に、意識がない、呼びかけへの反応が明らかに悪い、突然の麻痺やろれつの異常、強い呼吸困難などがある場合は、住まいの相談より救急対応を優先します。迷う場合も、本人の普段の状態と比べて急な変化かどうかを見てください。
一人暮らしを続けられるか考えるのは、急性の身体問題への対応とは別です。まず必要な医療につなぎ、その後で今回の出来事を振り返ります。退院後も一人で安全に過ごせるのか、見守りを増やせば自宅生活を続けられるのか、それとも住まいを見直した方がよいのかを改めて考えればいいのです。
老人ホームを探す時期と住まいを比べる
- 完全に暮らせなくなる前から探す
- ショートステイで一時的に支える
- 老人ホームやサ高住を比べる
- 施設費用は月額だけで判断しない
- 同居や近居も介護量から考える
- 親と住まいの話を早めに始める
親の介護で迷ったときに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。
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完全に暮らせなくなる前から探す
「まだ一人暮らしできているのに、老人ホームを探すのは早いかな」
ここは迷いやすいところです。ただ、施設を探し始めることと、実際に入居を決めることは同じではありません。むしろ、在宅生活が完全に行き詰まる前から情報を集めておく方が、本人や家族の希望に合う選択肢を比べやすくなります。
老人ホームは、どこでもすぐ入れるわけではありません。空き状況だけでなく、本人の介護状態、認知症への対応、医療的な支援、費用、地域などによって候補は変わります。希望する条件が多いほど、早めに情報を持っておく意味は大きくなります。
「来週から一人では置いておけない」
そこまで状況が進んでから探し始めると、「どこが本人に合うか」よりも「今すぐ入れる所はどこか」を優先せざるを得ないことがあります。
火の管理、道迷い、服薬、食事、夜間の見守り、家族の対応負担など、複数の問題が重なり始めたら、まだ入居を決めていなくても施設情報を集めておく段階です。今の生活を続けながら、どのような施設があり、どの程度の費用がかかり、どんな状態まで対応できるのかを確認しておきます。
特に見ておきたいのは、現在の空き状況だけではありません。認知症が進んだ場合も生活を続けられるのか、夜間はどのような職員体制なのか、医療的な対応が必要になった時はどうなるのか、状態が変わった場合に退去が必要になる条件はあるのかまで確認しておくと、候補を絞りやすくなります。
老人ホームを家族だけで一つずつ探し、条件を確認していくのが難しい場合は、施設紹介サービスを利用して候補を整理する方法もあります。本人の状態や希望する地域、予算などを伝えながら、「今の条件ならどのような施設が候補になるのか」を確認できます。
「まだ入ると決めていないのですが、今の状態と予算ならどんな施設がありますか」
この段階で聞いておいて構いません。入居を決めるためではなく、必要になった時に慌てず選べるようにするための情報収集です。
今すぐ施設へ移る必要がなくても、候補や費用、空き状況を知っておけば、親の状態が変わった時に一から探し始めずに済みます。施設探しを早めに始める目的は、入居を急ぐことではなく、本人と家族に選べる時間を残しておくことです。
ショートステイで一時的に支える
長期の住み替えを決める前でも、「今だけ一人にできない」という時があります。例えば家族が数日家を空ける、介護している家族が体調を崩す、退院後しばらく自宅だけでは不安がある、夜間対応が続いて家族が一度休まなければならない、といった場面です。
そのような時には、ショートステイが選択肢になります。ショートステイは、自宅での生活を続けながら一定期間施設へ泊まり、介護などを受けるサービスです。長期入居を決めることとは別なので、「まだ施設入居までは考えていない」という段階でも検討できます。
ただし、「今日困ったから、今日必ず泊まれる」というものではありません。空床の有無や本人の状態、要介護認定の状況、地域や事業所の運用などによって利用できるかは変わります。緊急ショートステイについても、地域や事業所によって対応が異なります。
「急に必要になったら、その時に使えばいい」
そう考えていても、実際に必要になった時に空きがなければ、すぐ利用できないことがあります。
今後使う可能性がありそうなら、ケアマネジャーや地域包括支援センターへ、利用条件や地域での緊急時の対応を事前に確認しておく方が安心です。家族が数日不在になる時だけではなく、介護者の休息や、一時的に自宅生活が難しくなった時に利用できる場合もあります。
今すぐ住み替える必要はなくても、「一時的に一人にできない時はどうするか」を先に決めておけば、急な出来事が起きた時にも家族が慌てにくくなります。ショートステイを使いながら、今後も自宅生活を続けられるのか、別の住まいまで考えた方がよいのかを確認していく方法もあります。
老人ホームやサ高住を比べる
「老人ホーム」と一言で言っても、住まいの仕組みや介護の受け方は同じではありません。親の状態に合う住まいを考える時は、施設の名称だけを見るのではなく、「どこで、誰から、どのような介護を受けるのか」まで確認する必要があります。
介護付き有料老人ホームでは、介護保険上の特定施設入居者生活介護の指定を受けている場合、ホーム側が介護サービスを包括的に提供します。一方、住宅型有料老人ホームでは、必要に応じて外部の介護サービス事業所と契約して利用する形が基本です。
サービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住は、高齢者向けの登録住宅で、安否確認や生活相談サービスがあります。ただし、介護サービスをどのような形で受けるのかは物件ごとに異なるため、「サ高住なら介護もすべて付いている」と考えず、実際の提供体制を確認してください。
認知症グループホームは、認知症の人が少人数で共同生活をしながら支援を受ける地域密着型サービスです。利用には認知症の有無だけでなく、要支援・要介護区分や住所地などの条件が関係します。
特別養護老人ホームは、常時介護を必要とする人の生活施設です。新規入所は原則として要介護3以上ですが、要介護1・2でも一定の事情がある場合には特例入所の対象になることがあります。
「まだ介護認定を受けていないから、施設は探せないのかな」
ここも迷いやすいところです。
介護認定を入居の絶対条件としていない民間施設もあります。介護認定を受ける前から確認できる住まいについては、介護認定前から確認できる高齢者施設の種類もあわせて確認してください。
施設を比べる時は、「今必要な介護をどう受けるのか」だけでは足りません。介護量が増えた後も暮らし続けられるのか、認知症が進んだ場合はどうなるのか、医療的な対応が必要になった時はどうするのかまで確認しておくと、入居後のミスマッチを減らしやすくなります。
施設名だけで決めるのではなく、親の現在の状態と、今後必要になりそうな支援の両方を見ながら比べてください。
施設の種類を比べる時の主な違いは次のとおりです。
| 住まい・サービス | 主な特徴 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 介護付き有料老人ホーム | ホームで介護サービスを受ける仕組み | 介護体制、医療連携、追加費用 |
| 住宅型有料老人ホーム | 住まいと外部介護を組み合わせる | 外部サービス利用方法、費用 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 安否確認・生活相談のある高齢者向け住宅 | 介護が増えた場合の対応 |
| 認知症グループホーム | 認知症の人が少人数で共同生活 | 利用条件、住所地、医療対応 |
| 特別養護老人ホーム | 常時介護が必要な人の生活施設 | 要介護度、待機状況、申込条件 |
| ショートステイ | 一定期間だけ施設で生活する | 空き状況、利用日数、緊急利用 |

老人ホームとサ高住はどちらがいいですか?

どちらが上というものではありません。本人が必要とする介護量、認知症への対応、医療面、予算、住まいに求める自由度などで変わります。サ高住でも介護サービスの受け方は物件によって違うため、名称だけで決めず実際の提供体制を確認してください。

認知症ならグループホームを選ぶべきですか?

認知症があることだけで自動的にグループホームになるわけではありません。利用条件があり、本人の生活状態や医療面、地域、空き状況なども関係します。有料老人ホームなど他の施設が合う場合もあります。

老人ホームを探したら入居しなければいけませんか?

いいえ。施設を探すことは情報収集です。費用や空き状況、どんな施設が地域にあるのかを知っておけば、自宅生活を続けながら将来の選択肢を持てます。
施設費用は月額だけで判断しない
施設の候補が見つかると、次に気になるのが費用です。
「月額15万円なら、親の年金で何とかなるかな」
そう思って詳しく見ると、最初に想定していなかった費用が出てくることがあります。
高齢者住宅や施設では、家賃や居住費、食費、管理費のほか、介護保険の自己負担、医療費、日用品、理美容、個別サービスなどが必要になる場合があります。初期費用がある施設もあります。
さらに、現在の費用だけでなく、介護度が上がった場合の負担、入院中の居室費、追加サービス、退去条件も確認したいところです。
「月額○万円」という表示だけで支払えるかを判断せず、その金額に何が含まれ、何が別料金なのかを確認してください。
親の介護費用を払えない可能性がある場合も、「施設は無理」と家族だけで決める必要はありません。
生活保護には介護扶助がありますが、生活保護ならどの民間老人ホームでも費用がすべて出るという制度ではありません。本人の状況、利用する施設、介護保険給付、福祉事務所での確認などが必要になります。
施設探しでは、現在の月額だけでなく、少なくとも次のように確認します。
| 費用項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 初期費用 | 入居一時金などがあるか |
| 月額固定費 | 家賃・居住費、食費、管理費など |
| 介護費 | 介護保険自己負担や追加サービス |
| 医療費 | 通院、薬、医療的ケアなど |
| 日用品等 | おむつ、理美容、生活用品など |
| 状態変化後 | 介護度上昇で費用が変わるか |
| 入院時 | 入院中も居室費等が必要か |
| 退去 | 退去条件や精算方法 |
こうした条件を一つずつ自分で確認するのが難しい場合は、施設紹介サービスへ予算と必要な介護を伝えて、候補を整理してもらう方法があります。大事なのは「一番安い施設」を探すことではありません。その予算で無理なく生活を続けられ、必要な支援を受けられる施設があるかを確認することです。
介護サービスや施設を比較する際には、厚生労働省の介護サービス情報公表制度でも全国の介護サービス事業所などの情報を検索できます。厚生労働省は、この制度を利用者が事業所や施設を比較・検討するための仕組みとして案内しています。
同居や近居も介護量から考える
老人ホームの話が出ると、「施設へ入れるくらいなら、自分が親と同居すればいい」と考えることがあります。もちろん、同居が合う家庭もありますが、一緒に暮らし始めれば介護の問題がすべて解決するわけではありません。
親が一人暮らしで困っている理由が、食事の準備や買い物など限られたことであれば、同居や近居によって支えやすくなる可能性があります。家族がすぐ行ける距離になるだけでも、買い物や通院、急な用事には対応しやすくなるでしょう。
一方で、夜間に何度も起きる、トイレ介助が必要になる、転倒が増える、外へ出てしまう、服薬を家族がすべて確認しなければならない。このように一日の中で何度も支援が必要になっている場合は、話が変わります。
「一緒に住めば何とかなると思ったけど、仕事に行っている間は誰が見るんだろう」
ここで考えたいのは、同居するかどうかだけではありません。親に必要な支援を、誰が、どの時間帯に、どのくらい担当するのかまで確認する必要があります。
例えば、家族が日中仕事へ出ている間に一人で過ごせないのであれば、同居していてもその時間帯の支援は別に必要です。夜間の見守りやトイレ介助まで家族だけで続けるのであれば、支える側の睡眠や仕事への影響も考えなければなりません。
近居も同じです。親が家族の家から徒歩10分ほどの場所へ引っ越せば、緊急時には駆けつけやすくなりますが、毎食の確認、服薬、夜間対応が必要なら、「近くに住んだから大丈夫」とは言えません。
反対に、ある程度一人で生活でき、配食、デイサービス、訪問介護などを組み合わせれば生活が成り立つのであれば、同居せず近居で支えられる場合もあります。家族がすべてを直接行うのではなく、必要な部分だけ外部の支援へ任せる方法も考えられます。
同居、近居、施設のどれを選ぶ場合でも、先に確認したいのは住む場所そのものではありません。「食事は誰が支えるのか」「薬は誰が確認するのか」「昼間一人で過ごせるのか」「夜に何か起きた時は誰が対応するのか」と、必要な支援を具体的に分けて考えます。
同居か施設かの二択で急いで決める必要はありません。親に必要な介護量と、家族が無理なく続けられる支援量を比べ、その不足する部分を介護サービスや別の住まいで補えるかを考えてください。
親と住まいの話を早めに始める
住まいを変える可能性が出てきた時、家族にとって難しいのが本人との話し合いです。家族は心配だからこそ「もう一人では危ないから、そろそろ施設を探そう」と考えますが、本人からすれば、急に「今の家を出てほしい」と言われたように感じることがあります。
長年暮らしてきた家には、本人なりの生活があります。近所の人との付き合いがあり、いつもの店があり、慣れた部屋や生活の流れもあります。ですから、最初の話し合いから「老人ホームへ入るか、入らないか」の結論まで一気に出そうとしない方が進めやすいでしょう。
「最近、薬が分からなくなることが増えたけど、どうすれば楽かな」
「夜に一人でいるのは不安じゃない?」
「買い物だけ誰かに頼むのはどう?」
「もし今の家で暮らすのが大変になったら、どんな所なら暮らしてみてもいい?」
このように、本人が今困っていることから少しずつ聞いていきます。最初から「施設」という答えを決めて話すのではなく、食事、買い物、服薬、夜間の不安など、本人自身が感じている困りごとを一つずつ確認していく方が、話を続けやすくなります。
住まいについても、自宅でできるだけ暮らしたいのか、子どもの近くへの引っ越しなら考えられるのか、サービス付き高齢者向け住宅のような住まいならどう感じるのかなど、話題を分けて確認します。介護が増えた時に、どこまで外部の支援を受けたいのかも、本人が話せるうちに少しずつ聞いておくと選択肢を考えやすくなります。
一度の話し合いですべてを決める必要はありません。今日は買い物のこと、次は夜間のこと、その次は今後の住まいのことというように、日常の困りごとから少しずつ話を広げていけばいいのです。
本人が施設への入居を嫌がっていても、家族まで情報収集を止める必要はありません。地域包括支援センターへ家族だけで相談する、施設の費用を調べる、空き状況を確認する、ショートステイを利用できるか聞いておくなど、入居を決める前にできることはあります。
特に、火の管理や服薬、食事、夜間の見守りなど複数の不安が重なっている場合は、今すぐ入居するかどうかとは別に、「今の状態ならどのような住まいが候補になるのか」を知っておく意味があります。費用や受け入れ条件、空き状況まで先に確認しておけば、急に一人暮らしを続けられなくなった時にも、家族だけで一から探し直さずに済みます。
老人ホームの種類や費用、現在の親の状態でどのような施設を検討できるのか分からない場合は、老人ホーム紹介サービスを使って候補を整理してもらう方法もあります。入居を決めていない段階でも、まず情報を集めて比較しておけば、本人と話し合う時にも具体的な選択肢を示しやすくなります。
本人へ突然「施設へ行ってほしい」と結論を突きつけるのではなく、家族側が先に選択肢を知り、そのうえで本人の希望を聞きながら少しずつ話を進めていく。住まいについて早めに話し始める目的は、本人の意思を無視して入居を決めることではなく、今の生活が難しくなった時に選べる道を残しておくことです。

親が絶対に施設へ行かないと言っている時はどうすればいいですか?

最初から施設入居の説得だけを続けるより、本人自身が困っていることから話を始めます。買い物、食事、掃除、夜間の不安など、小さな支援から受け入れられる場合もあります。本人が拒否していても、家族だけで地域包括支援センターなどへ相談することはできます。

本人を子どもの家の近くへ引っ越してもらえば解決しますか?

近居で支えやすくなる場合はありますが、距離だけでは決まりません。食事、服薬、夜間見守りなど、必要な支援を誰がどの時間帯に担うのかまで確認してください。

施設に空きがなかったらどうすればいいですか?

希望施設だけを待つのではなく、在宅サービス、ショートステイ、別の施設種別や地域などを含めて一時的な支え方を相談します。急に一人で生活できなくなってから探し始めると選択肢が狭まりやすいため、在宅生活が続いている段階から候補を持っておくことが大切です。

親の老人ホームを考える時に覚えておきたいこと
親の様子がおかしいと感じた時、「老人ホームはいつから考えるべきなのか」という疑問に、年齢や要介護度だけで答えることはできません。まず見るのは、親の実際の生活です。火を何度も消し忘れる、薬を継続して管理できない、食事を確保できない、道に迷って帰れない、転倒しても助けを呼べない、夜になると一人にできない。こうしたことが一つだけなのか、複数重なっているのかを確認してください。
一つの困りごとであれば、配食、訪問介護、通所サービス、見守りなどを使って自宅生活を続けられる可能性があります。反対に、複数の問題が重なり、サービスが入っていない時間まで継続して人の見守りが必要になっているなら、住まいを見直す必要性は高くなります。そこには親の状態だけでなく、家族が毎日何度も電話し、夜間も対応しなければならない状態になっていないかという確認も含まれます。
だからといって、老人ホームを調べたらそのまま入居する必要はありません。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サ高住、グループホーム、特別養護老人ホームなど、どのような住まいがあり、本人の状態ならどの施設が候補になるのかを知ることから始めればいいのです。費用も月額表示だけではなく、介護費、医療費、日用品、追加サービス、状態が変わった時の費用まで比べます。
同居や近居も選択肢です。ただ、家族との距離が近くなることと、必要な介護を提供できることは同じではありません。親が必要とする支援を誰が、何時に、どのくらい担えるかまで考え、そのうえで自宅、近居、同居、施設を比べてください。
そして、できれば親がまだ自分の希望を話せる段階から住まいについて少しずつ話しておきましょう。施設へ入るかどうかを一度で決めるのではなく、「自宅でどこまで暮らしたいか」「何なら手伝ってもらってもいいか」「今の家が難しくなった時はどうしたいか」を聞いていきます。
一人暮らしが完全に破綻してから選択肢を探すのではなく、「少し危なくなってきたかな」と感じたところから準備を始める。その方が、本人にも家族にも選べる時間を残せます。
健さんの視点コラム
日曜日の夕方、実家から帰ろうとしたところで親から「もう帰るのか。夜、一人になるのはちょっと心細いな」と言われる。これまではそんなことを言わなかった親なら、家族としては気になります。
「今日は泊まった方がいいのかな」と迷うでしょう。ただ、その日の一泊だけで考えると、本当に確認したいことが見えにくくなります。大事なのは、「じゃあ来週は? その次の週は?」まで考えてみることです。
まず、親が夜を不安に感じる理由を分けます。転倒が怖いのか、夜中のトイレが不安なのか、誰もいないこと自体が心細いのか。夜になると場所や時間が分からなくなることがあるのか。同じ「一人では不安」でも、必要な支え方は違います。
夜間に一度トイレへ行く時だけ不安なのであれば、住環境や福祉用具、見守り方を見直すことで補える可能性があります。一方、夜になると外へ出ようとする、転倒を繰り返す、一人になるたび家族へ連絡し続けるとなれば、必要な見守りの量そのものが増えています。
ここで「家族なんだから泊まらなければ」と決めてしまうと、今度は支える側の生活が続かなくなるかもしれません。一泊できることと毎週泊まれることは違います。毎週できても、それを半年、一年と続けられるかは別です。
人生健康第一とは、親の安全だけを見るのではなく、支える家族の睡眠、仕事、時間、体力、費用まで含めて、生活を続けられる方法を選ぶことにつながります。家族がどの時間帯に何を担っているのかを書き出すと、外へ任せられる部分も見えてきます。
夜間まで家族が対応しなければならないのか。ショートステイを利用できる場面はないか。在宅サービスで補える時間はあるか。それでも一人になる時間の危険が残るなら、別の住まいについて情報を集める段階かもしれません。
施設を調べることは、すぐ入居を決めることではありません。在宅を続けながら費用や空き状況を確認しておくこともできます。親の状態が変わってから慌てて一つの方法を選ぶより、まだ選べるうちに選択肢を持っておく方が、本人の希望も家族の生活も考えやすくなります。
親が一人でいられない時間が増えた時、その時間をすべて家族が埋める必要はありません。本人の状態が変われば、必要な支え方も変わります。家族だけで抱え続けず、今の生活に合う支援へ少しずつ組み替えていくことが大切です。
介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
親の介護で困ったときに『まずここを見れば分かる』と思ってもらえる記事を、これからも増やしていきます。
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