PR記事内に広告が含まれています。

親が退院後に歩けない時の玄関段差と介護用品の準備ポイント

退院後に歩行が不安定な高齢男性が、家族に支えられながら玄関の段差を手すりを使って慎重に降りている様子 家族と介護サポート

介護・健康情報ブログランキングに参加しています。

役立ちそうだと思ったら、応援クリックいただけると励みになります。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

この記事を書いた人:健さん|元プロアスリート / 元納棺師 / 介護福祉士 / 睡眠栄養指導士 初級(一般社団法人睡眠栄養指導士協会 認定)|「人生健康第一」を伝えるブログメディア運営

親が退院して自宅へ戻ることになったものの、「病院では少し歩けると言われたのに、玄関の段差を越えられるのか」「寝室やトイレまで移動できるのか」「車いすや歩行器を先に買った方がいいのか」と迷う家族は少なくありません。退院日は近づいているのに、自宅の玄関には上がり框があり、廊下は狭く、家族も介助方法が分からないとなると、何を準備すればよいか判断しにくくなります。

私は元プロアスリートとして体と向き合い、納棺師として人の命の終わりを見届け、現在は介護福祉士として日常の健康と生活を支える現場にいます。そんな経験から辿り着いた信念があります。それは人生健康第一です。退院後の歩行も、用品をたくさんそろえることより、今の身体機能と自宅環境を合わせて、安全に続けられる移動方法を作ることが大切です。

この記事では、親が退院後に歩けない、または歩行がかなり不安定になった時に、まず病院で何を確認するか、玄関段差をどう見ればよいか、歩行器・車いす・手すり・スロープなどの介護用品をどう選ぶか、介護保険の福祉用具貸与や住宅改修をどう使うかまで順番に整理します。

最初の判断軸は「歩けるか、歩けないか」の二択ではありません。立ち上がれるのか、立位を保てるのか、数メートルなら歩けるのか、歩行器なら可能なのか、車いすへ移れるのか、家族が安全に介助できるのかまで分けて見ます。そのうえで玄関から寝室、トイレまでの動線を重ねると、必要な用品が見えやすくなります。

この記事のポイント

  • 退院後の「歩けない」を動作ごとに分ける方法がわかる
  • 玄関段差と生活動線を一緒に確認する理由が理解できる
  • 歩行器・車いす・手すり・スロープの選び方がわかる
  • 福祉用具貸与と住宅改修を先に相談する意味が理解できる

退院後に歩けない時の確認

  • 歩けない状態を細かく分ける
  • 病院と自宅の違いを見る
  • 玄関から生活動線を測る
  • 家族の介助動線も見る

歩けない状態を細かく分ける

親が「退院後に歩けない」と聞くと、家族はすぐに車いすを思い浮かべやすくなります。しかし、同じ「歩けない」でも状態はかなり違います。ベッドから起き上がれるか、端座位を保てるか、足を床につけて立ち上がれるか、立位を数十秒保てるか、方向転換できるか、杖や歩行器を使えば数メートル移動できるか、車いすへの移乗だけはできるかを分けて確認します。

この違いは、必要な介護用品だけでなく、家族がどこまで介助するかにも直結します。たとえば歩行器なら移動できる人と、立つことはできても一歩が出にくい人では、同じ玄関段差でも対策が変わります。さらに、脳血管疾患後の片麻痺、手術後の荷重制限、痛み、めまい、息切れなどがある場合は、見た目の歩行だけで判断できません。退院時のリハビリ職や医師から、禁止されている動作や介助量も確認しておきます。

「少し歩けるなら、家では杖があれば何とかなるんじゃない?」

杖だけでよいとは限りません。病院で歩けた距離や条件と、自宅で必要になる距離・段差・方向転換は違うからです。病棟の廊下では手すりがあり、床が平らで、スタッフがそばにいることがあります。自宅では玄関マットや敷居、家具、狭い通路が加わり、手に荷物を持つ場面もあります。

退院後の介護用品は「歩けない」という言葉だけで決めず、立つ・移る・歩く・曲がる・段差を越える動作まで分けて決めます。

退院時に確認した内容は、できれば家族の言葉だけで覚えず、退院時の書類やメモへ残します。たとえば「室内は歩行器で見守り」「長距離は車いす」「段差は介助が必要」「立ち上がりは手すり使用」といった形で具体化すると、家族間でも方法をそろえやすくなります。家族によって介助方法が違うと、本人もどこまで自分で動けばよいか迷いやすいため、最初の数日は同じ方法で試し、危険がないかを確認します。

家族が病院へ確認する時は、「一人で歩けますか」だけで終わらせず、「歩行器なら何メートルくらい可能ですか」「方向転換は一人でできますか」「車いすへの乗り移りは見守りですか、介助が必要ですか」「玄関の段差はどの程度なら可能ですか」と具体的に聞くと、自宅準備へつなげやすくなります。

病院と自宅の違いを見る

病院で移動できていると、家族は「退院できるなら家でも生活できる」と受け取りがちです。しかし病院は、通路幅が確保され、床面が平らで、手すりやナースコールがあり、必要ならスタッフが介助できる環境です。自宅では、玄関の上がり框、敷居、狭い廊下、開き戸、低い椅子、布団、カーペットなど、病院には少ない条件が重なります。

特に退院直後は、長い距離を一度に歩くより、寝室からトイレ、居間からトイレ、居間から玄関など、毎日繰り返す短い動線の方が重要です。一度だけ玄関を越えられても、夜中に眠気が残った状態でトイレへ何度も行くことが危険なら、生活全体としては対策が足りません。自宅に戻る前に、玄関・廊下・トイレ・寝室の写真と寸法を用意し、病院の理学療法士や作業療法士へ見せると具体的な助言を受けやすくなります。

「退院前に家まで見てもらえないなら、もう家族で決めるしかないですよね?」

家屋訪問がなくても、家族だけで決め切る必要はありません。玄関の段差高、廊下幅、扉幅、トイレ前の方向転換スペース、寝室のベッド高さなどを写真と一緒に伝えれば、リハビリ職や福祉用具専門相談員が検討する材料になります。

自宅の写真と寸法を病院や福祉用具専門相談員へ共有し、本人の動作と住宅環境をセットで確認すると、用品の選び間違いを減らせます。

写真を撮る時は、段差だけをアップで撮るより、少し離れて玄関全体が分かる写真も用意します。上がり框の高さ、玄関土間の奥行き、扉が開く向き、手すりを付けられそうな壁、式台を置く余地、外側の階段や道路までの距離が一枚で分かると、専門職が動線をイメージしやすくなります。メジャーを当てた写真もあると、数値の伝え間違いを減らせます。

また、退院当日に初めて玄関で困ることを避けるため、可能なら退院前に家族が実際の経路を歩き、障害物を片付けます。玄関マット、電気コード、小さな敷居、置き型手すりのベースなど、数センチの段差でも歩行器や車いすのキャスターには影響することがあります。

玄関から生活動線を測る

退院後の玄関対策では、上がり框の高さだけを測って終わりにしません。居室から玄関まで到達できるか、玄関で方向転換できるか、靴を履く場所を確保できるか、扉を開けた状態で介助者が立てるか、車いすなら扉を通過できるか、玄関から道路までに階段や傾斜がないかを一つの流れとして確認します。玄関前のスペースが狭ければ、長いスロープを置けない場合もあります。

さらに、玄関から先だけでなく、帰宅後に最初に使う寝室とトイレまでの動線も見ます。車いすが玄関を越えられても、廊下で曲がれない、寝室の入口が狭い、トイレの中で方向転換できないなら、別の方法が必要です。歩行器を使う場合も、敷居やカーペットへ脚やキャスターが引っ掛からないか、置き場所を含めて見ます。

「玄関にスロープを置けば、車いすでも出入りできますよね?」

スロープは有力な選択肢ですが、段差があるから必ずスロープで解決するとは限りません。高低差が大きいほど必要な長さが増え、玄関前に直線距離が足りないことがあります。介助者が後ろから押せる幅や、雨天時の滑り、スロープ前後で方向転換する場所も必要です。

短すぎるスロープを自己判断で急勾配にすると、車いすの転倒や介助者の転倒につながるため、段差高だけで製品を決めないでください。

式台や踏み台を使う場合も、単に段差を半分にすればよいわけではありません。踏み面が狭い、足を置く位置が分かりにくい、床の上でずれると、かえって不安定になります。手すりと式台を組み合わせる場合は、どちらの足から上がるか、どの手で支持するか、介助者がどこに立つかまで一連の動作で試します。片麻痺や関節痛がある人では、左右の使いやすさも重要です。

玄関の対策には、固定手すり、据置型手すり、式台、固定用・可搬型スロープ、住宅改修による段差解消、段差解消機、別の出入口を使う方法などがあります。どれが合うかは、本人の動作、住宅の広さ、介助者の力、外出頻度によって変わります。

退院当日の帰宅方法も玄関対策の一部です。車から玄関までに砂利道や傾斜、門扉、屋外階段があると、室内だけ整えても最後の数メートルで移動が止まることがあります。家族の車から降りるのか、車いすのまま移動できる車両を使うのか、玄関前までどこまで近づけるのかを先に決め、道路から玄関、上がり框、居室までを一続きの経路として確認してください。退院日に初めて試すのではなく、難しそうな場所を病院側へ伝えておくと、介助方法や別の出入口を含めた検討につなげやすくなります。

玄関の段差は何センチなら手すりだけで大丈夫ですか?

健さん
健さん

一律に「何センチまで」とは決められません。段差高だけでなく、本人が片足立ちできるか、手すりを使える側、介助者の位置、足元の広さまで合わせて判断します。

退院日に家族が抱えて段差を越えれば済みますか?

健さん
健さん

抱き上げ介助は家族と本人の双方に大きな負担がかかり、転落や腰痛の危険があります。繰り返す方法として前提にせず、病院や福祉用具専門相談員へ安全な移動方法を確認してください。

玄関に椅子を置いて靴を履く方法でもいいですか?

健さん
健さん

座位が安定していて、椅子が動かず、立ち上がり場所を確保できるなら候補になります。椅子自体が通路を狭くしないか、手すりとの位置関係も確認してください。

高齢の男性が杖を使って玄関の段差を下り、女性がそばで付き添っている様子

家族の介助動線も見る

本人が通れるかだけでなく、介助する家族が安全に動けるかも重要です。玄関で後ろから支えるのか、横で見守るのか、車いすを押すのかによって必要な幅は変わります。狭い場所で無理に身体をねじって介助すると、本人のふらつきを支え切れず、家族も腰を痛めやすくなります。

退院前に家族が介助練習をする時は、本人を力で持ち上げる方法ではなく、本人が使える力を生かす方法を教わります。立ち上がりで前へ重心を移せるか、手で押す場所はどこか、麻痺側へ倒れやすくないか、家族がどこを支えるかを確認します。家族の身長差が大きい場合や腰痛がある場合は、同じ介助方法を続けること自体が難しいこともあります。必要なら移乗用具や人的支援も含めて相談します。

特に車いすへの移乗では、ベッドや椅子の高さ、ブレーキ位置、フットサポート、家族が立つスペースを確認します。歩行器を使う人でも、立ち上がる時に歩行器へ強く体重をかけると、製品によっては動いてしまうことがあります。歩行器は移動を補助する用具であり、固定された手すりの代わりとして使うものではありません。

「本人がつかまりやすそうなら、家具や歩行器を手すり代わりにしてもいいですよね」

動く物を手すり代わりにするのは避けます。椅子の背、車いす、歩行器などは、体重をかけた時に動く可能性があります。立ち上がりに必要なのが支持物なら、固定手すりや適合した据置型手すりなど、目的に合う用具を検討します。

歩行器や車いすを「つかまる物」として代用せず、それぞれ本来の使用目的と操作方法を確認します。

親の歩行や外出を支える用具全体を整理したい方は、健さんのこちらの記事も参考にしてください。親の歩行や移動を支える福祉用具の選び方

介護用品と住宅改修の選び方

  • 歩行器・車いすを状態で選ぶ
  • 福祉用具貸与を先に相談する
  • 手すりとスロープを比べる
  • 住宅改修は工事前に確認する
  • 退院後に用品を見直す

親の介護で迷ったときに役立つ情報を、これからも分かりやすく発信していきます。

参考になったら、ブログ村の応援クリックをいただけると更新の励みになります。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

歩行器・車いすを状態で選ぶ

歩行・移動用品を選ぶ時は、商品名より先に使用場面を決めます。歩行器でも、四脚を持ち上げながら進むタイプ、キャスター付きで押して進むタイプ、屋外で休憩用の座面を備える歩行車などがあり、操作方法が違います。車いすも自走用、介助用、軽量型などで幅や重量、取り回しが変わります。現在販売されている製品は、外寸、重量、使用者最大体重、ハンドル高さ、折りたたみ方法、ブレーキ方式などが商品ごとに異なるため、通販画面の写真だけで選ばないことが大切です。

商品仕様を見る時は、同じ「歩行器」「車いす」という名称でも数字の意味を分けて確認します。全幅は廊下や扉を通れるか、座面幅は姿勢を保てるか、重量は家族が車へ積めるか、耐荷重は本人の体重に合うか、ハンドル高は前かがみになり過ぎないかに関係します。折りたたみ可能でも、折りたたんだ状態の厚みや自立の可否で保管しやすさが変わるため、使う時だけでなく置いておく場所まで含めて比較します。

歩行器や車いすは、数字上の全幅が通路幅より小さいだけでは十分ではありません。実際の移動では、本人の手や肘が外へ出る、介助者が横や後ろへ回る、扉を開けながら方向転換するなど、本体寸法より広い空間を使います。敷居や小さな段差では車輪径やキャスターの向きによって引っ掛かり方も変わるため、候補用品の寸法と自宅の写真・採寸結果を福祉用具専門相談員へ見せ、通過できるかだけでなく、曲がれるか、止まれるか、介助者が安全に支えられるかまで確認すると選び直しを減らせます。

自宅用なら、本人の身長や握力だけでなく、廊下幅、玄関扉、トイレ入口、保管場所も確認します。屋外使用なら、路面の段差や坂、車への積み込みも条件になります。退院直後は身体機能が変化しやすいため、「高価な物を買えば長く使える」と考えるより、今の状態に適合し、必要なら変更できる方法を優先した方が現実的です。

「ネットで評価が高い歩行器を買えば失敗しにくいですよね?」

評価の高さだけでは本人に合うか判断できません。身長に合う高さでも、狭い廊下で曲がれない、ブレーキ操作が難しい、敷居を越えにくいことがあります。まず専門職へ必要な用具の種類を確認し、そのうえで購入するならサイズと仕様を照合します。

介護用品は「人気商品」ではなく、本人の動作・住宅寸法・介助方法に合うかで選びます。

Amazonや楽天で購入する場合も、商品ページで外寸・重量・耐荷重・折りたたみ寸法・屋内外の使用条件・ブレーキや固定方法を確認し、不明点がある製品は販売元や専門職へ確認します。杖や歩行器は高さ調整だけでも歩きやすさが変わるため、可能なら実物を試す機会を作ると安心です。


Amazonで探す

用品 向く場面 確認したい点
一側の支持で歩ける 高さ・握り・使用側
歩行器 両手で支持すると歩ける 幅・高さ・方向転換
歩行車 屋外移動や休憩も必要 ブレーキ・座面・路面
車いす 歩行距離が不足する 座幅・全幅・移乗
据置手すり 立ち上がりや段差を補助 ベース・設置面・位置
可搬スロープ 車いすで段差を越える 長さ・勾配・耐荷重

要介護認定がまだでも介護用品を相談できますか?

健さん
健さん

相談自体はできます。退院支援担当者、地域包括支援センター、ケアマネジャー候補、福祉用具事業所などへ、認定申請中であることと退院日を伝えてください。給付の扱いは状況で変わるため個別確認が必要です。

車いすは大きい方が座りやすいですか?

健さん
健さん

座面が広すぎると姿勢が崩れたり、狭い自宅で取り回しにくくなることがあります。本人の体格と住宅の通路幅の両方を見て選びます。

歩行器は室内と屋外で同じ物を使えますか?

健さん
健さん

製品によります。屋内の狭い通路向けと、屋外の段差や長距離を想定した物では車輪やブレーキ、幅が異なります。使用環境を伝えて選定してください。

福祉用具貸与を先に相談する

介護保険では、車いす、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえなどが福祉用具貸与の対象種目に含まれています。さらに2024年4月から、固定用スロープ、一部の歩行器、単点杖・多点杖などには貸与と販売の選択制が導入されています。2026年9月時点でも厚生労働省の案内でこの仕組みが確認できるため、対象品なら「買うしかない」と決める前に、貸与・販売それぞれの説明を受ける価値があります。

制度の対象種目や貸与・販売の選択制は、厚生労働省の福祉用具・住宅改修の案内で確認できます。福祉用具専門相談員は、本人の身体状態、住宅構造、使用環境を踏まえて選定・調整し、利用後の適合状況も確認します。

「通販なら今日注文できるし、レンタルの相談より早いですよね?」

急ぐ気持ちは自然ですが、退院直後は状態が変わりやすく、買った後に合わないことがあります。とくに歩行器や手すりは、数センチの高さや置き場所で使いやすさが変わります。貸与なら状態変化に応じて機種変更を検討しやすい場合があるため、退院日が近い時ほど早めに相談します。

介護保険を使える可能性がある用品は、購入前にケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談し、貸与・販売・自費購入を比較します。

貸与と販売の選択制がある用品でも、購入が常に得、貸与が常に安全という単純な話ではありません。長く同じ物を使う見込み、身体状態が変化する可能性、調整や点検を受けたいか、自己負担額などを比べます。退院直後は今後の回復度合いが読みづらいこともあるため、「まず試して合うかを見る」という考え方が重要になります。

なお、介護度によって原則給付の対象外となる種目や例外があります。家族がネット情報だけで「うちは対象外」「全部レンタルできる」と判断せず、本人の認定状況と身体状態を伝えて確認してください。

手すりとスロープを比べる

玄関段差へ手すりを付ける場合は、「どこにつかまりたいか」ではなく、何の動作を助けるのかを先に決めます。立ち上がり、立位保持、段差昇降、方向転換では、使いやすい位置や形が違います。固定型の手すりは安定しやすい一方、取り付け位置を簡単に変えられません。据置型は工事をせず調整しやすい一方、ベース部分が新しい段差になることがあります。

スロープも、置けば安全になるわけではありません。長さ、勾配、幅、段差への掛かり、車いすと本人の合計重量、介助者の力、前後のスペースを確認します。雨に濡れる屋外なら滑りやすさも変わります。玄関が狭ければ、スロープより段差解消機や別出入口の検討が現実的な場合もあります。

「手すりとスロープ、どちらを先に買えばいいですか?」

先に買うのではなく、本人が段差を歩いて越えるのか、車いすで越えるのかを決めるのが先です。歩行で越えるなら手すりや式台が候補になり、車いすならスロープや段差解消方法を検討します。両方が必要な家庭もあります。

消費者庁は高齢者の住宅内転倒対策として、段差への手すりや滑り止め、足元照明、床上の物やコードの整理などを挙げています。消費者庁の高齢者の転倒・住宅内事故に関する注意情報も、自宅を見直す時の確認材料になります。

履物も動線の一部です。かかとが固定されない履物や、底がすり減った靴、サイズが合わない室内履きは、歩行器や手すりを使っていても足元の不安定さにつながります。玄関で靴を履く時に立ったまま片足になることが危険なら、安定した座位で履ける場所を作り、立ち上がる時につかまる物を確認します。介護用品だけを増やすより、履物・床・照明を合わせて整える方が安全につながる場面があります。

退院後の移動では、大きな段差だけでなく、玄関マットや敷居、カーペット、置き型手すりのベース、歩行器の置き場所などもつまずき要因になります。用品を増やすほど安全になるとは限らないため、床面を一度すっきりさせたうえで必要な用品だけ配置します。

高齢の男性が自宅で歩行器を使い、家族と支援スタッフが歩き方を確認している様子

住宅改修は工事前に確認する

壁や柱へ固定する手すり、段差解消、滑り防止や移動円滑化のための床材変更、引き戸等への扉変更などは、介護保険の住宅改修の対象になる場合があります。支給限度基準額は原則20万円ですが、対象工事であれば何でも後から申請できる仕組みではありません。厚生労働省は、住宅改修について施工前と施工後に自治体へ申請する流れを案内しています。

工事を検討する時は、見た目をきれいにするリフォームと、本人の動作を支える住宅改修を分けて考えます。手すりを付けるなら「この壁が空いているから」ではなく、本人がどちらの手でつかみ、どの方向へ重心を移し、どこで立ち止まるかを確認します。段差をなくす場合も、解消後に扉が開きにくくならないか、床材の境目が新たなつまずきにならないかまで見ます。

そのため、退院日が迫っているからと家族が先に工事を発注すると、必要な手続きが間に合わず給付の扱いに影響する可能性があります。住宅改修が必要な理由書、見積り、施工前写真などが求められ、自治体ごとに申請書式や支払方法の運用も異なります。担当ケアマネジャーがいる場合は、玄関・トイレ・浴室などどこに困っているかを具体的に伝え、工事前に自治体手続きを確認します。

「退院まで数日しかないなら、自費で先に工事した方が安全では?」

緊急に安全確保が必要な時でも、介護保険を使う予定があるなら、まず担当者や自治体へ確認する方が安全です。工事を待てない場合は、一時的に据置型手すりや貸与品を使えるか、別の動線を使えるかなど、暫定策を相談します。

住宅改修は「工事してから相談」ではなく、介護保険を使う可能性があるなら工事前に確認するのが基本です。

退院後の支援全体や介護認定のタイミングも合わせて整理したい方は、健さんのこちらの記事もご覧ください。親の退院後はケアマネにいつ相談?介護認定が間に合わない時

方法 強み 注意点
据置手すり 工事なしで調整しやすい ベースの段差
固定手すり 位置を固定できる 工事前確認が必要
式台 一段を分けられる 滑り・ぐらつき
可搬スロープ 必要時に設置できる 勾配・重量・介助力
段差解消工事 日常動線を整えやすい 申請・工事期間
別出入口 玄関が狭い家の選択肢 動線全体の再確認

退院後に用品を見直す

退院日に用意した介護用品が、そのまま何か月も最適とは限りません。退院直後は体力が落ちていて車いす中心でも、リハビリが進むと歩行器で移動できる範囲が増えることがあります。反対に、家では思ったより疲れやすく、病院で想定した歩行器ではトイレまで間に合わないこともあります。生活を始めた後の実際の様子を見て、用具や介助量を調整します。

見直しは転倒してから行うのではなく、「ヒヤッとした」段階で十分です。歩行器の脚が敷居に当たった、玄関で一度よろけた、車いすを押す家族が坂で怖さを感じた、夕方だけ足が出にくくなった、といった小さな変化を記録します。転倒には至らなくても、同じ条件が重なると次は事故になる可能性があります。用品の位置、高さ、使う時間帯、介助者の立ち位置を小さく修正するだけで改善することもあります。

見直す時は、「できるようになった動作」「今も危険な動作」「新しく困った場所」の三つへ分けると整理しやすくなります。朝は歩けるが夕方はふらつく、トイレまでは歩行器で行けるが玄関段差だけ介助が必要、屋内は杖でも屋外は車いすが必要など、時間帯や場所で方法を変えることもあります。

「一度買った物を使わなくなるのはもったいないから、できるだけ同じ用品を使った方がいいですよね」

安全に合っているなら継続で構いませんが、身体状態が変わったのに無理に使い続ける方が問題です。退院後は回復も低下もあり得るため、用具を生活に合わせて変えること自体が正常な見直しです。

退院直後の数日は、移動できた距離だけでなく「どの程度の介助でできたか」も記録しておくと役立ちます。見守りだけで済んだのか、腕を支えたのか、立ち上がりから介助したのか、途中で休憩が必要だったのかを残します。できた・できないだけでは、回復しているのか、家族の介助が増えているのか分かりにくいためです。記録はケアマネジャーやリハビリ職へ状況を伝える材料にもなります。

家族が毎日見ているからこそ、病院では分からなかった変化に気づくことがあります。普段より反応が遅い、歩幅が小さくなった、立ち上がりに時間がかかる、食欲が落ちているなど、歩行以外の変化も合わせて見ます。施設介護の現場でも、転倒は一つの原因だけで起こるとは限らず、体調、床面、履物、足元環境など複数の条件が重なります。

用品を見直した結果、使わなくなった物が出ても、それは失敗とは限りません。退院直後に必要だった物が、回復によって不要になるのは生活が変化した結果です。反対に、最初は杖で足りていても、疲労や体調変化で歩行器が必要になることもあります。「買ったから使い続ける」ではなく、「今の生活に合うから使う」という基準へ戻すと、安全性と本人の自立の両方を考えやすくなります。

介護用品を追加購入するなら、今の生活で何が足りないかを確認したうえで選びます。玄関用手すり、歩行補助具、滑りにくい室内履きなど、必要性が具体化した用品だけを比較すると、過剰購入を避けやすくなります。


Amazonで探す

退院後どのくらいで福祉用具を見直せばいいですか?

健さん
健さん

一律の期限はありません。できる動作が増えた、疲れ方が変わった、転びそうになった、新しい場所で困った時が見直しのタイミングです。

本人が歩きたいと言う時は車いすを使わない方がいいですか?

健さん
健さん

歩く練習と安全な移動は分けて考えます。リハビリとして歩く時間を確保しながら、長距離や疲労時は車いすを使うなど、専門職と方法を調整できます。

家族だけで介助方法を練習しても大丈夫ですか?

健さん
健さん

自己流で持ち上げるより、退院前に看護師やリハビリ職から移乗や歩行介助を実際に教わる方が安全です。家族の体格や力に合う方法も確認してください。

退院後の高齢の母が自宅のトイレと浴室付近で手すりを使い、家族に見守られながら安全に移動している様子

退院後の移動は用品より動線から整える

親が退院後に歩けない、あるいは歩行がかなり不安定になった時は、最初に「何を買うか」から考えないことが大切です。立ち上がり、立位保持、方向転換、歩行距離、段差昇降、車いすへの移乗を分け、病院でできている動作を自宅の玄関、廊下、寝室、トイレへ当てはめます。同じ「歩けない」でも、歩行器なら移動できる人と、移乗だけできる人では必要な環境が大きく変わります。

玄関段差は高さだけでなく、扉幅、方向転換スペース、靴を履く場所、介助者の立ち位置、道路までの経路まで確認します。手すり、式台、スロープ、段差解消工事にはそれぞれ向く条件があり、用品を置くことで新しいつまずきや狭さが生まれることもあります。本人だけでなく、介助する家族が安全に動けるかまで含めて考えます。

介護保険を利用できる場合は、車いす、手すり、スロープ、歩行器などの福祉用具貸与や、住宅改修を使える可能性があります。購入前・工事前にケアマネジャーや福祉用具専門相談員へ相談し、貸与、販売、自費購入のどれが今の状態に合うかを比較します。特に退院直後は状態が変わりやすいため、最初の用品を固定して使い続ける前提にせず、生活を始めてから見直します。

家族だけで答えを出そうとすると、「今日までに何か買わなければ」と焦りやすくなります。まず退院支援担当者やリハビリ職へ、自宅の写真と寸法、困っている動作を具体的に伝えてください。そのうえで玄関からトイレまでの最優先動線を整え、必要な用品だけ準備する方が、買い過ぎと安全上の失敗を減らせます。次に確認する行動は、退院時点の動作と自宅環境を一枚のメモにまとめ、専門職へ見せることです。そのメモには、立ち上がり、方向転換、歩行距離、段差、移乗の介助量に加え、玄関の段差高、廊下幅、扉幅、トイレまでの距離も書いておきます。家族が不安に感じた場面や、本人が「ここは怖い」と感じた場所も大切な情報です。退院後に実際の生活を始めたら、最初の想定と違ったところを追記し、福祉用具や住宅環境を見直してください。用品をそろえて終わりではなく、本人の状態に合わせて調整を続けることが、自宅生活を長く安全に続ける準備になります。焦らず見直していくことが大切です。

健さんの視点コラム

退院は「家へ帰れる日」ですが、本人にとっては病院仕様の生活から、自分の家の段差や家具、生活習慣へ戻る日でもあります。病院で数メートル歩けたという情報だけで、自宅の玄関やトイレまで安全に移動できるとは限りません。家に帰った最初の日に困るのは、大きな病気の説明より、玄関で足が上がらない、廊下で歩行器が曲がれない、トイレの扉を開けながら立っていられない、といった生活上の具体的な問題です。

本人には「前は歩けた」「人の手を借りたくない」という気持ちがあり、家族には「転んでまた入院したら困る」「ずっと支えるのは難しい」という事情があります。どちらか一方の気持ちだけを優先すると、本人が無理をするか、家族が必要以上に抱え込むかのどちらかへ偏りやすくなります。できる動作は残し、危険な部分だけ用具や介助へ渡す考え方が現実的です。

本人の役割は、できる範囲で身体を使い、困る場面を伝えることです。家族は、自宅の写真や寸法、日常の様子を専門職へ伝える役割を担えます。リハビリ職や福祉用具専門相談員は、身体機能と住宅環境をつなぎ、ケアマネジャーは必要なサービスや制度を調整します。用品だけに解決を任せず、それぞれの役割を組み合わせることで安全性を高められます。

人生健康第一とは、歩けなくなった時に根性で歩かせることでも、家族が全部代わることでもありません。今できることと危険なことを分け、必要な場面だけ支援を使いながら、本人の生活と家族の生活の両方を守ることです。退院直後は「昨日できたから今日もできる」と決めつけず、その日の体調や疲れ方まで含めて見直す姿勢が大切です。

介護用品は、買った瞬間に問題を解決する道具ではありません。本人に合う高さへ調整し、家の中で実際に使い、危険があれば変更して初めて生活の支えになります。玄関を一回越えることより、毎日安全に暮らせることを目標にして、必要な用品と支援を少しずつ整えていく方が、退院後の生活を続けやすくなります。

介護は、家族だけで抱え続けるものではありません。私たち介護職は、ご本人だけでなく、支えるご家族のためにもいます。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の介護方針や制度利用を断定するものではありません。介護の方法や利用できる制度、支援内容はご本人の状態や地域の状況によって異なります。具体的な判断については、医療機関、地域包括支援センター、ケアマネジャーなどの専門職へご相談ください。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村 頑張れ健さん - にほんブログ村
error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました