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この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営
親の介護が始まると、通院の付き添い、役所や病院への連絡、買い物、服薬確認、ケアマネジャーとの調整などが少しずつ増えていきます。最初は有給休暇や早退で何とかできても、「また休まなければならない」「このままフルタイムで働けるのか」「会社に迷惑をかけるくらいなら辞めた方がいいのか」と考えるようになる方もいます。子育て中や共働きの家庭なら、自分の仕事だけでなく家庭内の予定まで崩れ、どこから手を付ければよいのか分からなくなることもあります。
私は元プロアスリートとして体と向き合い、納棺師として人の命の終わりを見届け、現在は介護福祉士として日常の健康と生活を支える現場にいます。そんな経験から辿り着いた信念があります。それは人生健康第一です。親の介護と仕事の両立でも、家族が根性で全部背負うのではなく、本人も家族も生活を壊さない形を早めに作ることが大切だと考えています。
この記事では、親の介護で仕事を休む場面が増えたときに、まず何を確認すればよいのか、介護休暇や介護休業をどう考えるのか、職場へ何を伝えればよいのか、家族分担や介護保険サービス、自費サービスをどのように組み合わせればよいのかを順番に整理します。通院付き添いだけでなく、認知症の心配、親二人の介護、子育てとのダブルケアなど、負担が重なる場合にも使える考え方です。
最初に持っておきたい判断軸は、「仕事を辞めるか続けるか」をいきなり決めるのではなく、「家族が直接やらなければならないこと」と「制度やサービスへ任せられること」を分けることです。介護の用事が増えたからといって、その増えた時間をすべて家族の勤務時間から差し引く必要があるとは限りません。まず負担の中身を分解してから、休み方と支援の使い方を考えていきます。
この記事のポイント
- 親の介護で仕事を休む時に最初に整理することがわかる
- 介護休暇や介護休業をどう使い分けるかが理解できる
- 家族が担う時間を外部支援へ移す考え方がわかる
- 退職を急がず仕事を続ける体制の作り方が理解できる
親の介護と仕事を両立する休み方
- 休みが増えた原因を先に分ける
- 介護休暇と有給を使い分ける
- 介護休業は体制づくりに使う
- 会社には早めに状況を伝える
- 子育てや共働きも一緒に考える
休みが増えた原因を先に分ける
親の介護で仕事を休むことが増えたとき、最初にしておきたいのは「介護が大変」という一言でまとめず、実際に何のために仕事を休んでいるのかを分けることです。通院付き添い、買い物、薬の受け取り、行政手続き、ケアマネジャーとの面談、急な体調変化、転倒後の対応などでは、必要な時間も緊急性も違います。全部を同じ「介護の休み」として扱うと、どの部分なら勤務を変えずに済むのかが見えなくなります。
たとえば通院でも、病院までの送迎、受付、診察への同席、会計、薬局、帰宅までをすべて家族一人が担っている場合があります。しかし、親が一人で診察内容を理解できるのか、移動だけが難しいのか、薬の管理まで支援が必要なのかによって、外へ任せられる部分は変わります。送迎だけ外部へ頼めれば半日休みで済むこともありますし、診察同席が必要ならその時間だけ家族が動く形も考えられます。
さらに、親の様子がおかしい、認知症が心配、電話の内容を忘れる、予約日を間違えるといった変化がある場合は、単なる「用事の量」だけでは判断できません。家族がいない時間に何が起きているのか、服薬、食事、火の管理、外出、金銭管理など生活全体を確認する必要があります。仕事との両立を考えるときほど、家族の休み方だけを見るのではなく、親の生活でどこに支援が必要なのかを整理することが大切です。
「今は何とか有給で回せているから、このままでもいいのでは」と感じる方もいると思います。
短期間ならそれで回る場合もあります。ただし、通院、買い物、見守り、電話確認、急な呼び出しまで同じ家族へ集中しているなら、休暇残日数だけの問題ではありません。介護が長期化したときに同じ方法を続けられるかという視点で、一度立ち止まって負担の内訳を見た方がよいでしょう。
最初に見るのは「何日休んだか」ではなく、「家族しかできないことに何時間使っているか」です。
この切り分けができると、「通院は家族」「買い物は配達」「掃除は訪問サービス」「日中の見守りは通所サービス」「緊急連絡は兄弟で分担」といった形に変えやすくなります。仕事を減らす前に、まず介護の仕事そのものを減らせないかを見ることが、両立を考える最初の一歩になります。
介護休暇と有給を使い分ける
親の介護で休みが必要になったとき、有給休暇だけで対応している方は少なくありません。有給は使いやすい一方で、介護の予定が続くと自分の通院や体調不良、子どもの行事などに使える日数まで減っていきます。そのため、勤務先で介護休暇の対象になるかを確認しておく意味があります。介護休暇は、要介護状態にある対象家族の介護や世話を行う労働者が利用できる制度です。
法定の介護休暇は、対象家族が1人の場合は年5日、2人以上の場合は年10日まで取得でき、時間単位で取得することもできます。丸一日の付き添いだけでなく、診察時間だけ職場を抜ける、ケアマネジャーとの面談時間だけ休む、手続きに必要な時間を確保するといった使い方を考えられる点は、フルタイム勤務を続けたい方にとって大きな意味があります。ただし、実際の申請方法や社内手続きは勤務先へ確認してください。
一方、有給休暇が不要になるわけではありません。介護休暇の対象条件に当てはまらない場面や、自分の都合も含めて柔軟に休みたい場面では有給の方が使いやすいこともあります。大切なのは「介護なら全部介護休暇」「通院なら全部有給」と機械的に分けることではなく、親の状態、必要な支援、勤務先の制度、取得単位を確認して、自分の休暇を一種類だけで消耗させないことです。
「親の通院くらいで介護休暇を相談したら、大げさに思われないでしょうか?」
制度を確認することと、大げさに訴えることは別です。今後も通院や支援調整が続きそうなら、対象になる制度を確認しておくこと自体が、仕事を続けるための準備になります。会社へ伝えるときも、親の病名や家庭内事情をすべて話す必要があるとは限りません。
介護休暇・時間単位取得・勤務調整など、使える制度を先に確認しておくと、有給休暇だけに負担を集中させずに済みます。
特に親二人の介護、子育てとの両立、夫婦共働きなど複数の予定が重なる家庭では、「今月を乗り切れるか」だけでなく「半年後も続けられるか」を考える必要があります。制度は使うためにあります。利用条件を確認したうえで、家族の介護時間と自分の生活時間の両方を残す方向で組み合わせていきましょう。
介護休業は体制づくりに使う
介護休業という言葉を見ると、「長期間、自分が親を介護するために仕事を休む制度」と受け取る方もいます。しかし、仕事と介護の両立を考えるうえでは、家族自身がすべての介護をする期間としてだけ考えない方が現実的です。法定の介護休業は対象家族1人につき3回まで、通算93日という枠があり、その期間を使って仕事を続けられる介護体制を組み立てていく考え方があります。
たとえば親が退院し、これまで一人でできていた買い物や入浴が難しくなったとします。そこで家族が毎日会社を休んで対応し続けるのではなく、地域包括支援センターへの相談、要介護認定の申請、ケアマネジャーとの調整、訪問介護やデイサービスの検討、福祉用具や住環境の確認などを進めます。つまり、休業期間の一部を「家族が介護を抱える時間」ではなく、「家族が介護を抱えなくても回る仕組みを作る時間」として使うわけです。
ここを取り違えると、93日という数字だけを見て「93日後には復職しなければならないのに介護は終わらない」と不安になってしまいます。介護そのものは93日で終わるとは限りません。だからこそ、その間に家族以外の支援を入れ、仕事へ戻った後の平日昼間や夜間、通院日を誰が支えるのかを具体化することが重要になります。

介護休業を取ったら、その期間は自分が毎日介護しないといけませんか?

家族だけで介護する期間と考える必要はありません。相談、認定、サービス調整など、復職後も介護が回る体制を作るために使う視点が大切です。

要介護認定をまだ受けていなくても相談はできますか?

地域包括支援センターは認定前でも相談できます。何を申請すればよいか分からない段階だからこそ、状況整理の入口として使えます。

親がサービスを嫌がっている場合でも家族だけで相談できますか?

本人が拒否していても家族側の相談は先に始められます。買い物や通院など、本人も困っている一つの問題から支援を考える方法もあります。

会社には早めに状況を伝える
親の介護が始まったとき、職場へどこまで伝えるかで迷う方も多いと思います。まだ介護認定も決まっていない、親の病名も確定していない、今後どの程度休むか分からない。この段階では「何を言えばよいのか分からないから、しばらく黙っておこう」と考えやすいのですが、急な休みが何度も続いてから初めて説明するより、介護対応が続く可能性だけでも早めに共有しておく方が調整しやすくなります。
会社へ伝える内容は、親の詳しい病歴を説明することではありません。「親の介護対応が始まり、今後通院や手続きで休暇や勤務調整が必要になる可能性がある」「利用できる制度を確認したい」「現時点では頻度は未確定」といった、仕事の調整に必要な範囲から始めればよいでしょう。上司だけでなく、人事や総務が介護休業、介護休暇、所定外労働の制限、短時間勤務などの窓口になっている場合もあります。
2025年4月からは、介護に直面したことを申し出た労働者への制度の個別周知・意向確認や、介護離職防止のための雇用環境整備などが事業主に求められるようになっています。制度があることを知っていても、実際に誰へ相談すればよいか分からなければ利用につながりません。介護が本格化してから探すのではなく、「今後必要になるかもしれない」という段階で社内制度の場所を確認しておくことが大切です。
会社には「退職を考えています」と伝える前に、「仕事を続けるために使える制度を確認したい」と相談する順番があります。
仕事を辞めたくない気持ちがあるなら、その意思も伝えてよいと思います。「介護があるので働けません」ではなく、「働き続けるために、どの制度と勤務調整が利用できるか確認したい」と伝えることで、相談の目的が明確になります。仕事内容によって可能な調整は異なりますが、制度確認をせずに自分だけで退職の結論まで進める必要はありません。
親の通院対応が中心で会社への伝え方や休み方を詳しく整理したい場合は、親の通院付き添いで仕事を休めない時に家族負担を減らす方法もあわせて確認してみてください。
子育てや共働きも一緒に考える
親の介護だけなら調整できても、子育てや共働きが重なると話は変わります。朝は子どもの登校準備、日中は仕事、夕方は学童や習い事の迎え、その後に親の買い物や薬の確認という生活になると、介護に使う時間だけを見ても本当の負担は分かりません。ダブルケアでは、自分の休暇、配偶者の勤務、子どもの予定、親の支援を一つの予定表で見る必要があります。
共働き家庭では、どちらか一人が「自分の親だから」とすべてを背負う形にも注意が必要です。実親の介護に関する中心的な連絡は実子が担うとしても、家庭の中では夕食、送迎、子どもの対応、家事などを夫婦で組み替えることで、介護に使える時間を作る方法もあります。反対に、配偶者へ直接介護まで求めなくても、家庭内の別の役割を一時的に引き受けてもらうだけで負担が軽くなることがあります。
親二人の介護でも同じです。父の通院と母の買い物、父の服薬と母の見守りを一人で抱えるのではなく、それぞれに必要な支援を分けます。親二人だから家族の負担も単純に二倍になるとは限りませんが、予定が重なったときに一人では対応できない可能性は高くなります。家族が対応できる量ではなく、親二人の生活に必要な支援量を先に把握しておくことが大切です。
「自分の家庭まで巻き込むのは申し訳ない」と思って、すべてを自分だけで抱える方もいます。
ただ、一人で抱えた結果として仕事、睡眠、子育て、夫婦関係まで崩れてしまえば、介護を続ける土台そのものが弱くなります。家族の負担を減らすことは、親を後回しにすることではありません。どの生活も続けられる配分を探すことが必要です。
介護のために睡眠不足や欠勤が常態化し、仕事や家庭生活まで崩れ始めているなら、「まだ頑張れるか」ではなく支援体制を組み直す段階です。
親の介護と仕事を両立するときの全体的な判断軸については、固定内部リンクの親の介護と仕事を無理なく両立する方法でも整理しています。今回の記事では、そこからさらに「休む時間をどう減らすか」「外部支援へ何を任せるか」に絞って進めます。
外部支援で介護時間を減らす方法
- 家族がやらなくてよい仕事を探す
- 介護保険サービスを組み合わせる
- 自費サービスで不足時間を補う
- 兄弟姉妹は役割で分担する
- 在宅が難しい時は住まいも考える
親の介護で迷ったときに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。
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家族がやらなくてよい仕事を探す
外部支援を考えるとき、「家族ができなくなったらサービスを使う」という順番にすると、導入が遅れやすくなります。むしろ仕事を続けたい場合は、「家族でなくても安全にできること」を先に外へ出す方が効果的です。家族だからこそ担いたいことと、誰かが行えば成立することを分けると、介護時間を減らしながら親との関係も守りやすくなります。
たとえば、家族でなければ難しいのは、親の意思確認、医療上の重要な判断、本人の生活歴を踏まえた相談などです。一方、買い物、掃除、洗濯、移動支援、見守り、食事の準備、一定範囲の外出付き添いなどは、本人の状態や制度の条件が合えばサービスへ任せられる場合があります。親のために使っている時間を一週間分書き出し、「家族でなくてもよいもの」へ印を付けるだけでも、外部化の候補が見えてきます。
ここで重要なのは、外部へ任せることを「家族が介護をしない」という意味にしないことです。家族が買い物に付き添わなくなっても、その分、親の話を聞く時間や重要な受診へ同行する時間を残せます。仕事を続けるために支援を使うことは、介護から逃げることではなく、家族にしかできない関わりを残すための役割整理でもあります。
介護時間を減らす時は、「全部外へ任せる」のではなく「家族でなくてもよい時間から外へ出す」と考えると整理しやすくなります。
特に仕事の予定と衝突しやすい平日昼間の支援を外へ出せると、勤務への影響は大きく変わります。逆に、夜間の急変や重要な説明など外部化しにくい部分が残るなら、その時間へ家族の余力を残しておく必要があります。介護の総量ではなく、「どの時間帯の、どの仕事を誰が担うか」で設計していきます。
介護保険サービスを組み合わせる
要介護・要支援認定を受けた後は、訪問介護、通所サービス、短期入所、福祉用具など、本人の状態やケアプランに応じた介護保険サービスを検討できます。どのサービスを何回使えるか、自己負担はいくらか、どの行為が保険対象になるかは、要介護度、本人の状態、地域、事業所などによって異なります。そのため「このサービスを使えば必ず仕事を休まなくて済む」と一律には考えません。
訪問介護で家事や身体介護を補う、デイサービスなどの通所サービスで日中の活動や見守り時間を作る、ショートステイを家族が不在になる時や一時的に在宅介護が難しい時に検討する、といった組み合わせがあります。家族の勤務時間に合わせてサービスを考えるだけでなく、本人に必要な支援内容と時間帯をケアマネジャーと共有することが重要です。
通院や買い物についても、訪問介護、自治体の移送支援、介護タクシー、一般タクシーなどが候補になることがあります。ただし、介護タクシーという名前だけで介護保険がすべて適用されるわけではありません。院内付き添いがどこまで対象になるかなども条件差があるため、実際の利用範囲はケアマネジャーや地域の窓口、事業所へ確認します。
介護保険サービスは「家族の代わりを全部する制度」ではなく、本人に必要な支援と家族が担える範囲を組み合わせて在宅生活を支える仕組みとして考えます。
まだ認定を受けていない、何を申請すればよいか分からないという段階では、地域包括支援センターが相談の入口になります。本人がサービスを嫌がる場合でも、まず家族だけで「どんな困りごとが出ているか」「仕事への影響がどこまで広がっているか」を相談できます。一度にすべての支援を勧めるのではなく、買い物、通院、掃除など本人も困っている一つの問題から始める方法もあります。
| 負担になっている場面 | 検討する支援 | 確認すること |
|---|---|---|
| 平日日中の見守り | 通所サービスなど | 利用日・送迎・本人との相性 |
| 掃除や生活援助 | 訪問介護など | 対象範囲・利用条件 |
| 通院や外出 | 移送支援・介護タクシー等 | 送迎・院内支援・費用 |
| 家族不在時 | 短期入所など | 空き・利用条件・期間 |
| 歩行や移動 | 福祉用具・住宅環境調整 | 本人状態・専門職の確認 |
| サービス選び | 地域包括・ケアマネ相談 | 認定状況・地域の事業所 |

デイサービスを使えば、その日は家族が何もしなくても大丈夫ですか?

利用中の見守り負担は減りますが、送迎前後や帰宅後に必要な支援は本人ごとに違います。一日の流れ全体で考えてください。

介護保険だけで仕事中の支援を全部埋めることはできますか?

必要な時間すべてを介護保険だけで埋められるとは限りません。家族分担や自費サービスを組み合わせた方が現実的な場合もあります。

ショートステイは家族が仕事で忙しい時にも検討できますか?

家族が一時的に介護できない場面などで選択肢になります。ただし空き状況や利用条件があるので、必要になる前からケアマネジャーへ相談しておくとよいでしょう。
自費サービスで不足時間を補う
介護保険サービスを組み合わせても、家族が仕事をしている時間と必要な支援時間がぴったり一致するとは限りません。早朝、夜間、長時間の外出付き添い、細かな家事、見守り、院内付き添いなど、介護保険だけでは対応しにくい部分が残ることがあります。そこで考えたいのが、自費の介護・生活支援サービスです。
自費サービスは費用が発生するため、「家族がやれば無料なのに」と感じるかもしれません。しかし家族が仕事を半日休むことで失う収入、通院先までの交通費、移動時間、疲労、勤務先への影響まで含めると、必ずしも「家族がやる方が負担が小さい」とは限りません。お金だけではなく、時間と仕事への影響も合わせて比較する必要があります。
たとえば家族が毎週半日休んで通院付き添いをしている場合、そのすべてを外部へ任せるのではなく、送迎と待ち時間の一部だけを任せ、重要な診察日だけ家族が同行する方法もあります。仕事の繁忙期だけ利用を増やす、兄弟が来られない週だけ使うなど、介護保険と違う柔軟性が役立つ場面もあります。サービスごとに対応範囲、料金、利用時間、医療行為の可否などは異なるため、契約前の確認は必要です。
「自費サービスまで使うのは贅沢ではないか」と迷う方もいると思います。
ただ、判断基準は贅沢かどうかではありません。その支出によって、家族が仕事を続けられるのか、睡眠や家庭生活を守れるのか、本人の安全や生活が保てるのかを見ます。月に数回の支援で仕事を辞めずに済むなら、家計全体で見た意味は変わります。
自費サービスは「介護保険で足りない時間を埋める選択肢」として、家族の休業時間や失う収入まで含めて比較します。
保険外の訪問介護サービスとしてイチロウのような選択肢を検討する場合も、今回必要な支援内容とサービスの対応範囲が合うかを確認したうえで利用を考えてください。
| 方法 | 向いている場面 | 考えるポイント |
|---|---|---|
| 家族対応 | 重要な意思確認や診察同席 | 勤務・移動・疲労への影響 |
| 介護休暇 | 短時間・単発の介護対応 | 対象条件・取得方法 |
| 介護休業 | 介護体制を作る時期 | 復職後の支援設計 |
| 介護保険サービス | 継続的な生活・身体支援 | 認定・ケアプラン・利用条件 |
| 自費サービス | 保険外時間・柔軟な付き添い | 料金・対応範囲・契約内容 |
| 兄弟姉妹の分担 | 連絡・費用・調査・手続き | 役割を具体化する |
兄弟姉妹は役割で分担する
兄弟姉妹がいる場合、「みんな同じだけ介護する」という考え方だけではまとまりにくいことがあります。住んでいる距離、勤務時間、子育て、健康状態、経済状況が違うからです。近くに住んでいる人だけが通院、買い物、緊急対応、行政手続きを全部背負い、遠方の兄弟は「何かあったら言って」と待つ形になると、近居している人へ負担が集中します。
役割分担では、身体的な付き添いだけを介護と考えないことがポイントです。遠方でも、施設やサービスの情報を調べる、役所へ問い合わせる、家族の予定を共有する、費用記録をまとめる、定期的に親へ電話する、兄弟間の連絡役になるといった仕事はできます。近居の人が現地対応、遠方の人が調整業務という分け方でも、実際の負担はかなり変わります。
「もっと手伝ってほしい」と抽象的に頼むより、「来月の通院1回をお願いしたい」「この3施設へ電話して費用を確認してほしい」「公共料金の確認を担当してほしい」のように仕事を具体化した方が話し合いやすくなります。それでも協力が難しい場合は、協力してくれることを前提に介護計画を作るのではなく、実際に提供できる家族支援量を前提として外部サービスを組みます。
家族分担は「全員が同じ量」ではなく、「誰が何を担当するか」を具体化した方が続きやすくなります。
家族会議で意見がまとまらない場合、地域包括支援センターやケアマネジャーなど第三者の情報を使う方法もあります。「長男だから」「近くに住んでいるから」という理由だけで介護量を決めるのではなく、親に必要な支援と各家族が現実に提供できる支援を並べて考えることが重要です。
在宅が難しい時は住まいも考える
外部サービスを増やしても、夜間を含めて家族の対応が続く、転倒や道迷いが繰り返される、服薬や食事が継続的に管理できない、連絡が取れない時間が増えるなど、在宅生活そのものを見直した方がよい場面もあります。施設を検討することは、「家で介護できなかった」という失敗ではありません。在宅で必要な支援量と家族が提供できる支援量が合わなくなったときの一つの選択肢です。
特に仕事を続けながら介護する場合、家族が24時間近い対応を求められる状態では、休暇制度や自費サービスだけで補うのが難しくなることがあります。日中はサービスで対応できても、夜間の排泄介助、転倒、外出、連絡対応が毎晩続けば、家族の睡眠と仕事への影響は避けにくくなります。本人の安全だけでなく、家族側の生活が維持できるかも住まいを考える材料になります。
一方、施設を調べることと、すぐ入居を決めることは別です。費用、空き状況、医療対応、認知症への対応、夜間の職員体制、看取り、退去条件などは施設ごとに違います。在宅介護が完全に限界になってから初めて探すと、比較する余裕がなくなることもあります。まだ在宅生活を続けている段階でも、地域にどんな選択肢があるかを把握しておくことには意味があります。
「施設まで考え始めたら、親を見捨てるようで気が引けます。」
そう感じる家族は少なくありません。ただ、住まいを調べることは入居を決めることではありません。選択肢を知っておくことで、在宅を続けるために今何が不足しているのかも見えます。自宅、サービス追加、短期入所、住み替えなどを並べて考えるための情報収集です。
家族が仕事や睡眠を削って24時間対応に近づいている状態を、「まだ在宅で頑張れる」と家族の我慢だけで延ばさないことが大切です。
施設という選択肢まで含めて比較したい場合は、本人の希望、費用、介護量、家族の勤務状況を整理したうえで情報を集めます。老人ホーム紹介サービスを利用する場合も、紹介された施設だけで即決せず、費用や介護体制、医療連携、生活環境などを家族自身でも確認してください。

施設を調べ始めるのは在宅介護が限界になってからでも間に合いますか?

緊急時だけに探すと空きや費用を比較する余裕が減ることがあります。在宅を続けながら候補だけ把握しておく方法もあります。

仕事を続けたいという理由で施設を考えてもよいのでしょうか?

家族の仕事や生活も介護体制を考える重要な条件です。本人の希望と必要な介護量を見ながら、在宅以外も含めて比較してかまいません。

仕事を辞めれば介護の問題は解決しやすくなりますか?

時間は増えても、収入減少や介護の長期化という別の問題が出ます。退職前に職場制度、介護サービス、家族分担、自費支援を確認する方がよいでしょう。

仕事を辞めずに介護を続ける体制を作る
親の介護と仕事を両立する時に大切なのは、「自分がどれだけ頑張れるか」を基準にしないことです。最初は月1回の通院だけでも、服薬確認、買い物、書類整理、転倒対応、ケアマネジャーとの連絡が増えると、家族が使う時間は少しずつ広がります。そのたびに有給や早退で埋めていると、気づいた時には仕事だけでなく、自分の通院、休息、子育て、夫婦の時間まで削られていることがあります。
そこで、まず「家族にしかできないこと」「介護保険へ任せられること」「自費で補えること」「兄弟姉妹へ分けられること」「職場制度で時間を確保すること」を並べます。介護休暇は短い用事、介護休業は体制づくり、サービスは継続する生活支援というように、役割を分けて考えると整理しやすくなります。一つの制度ですべてを解決しようとしないことが、長く続けるためには重要です。
仕事を続けることは、親より仕事を優先するという意味ではありません。介護が数年続く可能性を考えれば、家計を守ること、自分の社会生活を残すこと、自分自身の老後資金を失わないことも家族全体を守る一部です。親の介護に必要なお金を考えるうえでも、介護する家族の収入が大きく減ることは無視できません。退職は選択肢の一つではありますが、一番最初の対応にしない方がよいでしょう。
また、親の状態は変わります。今は週1回の支援で足りても、半年後には通所回数を増やす必要が出るかもしれません。反対に、住宅環境を整えたりサービスに慣れたりすることで、家族の付き添いが減る場合もあります。一度決めた介護方法を固定するのではなく、親の生活変化と家族の勤務状況を定期的に見直し、その時点で必要な支援へ組み替えることが大切です。
親が「家族にやってほしい」と希望することもあります。その気持ちは大切にしたいところですが、希望をすべて家族が直接担えるとは限りません。本人の希望、家族の仕事、子育て、健康、距離、家計を並べ、続けられない部分はサービスへ移します。家族が倒れるまで希望に応え続けることが、結果として親にとってよい介護になるとは限りません。
そして、介護は一度仕組みを作れば終わりではありません。通院回数が増えた、認知症の症状が変わった、転倒が増えた、夜間対応が必要になった、サービスを嫌がるようになったなど、新しい変化が出れば体制も変えます。「今までできていたから次もできる」と決めず、その都度、家族が担う量と外へ任せる量を見直してください。
仕事との両立で迷った時には、退職届を書く前に、会社の制度を確認する、地域包括支援センターへ相談する、ケアマネジャーと支援時間を見直す、兄弟姉妹の役割を具体化する、自費サービスを比較する、施設の情報だけでも集めておく、といった順番があります。この一つひとつを先に試すことで、「辞めるしかない」と思っていた状況に別の選択肢が見えることがあります。
親の介護を大切に考えることと、自分の仕事を続けたいと考えることは矛盾しません。どちらかを犠牲にする前に、家族が直接担う必要のない時間を外へ出し、家族にしかできない役割へ力を残す。それが、介護と仕事を両立するための現実的な考え方です。
健さんの視点コラム
介護の現場にいると、ご家族から「仕事を休んで何とかしています」「自分が行かないと誰もいないので」という話を聞くことがあります。最初は一つの通院、一回の買い物、一日の見守りだったものが、気づけば毎週の予定になり、その間に家族側の有給、睡眠、休日が少しずつ減っていきます。介護する側は親の変化に対応することへ集中しているため、自分の生活が崩れていることに気づくのが遅れることもあります。
親から見れば、知らない人より子どもに来てほしい、病院も一緒に行ってほしいと思うことがあります。一方、子ども側には仕事があり、自分の家庭があり、住宅ローンや教育費、これからの生活があります。どちらかが間違っているわけではありません。だから「親の希望をかなえるか、仕事を取るか」という二択にしてしまうと、家族は苦しくなります。必要なのは、その間に制度やサービスを置くことです。
家族が直接する介護をゼロにすればよい、ということではありません。むしろ、家族にしかできないことへ時間を残すことが大切です。親が不安な時に話を聞く、大事な受診で一緒に説明を聞く、これからの生活を話し合う。こうした関わりまで、毎週の買い物や掃除、移動支援で疲れ切ってできなくなってしまうのはもったいないことです。だからこそ、日々の介護の中で何を家族が担い、どこまでを外へ任せるのかを分けて考え、家族にしかできない関わりへ余力を残すことが大切です。
人生健康第一とは、親だけの健康を守るという意味ではありません。介護を受ける本人、支える家族、その家族の仕事や家庭まで含めて、生活全体が壊れない方法を考えることです。仕事を休むことが必要な日もありますし、介護休業を使って一度しっかり体制を整える時期もあります。その一方で、家族が休まなくても済む時間を作れるなら、そこには介護保険、自費サービス、兄弟分担、地域の支援を入れてよいと思います。
介護は、短距離走ではありません。今週を乗り切る方法だけでなく、半年後、一年後も本人と家族が生活を続けられる形を作ることが大切です。仕事を辞めるかどうかは、そのための選択肢を確認した後でも遅くありません。家族が全部できることより、家族だけでやらなくても介護が回る状態を作ることを目指してください。
介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
親の介護で困ったときに『まずここを見れば分かる』と思ってもらえる記事を、これからも増やしていきます。
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